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51話 逃走

どうもアルフです。


連れて来られた場所は、石造りの部屋。床には森で見たような光る模様。そのまま俺は両腕を掴まれながら、先に見える扉から出て廊下を歩かされる。


「驚きましたか?我々は転移魔法を完成させているのですよ。事前に斥候が転移の場所さえ設置できれば、我々はどこでもいけるのですよ」


そう自慢そうにデガービは横から言ってくる。


「……で、どうするつもりです?」


俺は冷静に聞く。


「まずはそのゴーレムを召還できるようになった魔力の事について、紳士的に尋ねようと思います。ぜひアルフ魔導士殿も変な抵抗しないで、教えてくださいね。その腕輪は土魔力を封じる魔道具ですから、抵抗は無駄ですから」


俺はそう説明されて付けられている魔道具を見た。これと似たようなものをマリースさんのところで見たな……。確か魔道具が魔力を吸って、魔法を使えなくするという魔道具。これもそうか?歩かされながらじっくり観察していると、頑丈そうな扉の前で止まり、ほら、と背中を押されて俺は入れられる。ベッドらしき物とトイレのような物しかない狭い部屋だ。見上げると高い天井に近くに窓があり、光が差し込んでいる。


後ろでガチャンと扉が閉まり、扉についている窓が開き、デガービが覗き込んで言う。


「暫くここに居てくださいね。逃げようとしないでくださいよ?」


そういうと窓は閉まる。


メテーレ達はちゃんと解放されて安全な場所に行けただろうか……。彼女達も元軍にいたし、騎士も付いているから大丈夫だろう。俺はそのままベッドに腰をかけて、手付けられている魔道具を見た。


それから時間感覚も分からない中、俺は過ごした。窓からの光も暗くなり、俺はそのまま眠る。途中喉が渇いて水魔法で喉を潤し、収納袋から干し肉を出して食べる。天井の窓までは届かない。


窓からの光が強くなり、そのまま俺はベッドでどうしたものか、考えていると、扉からガチャンと不快な音がしてドアが開く。デガービが鎧を着けた2名連れて、開けられたドアの先にいた。


「さて、アルフ魔導士殿、色々教えてもらいますからね」


俺はまた両腕を掴まれて廊下を歩かされる。いくつもの階段を上がり、長い廊下を進んでいる時に、俺は考えている事をデガービに言う。


「これって土魔法を封じているのですよね?」


両手に付けられている魔道具を少し持ち上げて言う。



「ええ、ゴーレム呼び出されたら困りますから」


「じゃ、頑張ってみるか?」


「え?いまなんと?」



俺は両手から炎を出して、右の兵士、そして左の兵士へそれぞれ顔面に叩き付ける。うがぁと兵士が倒れこみ顔の炎をもがいて払い避けようとする。


「な!なにを!ふざけた事を!」


デガービは手から水を出して兵士にかける。


俺はそれを一瞬見ながら全力で廊下を走る。後ろでデガービが逃げたぞ!と叫ぶ声が聞こえる。俺は走る。廊下の先はT字に分かれている。左に曲がり、更に走る。すれ違うローブを着た男が、お前は!と叫ぶが、俺はただひたすら走る。両手を繋がれていると走りにくい。それでも俺は走る。


先に左手に大きく開かれた窓があり。俺は滑るように止まり、その窓を覗き込む。覗き込むと、打ち寄せる波と岩肌。恐ろしく高い。廊下の先や後ろから追ってくる声が聞こえる。


咄嗟に判断して、その窓から外へ飛び出す。


俺は落ちていく。


俺は両手を落ちていく先へ向けて、全力で風魔法を出す。強烈な風が落ちていく俺を少しだけ緩める。だが、俺を浮かせる事はできず、俺はそのまま水面に叩きつけられる。


沈んだ勢いから海面に戻り、プバァと息を吐く。波は俺の顔に無慈悲に掛かる。俺はそのままは慌てながら、潜り時折は上にある建物を警戒しながら進む。


どれだけ進んだか分からないが、打ち寄せる波が少ない岩場の影に隠れるようにして腰を下ろす。左肩に激痛を感じてローブをずらしてみると、岩にぶつけたのかザックリと切れて回りも紫色になっていた。


治癒魔法を念じて試してみるが、傷も閉じないし、上手く発動してる様子はない。俺は手に付けられた魔道具を何度も岩に叩き付ける。数十回と挑戦してやっと外れたが、岩にぶつけて手や腕に傷が多くできて、血が滴る。小指は叩き付けるときに折れたようで、感覚が少しおかしい。




遠くで騒ぐ声も聞こえる。俺は岩肌に手を当て、土魔法で洞窟を造り這うようにその中に入り、入り口を閉じた。そして俺はそのまま意識を無くした。


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