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15話 少し世界を知る

どうもアルフです。

連日ですが、夜はガデール男爵に呼ばれて食事をしています。田舎出身ですからと謙遜して色々と教わるが、俺はこの世界の事を激しく無理だった。


「アルフ魔導士殿は、余程、魔法の鍛錬に余念が無かったと見えますな、そうですか王国の事を知らないとは」

「いえ、まぁ、田舎から奉公に出て、まだ数年ですから」

「はは……そうですか、てっきり見た目若いのでエルフ族かと思いましたぞ。まさに神が遣わした才能!生きる伝説ですな」

「あ、はぁ、どうも」


禁制らしい魔力を吸収する石を飲んで、こうなりましたとは言えない。禁制破り!処刑DEATH!とか怖すぎる。……冒険者組合の赤い盾のウーワンさんにでもこっそり聞こう。いや、ボウダテの実家に届けた時に聞くか。


それはともかく、この世界の事を色々と彼らは俺が知らないと言うと丁寧に教えてくれる。この国はバウロ王国というらしい。国の名前を今知るとは。本当に知識に欠けている事が多すぎる。

今回の戦った帝国については単に帝国という名らしく、ビシーダ帝王が治めているという。200年も前からデダーブ平原の所轄を巡り戦っているとの事。どの世界も戦争は絶えないと思いながら聞く。


このラウデ村からベロデは馬車で25日程の距離だという。軍の行進で50日以上かけてデダーブ平原に来たが、やはり馬車で帰ると早いな。ガデール男爵は王都まで付いて来て欲しいというが、如何なものか。渋ると報償はだしますので、というので思わず目が$マークなって、仕方ありませんねと承知する。



明日には馬車がくるという時になり、殺した帝国兵の荷物を検分してくれと騎士に呼ばれる。革や一部金属の鎧、剣や弓、丸盾や貨幣、家族への手紙など。ふと豪華そうな装丁された本を見つける。


「敵兵に魔法使いも居たようですね。この3冊とローブとブレスレット、袋もそうみたいですよ」


本を拾い上げて中身を見ると魔法書のようだ。マリースさんの魔法道具屋では仕入れられないような高級本だ。この世界の本は価格が高い。特に魔法に関して記した本は異常な価格だ。マリースさんのところにあった魔法書も絵本みたいな内容で1冊300,000ギルと職人の1ヶ月分の賃金に値する。この本ならとんでもない金額がしそうだ。それが3冊も!!このローブとブレスレットどちらも高値の予感だ。袋はわからんが。中身は空だ。剣や装備も金になるだろうが、価値がわからない。


ちきしょう。真面目に鍛冶屋で働けばよかった。


「あ、えっと、この魔道具は私が収めても宜しいでしょうか?」

「ええ!勿論です魔導士様!」


ゲットだぜ!これは儲かった。ビバ魔法書だ。帰るまでにしっかり読んで写して、街に帰ったら高値で売りさばくぜ!ローブもブレスレットも期待できる。今回の出兵の費用と合わせて数年は仕事しなくていいほど稼いだのでは!?帰ってゴーレム使って狩りもすれば俺の人生は安泰すぎるだろう。


……その時は、俺はそう真剣に考えていた。

街に戻ったらどうなるかなんて想像できなかった。

そして検分した剣の中には一振り600,000ギル以上する剣も多かった事も。


貰った荷物を小脇に抱えて、軽くスキップして宿屋に戻るアルフの後姿を見ながら騎士達は会話する。


「なんとアルフ魔導士は、金目の物には目もくれず、魔法書と魔道具を選ぶとは!」

「ああ、あれほどの魔法を行使しながらも、更に魔法書をみて、あれほど喜ぶとは……」


「フランツ副団長が言っていたが、アルフ殿は故郷から奉公に出されて自ら鍛錬されてきたと」

「なんとッ!己に厳しいお方なのだ……」




うきうきで、魔法書を宿に持って帰って、広げて直ぐに気がついた。俺は帝国の文字が読めないと。夕食時に其の事をガデール男爵に言うと、副団長のフランツさんが1人の騎士を連れてきてくれた。


「ゲアドリといいます。恥ずかしながら祖父が帝国の人間で、故郷も帝国国境から近く、交流もありました。言語も解りますので、これから道中お使いください」


その夜からゲアドリさんと貰った魔法書の解読する事になった。それはもうお金が掛かっていますから。必死ですよ。解ったことは凄く難しいという事。



翌日には村に馬車が来た。至る所に装飾が施された恐ろしく豪華な馬車だ。引いている馬のボロークも見た事のないような金の刺繍された生地の服を来ている。ボロークに服を着させるってどれだけだよ…。ボロークも嫌がっているだろうに。そういえば、前世でも居たな愛犬に服を着させる人(シロガネーゼ・ザマス)。まあ、本人の自由だからな。


豪華な馬車と騎士団100名程が見事な整列を見せて俺達の前に止まる。ガデール男爵いつもこんな豪華な生活しているのか。さすが貴族だな。


「さ、アルフ魔導士殿もお乗りください」

「あ、俺、いや私は騎士と一緒でいいので……」

「いえ、なりません。ぜひお乗りください。乗り後心地もいいので、中で魔法書もお読みになれますから!」

結局俺は、ゲアドリと一緒に翻訳と写本しながら南へ向う。


はっきり言って俺は王都が何処にあるか知らない。ミータルの遥か北西にあると聞いているが、それも定かでない。北にあるならボウダテさんの実家に先に行くのも悪くない。まぁガデール男爵を王都に届けてがっぽりお金を貰えばいいだけだと。ゲアドリに聞きながら、必死に解読しつつ本を写し続けた。


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