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無茶振りへの対応方法募集中

 クラスメイト全員にぼっち宣言はしたものの、三島のおかげでなんとか班に入れてもらえたマックス。

 主な行動は班ごとになるため、マックスは学級委員の三島率いる第1班と行動をともにすることになった。



「班が決まったところで次に内容を確認していきましょう。

 まず、野外活動は2泊3日となっています。

 初日はバスで目的地まで移動して、それから班ごとに分かれて地元の農家さんをお手伝いすることになります。」


「ノ、農家ダトォ!!!」



 農家という言葉の響きにマックスは自身の内に眠る農業魂に火がついたのを感じた。

 アステラで日々畑と向き合っていたマックスにとってこれほどまでにテンションが上がるようなことはなかったのだ。

 だがしかし、農家の手伝いと聞いて周りの生徒たちからは落胆の声が漏れる。



「はいはい。毎年恒例のことですから諦めてください。」


「”仕方ない”とかじゃなくて”諦めて”なんですね先生・・・」


「んんっ!・・・貴方たちはまだ大人になる途中です。

 将来的にどういった道に進みたいかを考える糧として農家さんの手伝いに限らず、ここでの活動はいずれ必ず貴方たちの役に立つ。

 野外活動はあくまでも授業の一環ですから、遊び気分で参加しないように!!以上!」


「以上ってシメちゃってますけど、まだ初日しか語ってません先生!!」


「あらやだっ・・・」



 このクラスは本当に大丈夫なんだろうかと、ふいに訪れる不安にマックスは思わず冷や汗をかいてしまう。



「初日の夜には肝試し大会もありますからねー!!」


「はいはーい!」


「はい、後藤くん。」


「それって脅かし役とかっているんですか?」


「交代制で脅かし役と回る側に分かれてもらう予定です。」


「だってさーマックス。ビビらせてやっから覚悟しとけよ?」


「肝試シッテ何?」


「そっからかよ!!!」


「はい、静かにー。二日目は登山です。班ごとに頂上を目指しましょうね!」


「トザン?」


「山を登るってことだよ。」


「アア、ナルホド。」


「それから登山の後にはみんなでカレー作りをします。

 材料は先生たちの方で用意するので特に必要なものはありません。

 ただ、どの班が一番美味しいか審査するので各班とも頑張って美味しいカレーを作ってくださいね~」


「三島、カレーッテ?」


「カレーライスっていう食べ物だよ。食べたことない?」


「食ベタコトナイナ・・・」


「わあ・・・一気に不安が・・・」


「そして二日目にはクラスごとに出し物も披露してもらう予定なので、これから出し物を決めます!!」



 何の前触れもなく佐藤先生がバンっと大きな音を立てて黒板を叩いたので、その音にマックスはびっくりしてビクリと肩が震えた。



「出し物ですが、例年行われているのはダンスや歌、お笑い芸人の真似など。

 でも使い古されたものでは面白さもへったくれもないと思うの!!

 そこで我がクラスにはせっかく留学生のマックスくんがいるので、何か彼の母国にしかないようなことを取り入れてやってみようではないかと私は考えたっ!!!」



 またしてもバンと今度は教卓を叩いて意見を語る佐藤の大暴走にマックスを含めた生徒たちはぽかんと口を開けるばかりだった。

 だが、他の生徒たちは別に困ることもないだろう。

 この提案に一番困るのは他でもないマックスのみなのだから。



(えっ!?アステラならではの催し物って何!?えっ?急に言われても思いつかないけど・・・)


「というわけで、マックスくん何か意見は!?」


「エ、エート・・・キュ、急ニ言ワレテモ思イツカナイヨ・・・」


「頑張って!!捻り出して!!!」


「ソンナ踏ン張ルミタイナ言イ方ッ!!!」


「とにかくこれは課題よ!明日までに良い意見を考えてきて頂戴!!」


「拒否権ハナイノデスカ!?」


「そんなものはないっ!!」


「ダ、誰カァー無茶振リヘノ対応方法ヲ教エテクーダサーイ!!!」



 やっぱりこのクラスで一番ヤバいのはこの担任教師で間違いないとマックスは確信した。

 その日、マックスは授業の内容がまるで頭に入らないほど催し物のことで頭がいっぱいになっていた。

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