私が鍛える話 パート⑦
大変お久しぶりです…
やっと次が書けました(>_<)
ストックないのでまた時間が空くと思います…
翌日、私はヴェルトと共にギルドへと訪れていた。
…いやぁ、本当は誰とも会いたくないんだけどね!
だって、絶対私とヴェルトのこと言われるからな…
私がみんなのことを見ているように、みんなも私のことを見ている。
だから私とヴェルトの関係に変化があったことなど直ぐにバレてしまうのだ。
…え?昨日?
あー…あの後ヴェルトとお月見して、気づいたら寝てたんだよね。
私もヴェルトも風邪なんてひいたりするほど柔ではないから外で寝ること事態はいいんだけど…
みんながなんて思うのか怖くて聞きたくねぇ…!
「お邪魔しまーす。えーっと、ギルドマスターに呼ばれてるんですが…」
「あ、はい!キリヤさんですね。お待ちしてました」
昨日の受付の人に言うとすんなりと通して貰えた。
ヴェルトのことも知っているようで、特に何か言われることもなかった。
ギルドマスター室の前に立ち、深呼吸する。
いつも通り…いつも通り…!!
「おい、お前らいつまで部屋の前で…」
私とヴェルトが深呼吸しているところを、中で不審に思ったらしいギルドマスターが様子を見に扉を開けてしまった。
私は全然いつも通りではなかったし、ヴェルトも多分いつも通りではなかった。
動揺しすぎて、目の前の扉をわざわざ閉め直したくらいである。
閉めた扉は直ぐに開けられ、ギルドマスターによってヴェルトが中に引きずり込まれる。
私はヴェルトに巻き込まれて部屋の中に入った。
「おい!誰か孤児院に伝令しろ!」
「シリウスがもう行った!」
「サーレスト男爵家には!?」
「シントが行ったみてぇだぜ」
「オルディーティ侯爵家は!!」
「行ったぞ!」
「騎士団と王家にも伝えろ!」
「もう行ってる!」
うわぁぁぁぁぁ!
だから嫌なんだ!
なんでか知らないけど私とヴェルト繋がりで勝手にコミュニティーが出来てて、一つに何か知られると私の周りはみんないつの間にか知ってるんだよ!!
「情報拡散させなくていいから!ねぇ!本当に!SNSに個人情報流したら駄目って教わらなかったの!?ゼスさん来てくれてるんだから真面目に真剣にハルトについて話そう!?」
「えすえぬえす…?なんだよそれ。つーか、それはそれ、これはこれだろ。お前ら二人のことは世界が注目してんだ。早く伝えてお祝いの準備しなきゃいけないからな」
「何それ!?え、本当に意味分からないんだけど。急に世界規模の事案にしなくていいから!」
「キリヤ様、わたくしたちにとってこれはとても重要なことなのです。ハルト様を狙うクズを早く消すことも大切ですが、キリヤ様と賢者様の関係の変化をわたくしたちはずっと待っていたのですよ」
「なんでゼスさんまでノリノリなんですか…もうだめだ…恥ずかしくて外歩けない…」
私が項垂れていると、ポンと肩に手を置かれた。
振り返ってみると、伝令に行かなかった7強の二人が眩い笑顔をしていた。
「末永く幸せにな!」
「今晩は孤児院で宴会だぜ!」
二人は「誰呼ぼうか」「全員呼んどけば良くないか?」となんだか楽しそうに話し合っていた。
…うん。
これだけみんなが喜んでくれるのは、私もちょっと嬉しい、かな?
伝令に出た5人は放っておいて話をすることにした。
「さて…まずはハルト様を狙うクズについてお話します」
ゼスさんが私とギルドマスターに紙を渡す。
それには一人の貴族について詳しく書かれていた。
ギルドマスターはサッと目を通すと二人に渡す。
私もヴェルトと共に紙に書かれた情報を読む。
「クズの名前はベイギル=ヨーレリス。ヨーレリス侯爵であり、アルテルリア王国魔術師団の副団長にあたります」
侯爵か…
アルベルト様も侯爵だからややこしいな…
「このクズには弟君がいらっしゃるのですが、そちらは人格者であり、ヨーレリス侯爵領で領主をしておられます。ベイギルの排除後は彼が侯爵になる予定ですのでお好きなように動かれて構いません」
「魔術師団の副団長なら、団長は誰なんだ?つーか、魔術師団なんてほとんど見たことねぇぞ?」
「王宮の研究室に引きこもってる輩が大半なのですよ、魔術師とは。キリヤ様と賢者様は魔術師ではありませんから。ええ。二人と同列に扱ってしまっては魔術師の皆様が大変可哀想です。団長はガロット公爵です。まぁ、ガロット公爵は研究バカ…いえ、熱心な方なので部下について無頓着のようです」
ゼスさん…なんか酷いな!
というか、地味に私とヴェルトのこと貶してない??
最近みんな私の扱い雑だよなぁ。
それにしてもガロット公爵か…
公爵というくらいだから国王の血縁者であることは間違いない。
えーっと…なんだっけ…がんばれ私の脳みそ…
多分国王の従兄弟にあたる人だったかな?
引きこもりだったのが魔術に興味を持ってからは研究室に引きこもるようになった人だっけ。
人望はあんまりないけど、研究に関しては右に出る人がいないから団長を任されてるんだっけ。
まぁあとは身分的にってこともあるけど。
「で?このベイギルってやつをどうやって捕まえんだ?」
「現場を捕らえるしかないかと」
「じゃあ、ハルトたちに攻撃するのを待たなきゃいけないのか」
「そうなりますね。…キリヤ様、面倒臭いという顔をなされませんよう」
「あっ、バレた」
面倒だから消してしまえばよいのでは…とか思ってたのもバレただろうか…
とりあえず、私とヴェルトとゼスさんは今から王城へ、他はハルトのところへ向かうこととなった。
「なぁ、キリヤ」
「ん?」
7強の残っていた二人のうち一人、コルトが出発前にはなしかけてきた。
「どーしたの?」
「…いや。なんかおかしいと思ってな」
「…おかしい?」
「あぁ。キリヤとハルトが姉弟だってパーティーで知れ渡ったはずだ。学園でだって多くの子供がお前らのことを見て知ったはずだ。そのくらいの情報を敵が集めてないわけねぇだろ?」
「…確かに」
「ハルトは陽動の可能性もある。向こうはキリヤとヴェルトを敵に回してもいいだけの力を持っているってことだ。…気を付けろ」
「…ありがと…」
コルトは私の頭をぽんぽんと叩いて、ギルドを出ていった。
…全くもってコルトの言うとおりだ。
私の情報は規制してあるから強さを測ることは出来なかったとしても、私と繋がりのあるヴェルトが出てこないなんて甘い考えを持っているわけではないだろう。
…ゼスさんも掴めないような、なにかがある…
そういうことだろうか。
それとも…
私はヴェルトに呼ばれ、ギルドを後にした。