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36話 王都到着

どうもアルフです。

街道を進みムードスの街を越えて、明日には王都に着きます。


この凱旋で、俺の股間の小型端末はメテーレ達とのスポラディック超えて感度良好です。それはともかく、ガデール男爵とロニーグさんに王都での日程を教えてもらう。日程は街中をパレードした後に、そのまま王城へ向かって王と面談。色々と“ありがたい“お話を賜ってから、報償を賜るという。


そう……報酬!それだよ!それ!


俺は農家出身の丁稚奉公あがりの冒険者だ。幾らゴーレムを扱えるようになったといっても、言ってプライドなんてない。そんな物は腹の足しにもならない。報酬が貰えればそれでいい。ありがたい言葉なんぞいらんよ。


ロニーグさんが王城で過ごす間、嫌味を言われるかもしれないが、我慢してくれとも説明してくるが、嫌味を飲み込んで下痢になった奴はいないと前世の某課長も言っていたものね。王城では3日程滞在をしてから解散となるらしい。ならば、3日間、我慢すればいい。行きたくない社員旅行に来たと思えばいいのさ。


そんな事を考えていたが、ふとベロデの街の人はどうしてるだろうかと考えが及ぶ。そもそも一緒に戦場に行ったビドリブさんや他の仲間は無事に街に帰れたのだろうか。ロニーグさんに知っているかと尋ねるが、分からないという返答。


無事に街に戻っていればいいな……。










「明日にはアルフ魔導士殿が王都に入られるらしいですな」


王城に隣接し、魔法使いが集う建物“王宮魔導士会館”の談話室で、ミガール魔導士は話す。


「本当にゴーレムを率いているとも聞く。貧乏農家の小僧が何故、そこまで魔力を得たのか……未だ分かっていないらしいではないか」


ネビート魔導士が、忌々しいように答える。


「生まれ持った才能が戦場で開花したとも聞くがな」


「ふん、そんな訳があるかッ!」


「それが超えられない壁ではないか……ネビート魔導士?」


「クッ!!」


先程まで手にした湯飲みを、机に叩きつけるようにおいて、ネビート魔導士は部屋から出て行く。


「あ、あの……ミガール魔導士様?」


心配した他の魔導士が声をかけると、ミガールは机に叩きつけられた湯飲みを眺めながら笑いながら言う。


「ああ、いいのだ。認めたくないのはワシにも分かる。だが事実は事実で認めないとな。それにワシはネビートが嫌いだしな」



王都には現在5人の魔導士がいる。ミガール、ネビート、コモンバス、ポリィドス、ロウガスタ。その中でも筆頭として王宮最高魔導士ネビートは誰もが認める火魔法の魔導士。若くして貴族家に生まれ、学校を主席で卒業。周りからは天才だと持て囃され、歳を重ねて王国に君臨する最高の魔導士。


憤慨して部屋を出たネビートは廊下を歩きながら思う。


“ワシは天才ではない!長年、努力したからこそ、ここにいるのだ!”……と。人知れず努力を重ねた年月を思い出す。初陣で危うく捕虜にされそうになり、地を這って逃げた事や、王座を巡る争いに巻き込まれ、権力闘争に奔走した日々。その間も日々魔力の鍛錬を欠かす事なく行ってきた。


彼は考える。


水呑百姓から売られた丁稚奉公の小僧が、この国の英雄だと?笑わせる。それが奴の才能だというなら、その身体をじっくり調べてやろうではないか。血の一滴まで。そして我が鍛錬の糧にさせて貰おう。ネビートは白い刺繍の入ったローブの裾を握り締め、大理石が綺麗に敷き詰められた廊下を自室へ歩いく。







ヘックション!ヘックション!……俺はくしゃみを連発。


「アルフ様、お寒いですか?」

「いや、大丈夫だ」


メテーレが心配そうに聞いてくる。……ありゃこれは誰かに恨まれてるか?まぁいい、報酬ゲットして3日間我慢して、直ぐに脱出だ。それにしても、この数日は耳鳴りする。遺跡で怪我したせいだろうか。脳には異常はないとは思うが、この世界にCTスキャンなんてないので、ある日突然に脳溢血で倒れましたとか怖い。耳鳴りが酷い時は、ミザラに治癒魔法をかけてもらう。その時は収まるが暫くするとまた耳鳴りがする。気圧の問題だろか。それに耳の後ろになにかシコリがあるような気がする。もしかして内出血しているのだろうか。ミザラに聞くと、王都には高位の治療魔術を行える魔法使いがいるらしいので、一度見てもらいましょうと薦めてくる。勿論だ。健康第一だ。




王都へ辿りつくと、そこはお祭りか?と思うような騒ぎだった。そして何か期待を裏切るような光景だった。一言でいうと王城は前世でみた5~6階建てのビル。その脇にも何棟かビルが建っている。


「あれ?王都っていうから、城じゃ?」


「え?あれが城ですが?」


「だってほら……他の街だと、こう、建物自体が三角みたいな感じで、城っていうと、なんていうか尖った屋根とか」


俺は手で“こんな感じ”と示すが、ロニーグさんは言う。


「王都は土地の価格が高いですし、あの形が一番なんですよ」


ここはもっとファンタジーでいいと思ったが、それは俺の感覚の違いだろうか。王城の周りには壁があり、内部は騎士団の駐屯地や王宮があるという。


とりあえず、はやく報酬を貰って帰ろう。うん、そうしよう。


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