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4話 街へいこう

 もう少し更新頻度を上げれるようにがんばらないとだめですね。

 ――――会いに行こう。


 うん、そう決まったならそれでいいか。何も今すぐ行く訳じゃない。いずれ行くという方向で準備をすればいい。それに会うといっても客として商品を買いに行くだけだ。そうそう、何も戦いに行くわけじゃない。そう考えると、だいぶ心が軽くなったな。

 魔王として会う訳じゃない。となると人族に変装するかしないといけないな。魔力を使って正体を隠すのはちょっとまずいか、勇者の前に姿を現すのだから、全魔力を転生の秘術に使用しておかなければならない。

 と、なると姿を変える魔道具を使うのが妥当なところか。

 魔族の象徴である角さえ見られなければ、今のこの姿が魔族だとは思われない気がする。もしかしたら何か探知する物があって魔族だと知られたとしても、魔王だとは思わないだろう。

 ただ、念には念を入れて複数の方法を用意しておいた方がいいはずだ。何せ勇者は非常識のかたまりみたいなものだからな。


 そうして準備をしていたところ。やはりというか、すぐに側近たちに何をしようとしているのかバレてしまった。まあ、おおっぴらに宣言するわけにはいかないが、完全に隠蔽しようとしたわけじゃないから当然か。


「勇者のいる街にむかわれるのですね?」と、側近A。


「ああ、止めても無駄だぞ、どうせその様子だとお前たちもついて来るつもりだろう?」


「魔王様のことですから、止めても無駄なのは承知しております。ならばお供するのは当然です。私達は魔王様の側近なのですから」


 着いて来るのは側近だから当然だ、と側近Aは胸を張って主張してきた。まあ、それはそうなんだが、変に生真面目な側近Aが一緒だと、俺が魔族か魔王だとバレる可能性が高くなりそうなんだよな。


「魔王様ぁ、変装するなら色んな服を準備しないといけませんわねぇ」


「おいおい、変装するのは決まってるが、何着も服を用意する必要なんてどこにあるんだ?」


 そして側近Bは、何を言いたいのかさっぱりわからん、また着せ替えでも企んでるのかね。


「そりゃぁ、バレないようにするのが一番なんでしょうけどぉ。もしもバレてぇ人族の集団に追いかけられたりした時ことを考えたらぁ、変装レパートリーを増やしておいた方が余計な戦闘をせずに追っ手を撒くことが出来るんじゃないかとおもいますぅ」


 なるほどな、たしかに色んなことを考えておいたほうがいいな。

 以外ともっともらしいことを言いだす側近Bだと思ったが、そのニヤニヤ顔はどう考えても着せ替えを企んでるつもりなのは明白だ。ブレないな、ほんとに。




 大体準備は整ってきた。

 角を隠す方法は色々あるが、獣人の耳に見える効果の装飾品を着け、角に透明化の魔法陣を書き込み、認識阻害のフードをかぶるという三段構えにした。

 まあ、短期間の滞在なら問題はおこらないだろう程度の変装だ。本格的にやるなら現地調査した上で、それなりの地位や役職の人族を探し、部下に成り代わらせる。そしてその成り代わった部下の紹介で人族の街に入り込むのだ。後ろ盾があるかないかで行動のしやすさが全然ちがうからな。

 とはいえ、今回は時間がないからな、さっきの本格的なやり方は、成り代わった部下がそれなりに実績を積んでいく期間がいるからな。


 で、人族の街に行く時の設定なんだが、さすがに親子連れは勘弁して欲しい、ってことで俺は旅商人の息子で側近達がその護衛、ということになった。

 以前は成体の姿だったので旅商人と護衛冒険者とかだったんだが。

 普通に冒険者のパーティとかの案も考えたが、今の姿じゃ無理がある。それに側近達が俺に対して冒険者のような砕けた口調で会話するのがなかなか難しいようだ。護衛対象として接するのであればいつもの感じのままで済むから気が楽だとか言ってたな。


 そんなこんなで、勇者が居るであろう人族の街に向かった。一応現地にいる偵察部隊の幹部には連絡してある。変に騒がれて業務に支障をきたすとまずいので、その幹部には部下には知らせず普段道理の業務をしておくように伝えてある。





「さて、ここがペコロスという人族の街か、やっぱごちゃっとしてるなぁ」


「それほど大きな街ではないようですわねぇ」


「南方の辺境地にある田舎街ということです、マオ様」


 人族の街には以前に何度か来たことがあったが、もっと規模の大きな街にしか行ったことがなかった。その街は異世界から来た勇者のゆかりの地、として発展してた場所だったからな。ただの観光だ。

 ところで、さっき側近Aが言っていた『マオ様』というのは俺の人族での偽名だ。単純だが以前の潜入時に側近が魔王様と言いかけたのをごまかすために名乗ることとなったものだ。

 マオ・ダインが俺の偽名だ、ちなみに側近Aはアト、Bはレッタだ。


 早速、勇者の店に向かおうとしたが、それはさすがに怪しい行動すぎるので宿屋の方に向かうことにする。このあとは旅商人らしい行動をしていくことにして、現地の商売人に会っていく、じつにめんどい。

 旅商人の息子ということで、顔見世のあいさつという名目で回り歩く。

 当然勇者の店の情報も入手する。


「いつも以上に慎重ですね、マオ様」


「当たり前だ、相手は勇者だぞ! この世の理不尽のかたまりだ。目があっただけで魔族だとバレる可能性もあるんだ。心の中すら読まれるかもしれないからな、だからこうして旅商人の行動をし、なおかつ自分が旅商人だと自己暗示までして、怪しまれないようにしてるんだ」


 いざとなったら魔法が使える側近達とは違って、俺は自己防衛をする手段があきらかに少ないのだ。魔族の王なのに魔法が使えないとは、これいかに。


「そこはぁ、わたしたちがなんとか何とかしますわよぉ、それに今はマオ君でしょぉ、みなさんほほえましい目でみてくれますわぁ」


 ニヤニヤと変な目で見るのはお前だけだ。


「うん、まあ、何かあったときは頼むぞ」


「はい、マオ様」


「はぁい」


 よし、普段は魔王の演技をしてるのを、今から旅商人の息子の演技に切り替えるだけだ。

 俺は勇者の経営してる店を指差して、


「じゃあアトモン、レタ子。次はあの店にいくよ!」


 無邪気な子供っぽく言ってみた。

 側近Aは、なんか一文字違う! と叫んでたが、側近Bはグッジョブと親指をつきたててニヤリとしていた。あいつの感性はさっぱりわからん。


 この魔王、ロリババアならぬ、ショタジジイというものになるのだろうか。

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