33話 文明は始まりがあれば、終わりもあります
罠がある事を5人に伝えて、前後左右にゴーレム兵を配置して奥に進む。
「ロニーグさん、なぜ古代文明は無くなったとか記録があるのですか?」
「いくつか説がありますが、有力な説は神が滅ぼしたと。変な学者は毎日が冬になって皆が凍えて死んだなんて奇妙な事を唱えてますよ」
先程の広場に着くと、ゴーレム兵をみて猿が土下座をしてくる。
「我々を神だと思ってるのですかね?」
「どうでしょうね」
先程の祭壇に行くと、先程の猿がゴーレムに必死で金属の棒を渡そうと頑張っている。もういいぞとゴーレムに意識を流すと、ゴーレムは兵に加わり、猿は俺に金属の棒を渡してくる。俺はそれを受け取り、壁の穴と回りに書かれた模様を見る。蔦が邪魔で退かしながらみるが、さっぱりだ。
「ロニーグさん、これ読めますか?」
「まってください……えっと、緊急?いや非常の時、起す?眠り?何かを起すと書いてありますね」
「ちょっと!魔王じゃない!それ魔王じゃない!」
「何言ってるの!魔王は帝国の地下じゃないの?」
「ぜったいそうよ!」
後ろでメテーレ達が、ロニーグさんの言葉を聞いて、口々に叫ぶ。
「それ以外は……?」
「いえ、読めるのはそれだけですね。それと、この祭られている髑髏は人間のものだとは思いますが、かなり古いですね、ん?表面に油を塗って風化をおさえているのかな?」
もう面倒なので、金属の棒を穴にぶち込む。なむさん!
ゴォンと、どこかで音がして、水が激しく流れる音がする。先程の浸水していた場所か?とゴーレム兵を行かせると水が引いて、階段を下りる事ができるようになっている。
ゴーレム兵を先に行かせて、俺達も入ろうとすると、猿達が騒ぎ出して、俺達を邪魔する。そして俺の手だけをひっぱり奥に指さす。
「あれじゃないですか?魔王と対決は1人だけだっていうかしら?」
「いや、魔王がいると決定したわけじゃないですよね……メテーレさん」
「絶対そうだよ!あたいは分かるよ!」
「アルフ様、治癒魔法でも死んだら無理ですぅ」
もう半ば面倒で、俺は階段を下っていく。危なくなったら向こうでゴーレム呼び出せばいいやと考えて。階段は2~3階の距離で、水の中にあったために苔でヌルヌルして、危うく数回転びそうになったが、横に手すりあり、掴まって難を逃れた。
階段を降りると、まだ足首まで水が残る通路があり、先には開いた扉があり明かりが漏れている。俺は罠に注意しながら、ゆっくりと扉を開ける。
そこは壁も天井も白く明るい部屋で、天井にはロボットアームのようなもの生えており、部屋の中心に5つの大きなカプセルのようなものと手術台のようなものがある。カプセルは表面がガラスのような素材で、中身が見えそうで、近づき覗き込むとミイラ化した人間が入っていた。なんだよ?これ?
その瞬間、ブゥンと音がして、後ろに少女が立っていた。驚いて俺は距離を取ってゴーレム兵を呼び出そうしたとき、少女がキュインキュインと鳴くように話し出す。……が俺には理解できない。俺はなんだ?なんだと言葉を放つと彼女は壁を指さす。
そこには、前世で見た事ある物、ヘッドホンのようなものある。それ付けろというのか?というと、またキュインキュイン言うので、俺はそれをつける。付けた瞬間強烈な耳が裂けるような高音で、俺は気を失った。
どれくらい経ったの分からないが、俺は頭を抑えて立ち上がろうとすると、自分が全裸で手術台の上だと気づく。
「な!なんだよ!これ!怪人にされたのか!?」
「安心してください。身体に問題がないか確認して、アップグレードしただけです」
「あ、そう、なら安心って、アップグレードは良く確認しないとソフト動かなくなるしね……っておおお!おい?誰だ!というか、あんた!話せるのか!?」
「こちらは変わりません。アップグレードした為ですよ」
壁に俺のローブか引っ掛けてるのが見えたので、俺は転がるようにそれを取って着込んで、目の前の少女の襟首を見る。え?後ろ透けてる。ゆ、幽霊か?いや、映像か?
「おまえ……いや、お嬢ちゃん、人間じゃないよね?」
「この施設を管理するシステムです」
天井を見るとアームの1本から、光が出ていて彼女を映し出している。立体プロジェクターか。
「この施設は……冬眠というかそんな部屋ですかね?」
「はい、この施設は災害時の閉鎖人工生態系を維持する施設です」
おお、すごく聞きたい。古代文明がどうなったか。もうね、古代文明とか大好物なんだよね。失われた文明!もう手を出してノストラダムスっ!とか叫び出したいぐらいだ。そうして人類は宇宙にいったのか?ん?どうなんだ!?
そして俺は彼女が説明で、この世界の事を知った。
人間はいつの時代も、どの世界でも争い大好きな狂った生き物だと。
文明の始まりがあれば、終わりもあるものです。




