表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hory man  作者: 慎三郎
5/11

RIDE

横須賀線は品川から逗子まで、一時間は線路に揺られなければならなかった。停車するたびに

色とりどりの夏らしい装いの若い男女が乗り込んでくる。

明らかに下車する人数より多い!

「どんどんと近づいている!」心臓がビートアップしていくのが分かる。

ふと気が付いことがあった。

夏休みに入ってから買った、読みかけの矢沢永吉の「成り上がり」をバッグに入れ忘れた。

僕は葉山にも本屋はあるだろうから、夜の小部屋で読む本を物色しようと思いなおした。

昼間は「日給 8,000円」の仕事をするのだから、夜はゆっくりできるものとしか考えていなかった。

そうこうするうちに、次の駅が逗子との車内アナウンスが聴こえた。海は近い!

逗子駅からは葉山マリーナを通るバスに乗り、葉山停留所で降りる。降りたら葉山警察とは

逆方向に少し歩くと「小池商事」の立て看板があるので、そこの路地を入って道なりに進めば

突き当たる。そこが僕の夏のベースキャンプであり、日給 8,000円上を保証してくれ

三食、寮完備の夏の棲み処の「小池商事」だ。

逗子駅で下車し、駅員に「葉山に行きたい」と告げどの路線バスに乗ればいいのか聴いた。

駅前は海のない海のような有様だった。ふくらませた浮輪を首からかけた同年代の男、

タンクトップにホットパンツ、ビーチサンダルとそのまま海に飛び込めそうな装いの女の子たち。

僕はそんな中でちょっとダサい自分に照れながら「帰りには洒落たアロハシャツをきて帰ろう」

と気持ちを引き締めた。

汗して働き報酬を得る。そして少し大人びて帰れる。漠然とした予感があった。

バスは満員で、とてもではないが座れる状況にはなかった。振り返れば家を出てから

立ちっぱなしだったことに気が付いた。それで少し疲労感。でも、ベースキャンプまでは

あと少しだ。そこでは冷たい飲み物を出してくれて「遠いところよく来ましたあ。

一日早かったですねあ。晩飯までは少しありますんで部屋で休んでくださいあ。」と、

四畳半くらいの部屋に通される。

まぁそんな感じでしょう。と、つり革につかまって必死に耐えた僕だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ