25話 大抵の事はお金で目を瞑ります
ホーシャムの街の冒険者組合の前には大量のゴーレム。そして騎士団や街の住民が集まった。
「ほら、そこそのロープから入らないで、ほらほら!」
窓の外を見ると、街の騎士団が縄を張って周囲を立ち入り禁止にしている。そして縄の中には俺が召還したゴーレム達が冒険者組合の職員を囲うようにビッシリと整列する。職員は地面に座らせていて、時々用を足したいのだろう、あの厠に……と職員が立ち上がろうとするとゴーレムが両肩にモンゴリアンチョップして、職員の中へ蹴り飛ばす。
その様子を見た女性職員はひぃぃと叫んで声を殺して泣く声が聞こえる。冒険者組合職員は240名。全員がゴーレムに囲まれている。結構、怖い状況だ。
「アルフ様がご無事でなにより!」
メテーレさんが苦しいくらいに抱きついてくる。ああ、胸がね。胸がいいよね。そんな事よりこの事態をどうにかしないと。この冒険者組合の長はウールシェッドというらしいがゴーレムに手厚く黙らせられたので、現在失神中だ。俺を押さえつけた3人をゴーレム達が引きずって建物の中連れてくる。水魔法で冒険者組合の長に水をかけるが、起きない。
マッチヨなゴーレムが手からニョキと小刀を生やして、振りかぶろうしたら彼は、待て待て!と起きて後ずさる。ガキッンと股間の間の床にざっくりとゴーレムのクローが刺さり、ひぃーと彼は叫ぶ……起きているじゃないか。流石、組合長失神した振りも長ですな。
4人は土下座して謝ってくる。
「本当にすいません!申し訳ありせん、まさか本当のアルフ魔導士様だとは!」
「俺は気づいていたのですが、組合長が!規則で!」
「そうです!俺たちは規則に従い!」
清々しいまでの上司に責任を押し付けるその態度……嫌いじゃないです。
「お前たち……ああ、私の責任で間違いないです。彼らは責任ありません、どうか彼らだけは」
「「「組合長!」」」
「いや、俺が悪いんです!アルフ魔導士様!俺を処刑して彼らだけは!」
「何を言っていんだ!もとは俺が受付でしっかりと見てないからだ!アルフ魔導士様!
「ちがう!俺が悪い!アルフ魔導士様!俺の首で許されるなら!」
「……お前達」
お前達……言いながら、こっちをチラチラ見ているじゃないか。それ何か不祥事起したときに訓練されている芝居だろ。間違いなく。メテーレ、こいつらはといいかけてメテーレを見ると目を潤ましている。
「なんという自己犠牲愛!アルフ様どうか彼らに慈悲を!」
メテーレはそういって俺の手を取って言う。
手ごたえを感じたのか4人はそれぞれに口にする。
「ああ!メテーレ女神様!」
「慈悲深い!」
「お美しいのは顔だけではないのですね!」
「……まぁ、そんな」
「メテーレさん、これ彼らの演技ですよ?」
「え?」
___チッ……。
おい、お前ら舌打ちしただろ。結局、ガデール男爵も含めて街のお偉いさんを巻き込み冒険者組合で、その直後話し合いが持たれて、冒険者組合は俺に慰謝料を出し落ち着くことになった。
いや、いいですよ無事でしたからといいながらも幾ら貰えるかという非常にデリケートな交渉の中、俺は8,700,000ギルを貰う事になった。だが、ガデール男爵が英雄の評判もありますから、こうしてくださいと提案してきた。内容は貰った金から孤児院と教会へ寄付して、夜に冒険者組合の職員と集まる冒険者で食事会を開くという。反論する間もなく、それが決まってしまい。俺の取り分は4,000,000ギルとなった。
金が貰えれば大抵の事は目を瞑れます。
お金があれば、我慢もできる。
俺の我慢なんぞ、お金に比べたら安いもんだ。
そう、喜んで許す。俺は現実主義だ。
現在の俺の預金金額358,450,120ギル。
これだけお金があれば、逆にお礼を言いたいところだ。
そして、ゴーレムは3体を残して全て左腕の痣に収納できた。それにしても痛い。呼び出す時も戻すときも地味に痛い。
今回ゴーレムは340体。どれも身長2メートル程で泥人形感が出ているので、いずれ3体のように加工したいな。ただ職員蹴り飛ばしたりしていたが、あまり私がコントロールできないような……。
「アルフ様、今回の件、やはり見た目も大事ですわ。この足でローブ専門店へ行きませんか?」
まだ夕刻まで時間があり、俺は金を5,000,000ギルほど下ろしてメテーレに案内さえて、騎士団とローブを会に行く事になった。すいません、騎士団さん。一緒に来てればこんなことなかったのに。見た目って大切ですね。




