49話 森をいく。
俺達は西に位置する森に逃げた。白道が通ってまだ時間が経っていないとは聞いたが、木々の枝は街道を被るように、邪魔をする。道幅も時々狭くなり、時々ゴーレムに押してもらいながら進む。
「ここで木々を倒していきましょう!」
そういうとメテーレ達や騎士は馬車を止めて横の木々を切り倒していく。聞くと逃げるときは、追っ手の速度を下げるために、余裕があるときは、こうやって邪魔をするのが基本だという。なんでも軍の教育に乗っているという。すごいな。それならと俺もゴーレム兵をバンバン呼び出して、手伝う。
あ、道掘り起こすなよ……あとで騎士団に起こられるぞ。
俺達は進み、後ろでゴーレム兵が道を消していく。夕刻まで進み。白道から少し外れた森の中の開けた場所で野営する事になった。ただ馬車が入れなかったので、ゴーレム兵達に強引に切り開いてもらう。当然、魔物もいるので、ゴーレム兵は全員呼び出して周囲を警備させている。
ふと端末で様子が見れるのでは?と気が付いて、呼び出してみるが、この付近の事は見れないようだ。なんだろう。衛星ってこういうものなのか。仕方なく、数体のゴーレム兵を可能な限り遠くへ警戒に向わせる。
森のあたりが暗くなり、馬車で寝ようとした時に一番、遠くにいるゴーレム兵から敵兵が来たと意識が来た。何か攻撃を受けたようで、そのまま届いている意識が切れる。その後も数体のゴーレム兵を偵察に向わせたが、近づいただけで、何か攻撃を受けて意識は消える。
「皆!何かが来たようです。多分ですが、敵です」
転寝をしている皆に伝える。マッチョなゴーレム3体を残して、残りのゴーレム兵を全員攻撃の受けた場所へ向わせる。そして敵の概要が分かる。蜘蛛のように足が生えている……戦車が70匹程、いや70両か。
それとその脇にギラギラ光る大きな石がついた杖を掲げて歩くローブ姿の……魔法使いがわらわらと街道を歩いてくる。俺達のゴーレム兵を見つけると、戦車から強烈は炎の弾が飛んでくる。その横で魔法使いも同じように魔法を放ってくる。
ドォーンを俺達が野営する場所まで、音が聞こえてくる。これはヤバイ。あっというに100体以上のゴーレムは数を減らす。そのまま突撃させるが、敵兵まで辿りつく着いたゴーレム兵は少ない。
どこまでいけるか分からんが、ゴーレム兵をどんどん、呼び出して戦えるか確認をする。なるべく敵の近くに呼び出したいが、俺の近くしか呼びなせないようで。俺は手を地面に手を当てて、どんどんゴーレムを呼び出す。
地面からボゴォと手をついて何体ものゴーレム兵が湧いてくる。立ち上げるとそのまま、白道に一度出てから、敵兵のほうへドガドガと敵のほうへ走っていく。遠くではドォーン、ドォーンと。俺の付近が次から次へとゴーレムが湧いて出てくる。その光景は近くで見ていれば異常だろう。まるで地面に街の門があるように、続々とゴーレム兵が湧きだしていく。
一本道の白道の正面からだと狙い撃ちになるので、敵兵の手前から、左右の森へ突撃させて敵の側面からゴーレムを突撃させる。敵の戦車の砲や魔法使いの攻撃で、どんどん泥になっていくゴーレム兵だが、俺の呼び出しているゴーレム兵の勢いのほうが強いのだろうか。次第に敵へ辿りつくゴーレム兵も多くなってくる。
ふと横を見るとマッチョゴーレム3体が、横で陸上競技のクラウチングスタートのポーズで、俺のほうを見て、いつ突撃だと意識を飛ばしてくる。いや、おまえらここの警備だからさ?と意識すると、3体とも胡坐かいて座り、3体でショボーンとしていた。
……戦い好きですな。ゴーレムさん。
その後も、ゴーレム兵を呼び出し続ける。同時のコントロールは難しいが、消えた分のゴーレム補給は問題ないようだ。魔力次第だが……。ゴーレム兵が数両の戦車に取り付いて、ひっくり返す状況になり、敵の隊列は撤退を始めた。
無理です。逃がしませんぞ。前世の某国民的なマラソン大会のようにゴーレム兵が街道を敵列に向っていく。給水地点はおまえらだ。ゴーレム兵は敵の魔法使いを両手で掴み上げると、片手で首をねじ切り身体に、その血を浴びる。身体潤う!ポカリブラッド。どんどんゴーレム兵が現れては給水ポイントへ殺到する。
極力の逃さないようにと頑張ったが、それでも、敵兵は多くが街道を逃げられた。気が付くと白道は赤く染まってる。
あれ?これ魔力が尽きなければ、ある意味無敵では?
俺はその時はそう……安易に考えていた。
翌日までは。