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14話 終戦

中立地帯のデダーブ平原での戦いは王国側54,500名を召集して、死傷者35,631名、死者は12,530。帝国側は59,500名、死傷者は26,021名、死者は8,980名。王国の被害は甚大で、半数以上の死傷者を出した。平原で完膚なきに敗戦し、王国領土が蹂躙されるとう寸前で、帝国が撤退をした。


バウロ王国城、王座の間


帝国が撤退し、2日が過ぎた頃、王座の細く長い赤い絨毯の先に100名程が王座に向けて膝を突く。


「で、なぜ帝国は撤退したのだ」

「はい、密偵によりますと、我が国のゴーレム魔導士を危惧して撤退したとの事ですが……」


「だが、王宮の魔導士に、そんな者はおらぬではないか?」

「お、恐れながら、報告ではラウデ村からガデール男爵からの伝令と、密偵からの情報とも一致しております」


第27騎士団を率いるガデール・フォン・グライム男爵の伝令にはベロデの街出身の魔導士アルフがゴーレムを率いて帝国軍を打ち払ったと記されていた。


「魔導士アルフか……、ネビートよ、何か知っておるか?」

「はい、伝令を受けて調査しておりました、その者はベロデの街の鍛冶屋の奉公出身で、現在は冒険者との事です。この度の戦はベロデ義勇第17工兵隊の班長として参加しておりました」


王宮最高魔導士ネビートは答える。ネビートは密偵からの情報が来て直ぐに元部下のウーワンへ連絡を取りアルフなる人物の素性を調べた。情報からは魔道具店で働いていたとの情報もあったが、伝説のゴーレムを扱うような計り知れない魔力を持つ人材が居たとは信じられなかった。


「な!なんと真か!それほどの逸材が田舎から工兵として参加していたとは!!」


王は暫く考えてから、声にだす。


「いかにその者を……」

「判っております。王国内に広く広め、報償を取らせます故に」

傍らに控えるレムース公が答える。また膝を突く皆が頷く。


「そうだな、盛大に!帝国への当てもあるからな」



いやーすっかり休んだ。休みましたよ。

どうもアルフです。


ラウデの村でゆっくり休み、もう1泊……もう1泊と既に3泊4日。

聞くと帝国は撤退しているとの事で、その理由は俺にはわからないが、どんな理由であれ安全なら俺はそれでいいと思う。直ぐに帰ろうと思ったのだが、ガデール男爵が必死に引き止める。伝令を出して、往復の馬車を依頼して数日で来るから、ぜひ休んでくださいと言う。


まぁ貴族が言うなら仕方ない。うん、仕方ない。長い物には巻かれるのが社会で生きていくコツだと、前世での先輩が言っていたからな。


男爵はあれだな、俺に護衛されたいのだろう。いや、貴族だからフカフカの乗り心地の良い馬車に乗って帰りたいのだろう。贅沢だな。全く貴族って奴は。


俺にしても、塹壕掘ったり、洞窟の中で数日過ごしたりと、大変だったから、この束の間の休みは癒される。聞くとデダーブ平原での戦いは20日以上にあったとの事だから、あの洞窟には17~18日居たのか。

早く土魔法の教えてくれたボウダテさん故郷へ預かった手紙とお金を届けに行かないと。ボウダテさんの故郷は北部の……手紙を取りだしてみると……バダルーツの街とある。一度、ベロデの街に帰ったら、直ぐに行こう。



4日目なり、ガデール男爵があと2日で馬車がくるので、お待ちをというので更にあと2日この村に滞在する事になった。といってもやる事がないので、ラウデ村を見て回る。建物が40~50軒、人口は300人程だという。この村は帝国でも王国でもない中立の立場で、領主もおらず村の代表が治めているという微妙なバランスに成り立っている。今回の戦争も勝つ国に味方するという意思らしく清々しいまでの民精神だ。


塀でも作ってやろうかと思ったが、それも余計な心配だろう。河も近いし井戸も必要ないだろうしと村を歩くと、異常に村人が怯えている。


あれか?こいつら(悪魔ゴーレム)のせいか?後ろに護衛のようについてくるゴーレムを見上げながら、ため息をついた。そういえば、ずっと呼びだして動かしっぱなしだが、土に戻せるのだろうか。村はずれまで行き、試しに土へ返れと意識するが、彼らは首を傾げて、土に戻る様子はない。


あ?あれ?


じゃ、俺の魔力が足りなくなるまで、一生動かしっぱなしなのか?そう考えていると1体が俺の左腕を指差してツンツンしてくる。イタッ!痛いって止めろよ、お前の爪は小刀だぞ。


まったく…なんだよと、ツンツンされた自分の左腕を見ると模様のような小さな痣ある。なんだ?これは?ゴーレムを見上げると、俺の痣と自分を指差している。ん?ここに?と意識した瞬間、ゴーレム足元に光る模様が出る。同時に俺の左腕の痣がピリッと痛み、ゴーレム1体が消えた。


え?これ痣に収容されるのか?ゴーレムって土からゴリゴリ形成されて出てくるのじゃ??逆に出て来いと意識すると、左腕の痣がピリっと痛み、目の前の地面に円形の光る模様が出て、消えたゴーレムがポーズ(マッスルポーズ)をつけて現れる。結局、3体と1匹は痣に収納でき、そこから召還することができた。ただ呼び出すときに、3体と1匹が戦隊物のようにポーズを決める。


……お前達好きだな。ゴー○ドジム出身か?



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