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04話 冒険者なる決意

ミータルの街へ到着した俺達は馬車屋に一度向い、そこでそれぞれ用事を済ますことになった。護衛の冒険者達は一度冒険者組合に報告してから装備を直して翌日の朝には合流するという。俺達は引き取りの馬車を確認して乗ってきた荷馬車に連結して明日の朝に出られるようにしてから宿屋に向った。


宿屋の食堂でベドーラ先輩と食事しながら会話する。


「先輩、あの護衛の冒険者って強かったですね。稼げるのですかね?」

「どうだろう……今回の護衛は780,000ギルって聞いているよ」


聞くと、5人で往復6日の護衛で、780,000ギル。一人当たり156,000ギル。1日26,000ギルか……命かけてその価格はどうだろうか。護衛の場合宿代はでるが、装備は自分持ちとの事。世の中そう甘くはないなと思いながら固めの野菜が入ったスープを飲む。


その夜、ベドーラ先輩はエールを奢ってくれて、彼の冒険者は危ないという語りを聞きながら程々に酔って部屋に戻りすぐに眠りについた。





翌日は1つ鐘がなる時間に、早めに馬車の停留所に向うと程なくして、ベロデに向う一団が揃った。護衛の冒険者5名と商隊、そして俺達。


ゴトゴトと街道を東に進み、ベロデから来るときよりも早いペースで進む。護衛の一人のザルガンが俺達の馬車に乗っていて、何となくだが会話になる。ザルガンさんは頭がスキンヘッドで顔にザックリ傷跡のある厳ついオッサンだ。



「そりゃ、儲かるな。森狼は1匹30,000ギルにはなるからな」



聞くと魔物や獣を狩るだけでもいい収入になると聞く。


「だがな、魔物も獣も1匹って居ることはすくねぇんだぜ、だから俺達みたいに何人かで行動するし、狩りだけじゃ危なくって喰っていけねぇ。逆に言えば強ければガンガン稼げるって事だな!」


聞くと今回のような街道の護衛は比較的安全な仕事らしく、狩りは囲まれる事もあって危ないとの事。遺跡から出るお宝を探す冒険者も人もいるらしいが、それも危ないが稼げるとの事。


「兄ちゃんが冒険者になって稼ぎてぇってんなら応援するが、まずは仲間を探して、狩りの仕方を学んだほうがいいぜ」


「ザルガンさん、あんまりアルフに危ないこと教えないでくださいよ」


「ああ、すまんな、つい聞くからな……ガハハ」


聞けば聞くほど冒険者って良い職業では?と思えてきた。なにせこの世界は保険とか社会福祉なんて無い。街に戻ったら冒険者組合に顔を出して色々聞いてみよう。その後もザルガンさんに冒険者組合や仕事について聞きながら馬車は進んでいく。


夜の野営時、護衛の冒険者の焚き火へ向い、ザルガンに挨拶して皆の話を聞く。


この5人組の護衛の冒険者は「赤い盾」という団員名らしい。


聞くとザルガンさんが赤い盾のリーダーで斧使い、メーズさんは弓使い、デスガーさんとモーリスさんは剣を得物にして、赤髪のウーワンさんが魔法使いとの事。ウーワンさん以外は髪を剃り上げてスキンヘッドで体格がいい。前世で言うところの危ない団体に見える。


「冒険者に興味があるのか?あれ……?お前、ゴーウィンさんの小僧じゃ?」


デスガーさんが俺を店で見た事があるようだ。聞くと年に数回はゴーウィン鍛冶屋で来ていたようだが、俺は覚えていなかった。届け以外で店に来るこんな怖い顔の人ばっかりだったからな。皆同じに見えたのも事実だが。


赤い盾のメンバーは全員生活魔法が使えて、ウーワンさんは特に氷系と風系の魔法が使えるという。魔法が便利で強力だが魔力の限界があり、連発して何十発も打てない。その為に集団になって行動することなど親切に教えてくれる。


「アルフ君は話す限り頭が良いみたいだから、罠で狩りをするといいね。あと早めに仲間は見つけないとね。仲間を見つけるのは苦労すると思うけど、がんばってね」


ウーワンさんはそうアドバイスをくれる。


「間違ってもウーワンのような魔法使いなろうと無駄な努力するなよ。ウーワンのように魔法で魔物を始末できるのは限られた奴だからな」

スキンヘッドの厳ついモーリスさんが注意してくる。


図書館で見たとおりにそういった強力な魔法を使える人は確かにいるが、数千人に1人という割合らしく、それだけ強い魔法が使えれば国に仕えることもできるとの事。ウーワンさんはどうして?と顔を向けると彼は話し出す。


「ああ、僕が魔法使いで冒険者になっているか疑問に思っているかい?」


「え、ええ……まあ」


「実はもう20年以上昔だけど、王宮魔術団に所属していたよ。帝国との戦争があった時には出兵もしたよ。確かに給金は凄く貰えたけど危なくてね。僕のいた小隊も戦争が落ち着いた時には半数は亡くなっていた。冒険者なら自分で好きに仕事選んで戦えるけど戦争だと命令だの階級だの煩くてね。だから戦争で仲間だったザルガン達と冒険者になったのさ」


聞くとザルガンさん達は帝国との戦争も一緒に戦った戦友という。そもそも俺はこの国を出た事もないし、帝国がどこにあるかも知らない。帝国と戦争というのも初めて知った。そういえば、この世界の歴史について全く興味が無かったが、街に戻ったら調べておくか。


その後、彼らと焚き火を囲いながら、夜遅くまで冒険者になるのはどうしたらいいのか?という事を教えてもらった。勿論、危ないという事を何度も何度も念を押されて。


俺は既に冒険者になって稼ぐのだと決めた。


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