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03話 護衛の冒険者と一緒に森を抜けるよ

宿屋に帰って悶々とどうしようかと考えていると疲れから熟睡してしまい、結局は逃げる事もせず朝になり、翌日職場に出ると、俺は翌日に西の森を抜けてミータルの街へ向うことが当然のように決まっていた。


魔の森を抜けることになった俺とベドーラ先輩、そして冒険者組合から護衛は5名。通常は護衛に護衛5人も雇わないらしいが、ミータルの町にある馬車を引き取りのほかに今回は馬車の引き取りの他に商人も同行して荷物の輸送も含まれているという。


荷馬車と箱馬車、それぞれ馬2頭に引かれた馬車2台に分乗する。俺は荷馬車で箱馬車の後ろを馬の手綱を引いて付いていく。


「あの、ベドーラさん?今回どうしてボロークの2頭立てなんですか?」


この世界のボロークと呼ばれている馬は大きい。転生前もあまり馬を近くで見たことは無いので詳しい訳ではないが、この世界の馬は俺の身長より遥かにデカイし、足なんて俺の腰周りより太い。そもそも角も生えているので馬なのか牛なのか分からないが。ともかく、荷馬車で4~5人と荷物ぐらいなら1頭で十分のはず。


すると、ベドーラ先輩が口を開くより先に荷台から後ろから冒険者の一人が答えてくる。


「ああ、それはな、もし魔物に囲まれたときに逃げる為だ」


彼によると多くはないが、たまに魔物に囲まれる事があるらしい。そんな時は引いている馬車をはずしてボロークに乗って逃げるらしい。


更に続けて冒険者の彼は、前を行く箱馬車が大切で何かあったらこの荷馬車は囮役だぞ?とも言う。お前達は聞いていないのか?と言われて、俺とベドーラさんは怯えながら「はい」と答える。


「ベドーラさん、この仕事ヤバイじゃないのですか?」


「だ、大丈夫だよ……アルフくん……ほ、ほら……そうそう魔物に囲まれるなんてあるわけないよ」


そんな会話ベドーラさんとの会話を引き続き冒険者の彼は話を続ける。


「確かに、そうそう囲まれる事は少ない。だがな?この街道は騎士団の白道から時間が経っているから気をつけたほうがいいぞ」


騎士団の白道とは、国が騎士団を編成して、道を整備しながら行進の事。太鼓を叩きながら数百名にも上る騎士や工兵が道に倒れた木々を退かし、道に石灰を撒きながら踏み固めて進む。要は定期的にある道路整備。


おかげでこのベロデの西の森は深いがベロデとミータルまでの直線は森を貫くように道が危険はあるが、街道が通っている。騎士団の白道が行われた直後は街道が比較的に安全で、交通が捗り行商も多く町は賑わう。ベロデの町とミータルの町のこの街道は数年に1度しか行われない。つまりとても危険だと彼はいう。




鬱蒼した深い森の中の街道を進む、地面に撒かれた石灰から外れないように2台の馬車が進む。その日は夕暮れに開けた場所で野営する事になった。

(ボローク)は馬車から外して休ませる。


「おい、馬車屋のお兄ちゃんよ、俺とザルガンが暗くなる前に夜を越す分の枝を取ってくるから、お前らでそこの石を積み直して火を起しておいてくれ」


いかつい冒険者の一人に言われて、指を指された場所をみると随分と前の使われた焚き火の跡があった。この森の中で開けた場所は野営するポイントらしい。俺は崩れた石を積み直して、落ち葉や細かい枝を集めて、火付け石と炭化布を出して火を起す。


少し湿り気があったが、気持ちよく煙と火が見えたぐらいに、冒険者が太い丸太をいくつ抱えてきた。彼は武器の斧で器用に燃えやすいように丸太を切ると俺が起した火に木々を入れる。また水分がある丸太だが、旨く燃えていく。他にも焚き火ができる石積みがあるので、俺はそれぞれ火をつけて回る。


それからあたりが完全に暗くなった時には、皆で焚き火を囲って食事が始まった。メニューは干し肉と黒パンとグブ豆。冒険者は魔法が使えるらしく魔法で鍋に水を出してもらい、干し肉とグブ豆を煮込み、黒パンにつけて食べるというスタイル。


干し肉にもグブ豆にも日持ちするように塩が強いので、塩辛いぐらいの味だが、固くパサついた黒パンに意外と合う。ふと冒険者を見るとお酒も飲んでいるようだ。


酔っ払い状態で魔物が襲ってきたら大丈夫なのか?と彼を見つめていると、察したのか魔物避けの香木も焚いているから大丈夫だと言う。


商人達は箱馬車で寝るようだが、俺達は荷馬車の回りで交代しながら最低限の睡眠で、俺も数時間毎に起きて焚き火に木を投げ込みながら、暗い森を見ながら不安で過ごした。


空が明るくなり、そろそろ夜も明けるという時間になり出発準備に取り掛かる時に、冒険者が大声で馬車に登れと叫び、先を見ると森狼が襲ってきた。


俺は馬の付けている耳当てが外れないように気をつけながら落ち着かせるために顔に撫で、その間に先輩が綱を近くの木に縛り、馬車と馬を外してから、二台から麻で織り込んだ丈夫な布を掛けて伏せをさせる。


怯えてボロークの脇で見ていると、なんてことはない冒険者は襲ってきた森狼を軽く狩る。


…つよいな。冒険者。



冒険者は狼の首をざっくり切ってロープで荷馬車の脇に吊るす。聞くと進みながら血抜きして、抜けたら毛皮と食材するという。血で魔物が来ませんか?というと心配しすぎだという。そんなものか?



それから結構な頻度で魔物に襲われたが、

もう一度野営して翌日の夕方には俺たちはミータルの街に辿り着いた。


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