05話 冒険者登録
ベロデの街のデロン馬車屋へ到着した。
赤い盾のメンバーからは冒険者組合にいるからいつでも声かけろよと言われてデカイ手で頭をグリグリされて分かれる。去っていく彼らの姿がとても勇ましく見える。
「無事で何よりだ!さぁこれが特別手当だ」
デロンさんから特別ボーナスを貰う。数えると30,000ギル。ふとベドーラ先輩を見ると俺より多いような。まぁ、先輩だから多いのは仕方ないか。同じ仕事だったとしても……。若干解せない想いで俺はそのまま冒険者組合に向う。
「あれ?ゴーウィンさんとこのアルフ?どうした?鍛冶屋は辞めたのだろう?」
受付のボイグラーズさんがカウンターから肩肘をついて俺に声をかけて来る。
「ええ、それで馬車屋で働いていたのですが、冒険者になろうと登録に」
ベドーラ先輩や赤い盾メンバーに言われたように同じく危ないからと言われるが、どうしても稼ぎたいのでとガンとして言うと、仕方ないがお前の決意がじゃなぁと言って登録手続きを進めてくれる。費用は8,000ギル。
登録簡単で紙に氏名を書いて、ペンダント状のものに血を垂らして認証する。なにやらコレをどの冒険者組合にだしても氏名や活動情報、ランクやレベルなどの情報を教えてくるらしい。
ん?ランク!?レベル!?あのゲームでいうレベルか!?
「あ……あのランクとかレベルってなんですかね?」
「お前知らないのか?鍛冶屋にいたよな?」
これだよ!これ!と紙を出して教えてくる。ランクは冒険者組合でどれだけ貢献活動したかを示す値で、レベルというのは各職業の熟練度との事。驚く事にこの世界は体力や魔力、技能なども鑑定あるらしい。
魔法がある世界だから……と思っていたが、ここまでゲームのようなファンタジーの世界だとは。なぜ今まで知らなかったのか。
「体力や魔力とか……本当にあるのですね」
「ああ、街の周りを全力で走って鐘1つの間に20周をできるのが、体力60だな、魔力は火付けを連続10回できれば、5ってとこだな、知りたきゃ裏に検査官がいるから調べてもらえよ」
「え!?」
「ん?どうした?」
「ほ……ほら…水晶とか手をかざして、魔力がいくつあるとか鑑定ってそういうのでは?」
「何を言っている?アルフそんな便利な魔法あるわけないだろ!」
聞くと体力や魔力の数値は体力測定みたいなもので、レベルは斧だの剣だの魔法を使って熟練して依頼をこなした数で上がるとか。少しがっかりしたが仕方ない。それからボイグラーズさんに冒険者組合で守る事を聞いて、いくつか依頼を見て期限が無い討伐を受ける事にする。
俺の初受注依頼……噛みつきモグラの討伐。
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”畑を荒らす噛みつきモグラを退治して欲しい”
”期限なし:危険度 小”
”足の指を喰われる事が多いので注意”
”1匹について800ギル”
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う……うん、最初だからね。そうそう。
だんだん大物を狩れるようになればいいか。
危険度 小で足の指喰われるとかハードだ。
受付に戻りボイグラーズさんに受注する旨を伝え、更に仲間募集したいと言うといきなり笑われる。
「あのな?アルフ。この街じゃ新人の冒険者は殆どいないぜ。おめぇさんも良く知っているだろ。ベテランの冒険者は新人とは危なくて組まない。考えれば分かるだろうに」
「そ…そうですね。頑張ってベテラン目指します」
赤い盾のウーワンさんも仲間を探すのに苦労すると言っていた。ここは田舎の町で皆ベテランの冒険者ばかりなら、そうなるよな。これは前途多難のような。
まずは武器を買わないと噛みつきモグラを退治できない。
現在の持ち金は48,500ギル。
あれ?ゴーウィン親方の片手剣でも210,000ギルしたはず。
中古の剣でも150,000ギルはする。
いきなり武器も買えず詰んだじゃないか?これ。