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21話 鍛錬こそが明日の道

どうもアルフです。

ホーシャムの街はラハラムの街から近いと思っていたのですが、3日も掛かるとの事。途中で2回も野営するという。ボロークも休ませる必要があるので、日中も数回休憩を行う。流石に天幕は張らないが日差しもキツイので、俺は街道沿いに土魔法で簡易な小屋をモコモコといくつか造り、ボローク()の為に水飲み場を造り水魔法でたっぷりと水を飲ませた。まあボロークは前世のラクダのように水がなくても結構丈夫だとは聞くが、流石に可愛そうだからな。


騎士団の皆に喜ばれたが、特にボロークにはベロベロとねっとり粘液で俺の顔を舌で撫でまわされて喜ばれた。まぁ可愛いからいいが、これは乾くとカピカピして臭くなるので、水魔法でその都度流した。ちなみに耳の後ろが喜びポイントで爪を立ててカリカリしてやると目をうっとりさせて若干キモい顔する。つい馬車屋で働いていた癖で数頭をやってあげたら、囲まれて危うく全身ベトベトのカピカピなる所だった。


周りの騎士も微笑んで声をかけてくる。いや、こっちは結構必死だが。


「アルフ魔導士殿はボロークも手懐けるのがお上手ですな」

「いえ、暮らしに困り、馬車屋で過ごしていた事もありますから」


そんな幼少をお過ごしかでしたか……と言って、急に暗い顔になっていたが、まあそれほど相違ないので、そうですねと答えておく。こっちはベトベトを洗い流すので大変なのだ。街に着いたら、ローブを新調しよう。宿屋で洗っては貰ったが、さすがにもう10日以上は来ている。袖の部分が若干解れて来ているしな。

いや、別にローブでなくてもいいが、ローブは楽だ。


豪勢な箱馬車と騎士団が街道を西に進む。


日に数回の休憩は乗り心地の良い俺達には不要なので、休憩の度に小屋や水飲み場を造る以外は暇なので、ゴーレム3体ともう1体を作り出して鍛錬する。造れるには造れるが、意思疎通のコントロール上手くできない。上手く説明ができないが、既にいる3体は自分であった自分でないような状態で、こちらが意識すれば、そのように動いてくれるのだが、新たに呼び出した1体は言う事を聞かない子供のように若干意識した動きと違う動きを見せる。


何度か挑戦した多少はコントロールできるようになったが、横で筋肉ポーズしている3体とは明らかに違う。良く考えると3体も勝手に筋肉ポーズって意識と違う動きのような……。


休憩中はゴーレムを操る訓練。そして馬車の中では治癒魔法と魔法書の翻訳と写しで、3日は鍛錬の日々。3日目になり、やっとホーシャムの街が見えてきた。近づくにつれ、大歓迎の横断幕がバタバタと揺れて見える。


「ほ、本当に大歓迎ですね」

「それはそうですよ!私だって号外見たときに一生物の催事とドキドキしましたもの!」


メテーレは荷物から折られた紙出して、広げて見せてくる。



______________________

伝説のゴーレム兵を造り出したる魔導士が

デダーブ平原で帝国を打ち破り王都へ凱旋!

______________________

  我が王国の英雄アルフ魔導士!  

「私がいる限り、帝国の蛮行は許さない!

 王国の平和は私が守る!集え勇士!

帝国を打ち砕く其の日まで!」

______________________

※ ラハラム、ホーシャム、ベドレーデ、ムードス

※ 上記の各街にて祝賀会を開催予定

※ 生きる伝説に会える機会!

※ 入場料あり、参加者は領主にて選別

______________________


おぅ、すごくプロパガンダです。

……というか祝賀会入場料あったのか。これは?という目でガデール男爵を見ると、とても良い台詞ですねとニタニタ笑う。え?え?と顔を覗くと堪えるように笑っている。


「父なんて、私を祝賀会に入らせるために、お金と人脈を全力で使ったと言っていましたわ!」

「あ、そうなんだ……」


メテーレさんの夢を壊さないように、一応書いてある台詞をブツブツと復唱して覚える。ん?と紙の裏をみるととても恥ずかしい戦隊物のヒーローがいうような台詞も書いてあり、一瞬、目の前が暗くなった。


街へ着くのが怖くなった。


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