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11話 生き残りの兵士と出会う

翌日、荷物と加工して持てるだけの肉を持って、河沿いを歩く。途中に崖があり時々河を横目に迂回もしたが、問題なく進んだ。地図の尺度が問題なければそろそろ森を抜けるという時に、人の声が聞こえた。気づかれないに近づこうとしたが、ずっと泥人形を出したままで、足音で気づかれ、白い鎧を着て剣を構えた5名が現れた。


「こっ!?これは……魔導士様!失礼しました。ご無事でなにより!我ら北部ガデールから派遣されました第27騎士団です」


俺の姿を見ると、そういって剣を下ろして胸に手を当て、挨拶の格好をしてくる。魔導士?このローブのせいか?


「あ、俺はベロデの街から来た義勇第17工兵隊で……」


俺は焦りながら自己紹介をする。騎士は“ささ、こちらです”と森の開けた場所へ案内してくれる。少し歩くと天幕があり、30名近い鎧を着た騎士が俺を見て、急に立ち上がり敬礼をしてくる。“ど、どうも”と俺は挨拶をしながら、天幕に案内される。


中に入ると育ちの良さそうな肌の白い男性が座っていて、俺をみて立ち上がり握手を求めてくる。


「ああ!魔導士様の生き残っておいでとは!私はガデール・フォン・グライムです」


「俺…いや、私はベロデの冒険者で今回徴兵されたアルフと申します」


どうみても貴族だ。俺と言い掛けて、失礼かと思い丁寧に言い直した。


「そうでしたか!確かベロデは南西の街でしたな、その質の良いローブや後ろに連れているゴーレムを見る限り余程高名な魔導士様とお見受けします、こちらも知り及ばず失礼しました」


「い……いえ、単なる冒険者ですから」


「ははは、謙遜されなくて結構ですよ、それにしても……この度の戦、非常に苦しいものでしたな」


椅子を出されて、座るように薦められて俺は座ると、木製のカップに酒らしきものを注がれる。


「我々もやっとここまで辿りつき……こんなものしか御座いませんが」

「いえ、ありがとうございます」


話を聞くとデダーブ平原での戦いで、ガデール男爵率いる第27騎士団は戦闘が激化した際に敵陣に切り込み突撃したが、安易に成功したので可笑しいと自陣を見ると北と南から迂回して帝国軍に回りこまれているのを見て応戦するも既に遅く、周囲の騎士団を率いて南下して王国に戻る事にしたとの事。


……というかガデール氏は男爵って貴族か。初めてみたよ……貴族。



地図を広げられて現在の場所を示される。

挿絵(By みてみん)


「アルフ殿、我々は現在ラウデ村から徒歩半日の距離ですが、既に村は帝国兵士が500名ほど駐留しており、帝国の占領下です。我々も先日まで村にいたのですが東の街道から帝国軍が来たのを見て、我々はこの森に逃げて来ました。偵察によると東の街道の橋も兵士に抑えられている模様です」


示された地図をみると、もうこれは河を渡って森を抜けるしかないのでは?と思う。


「我らが村を出る時に仲間の兵士が数名捕らえられおり、救い出したいと考えていたのです」


ん?村に敵兵が500名いるのでは?と聞くと、ガデール氏は頷く。どう考えても無理じゃないか。聞くとガデール男爵の第27騎士団以外にも北部の貴族の騎士団も混合で居たという。中には貴族を含まれるという。聞くとこの森にいる騎士は全員で47名。貴族だか蛮族だが知らないが、10倍以上の500名の帝国兵相手に戦うのは無謀としか言えない。


「ぜひ!魔導士殿のお力をお借りしたい!」

「え?それ無理じゃないですか……」

「何を言います!ゴーレム3体を従える魔導士殿の力があれば!500や1000の帝国兵など!」


どうも会話が噛み合わない。ゴーレムってただの泥人形だぞ?ねぇ?と泥人形を見ると俺の意識が反映しているのかコクコクと3体とも頷く。


「おお、ゴーレムも賛同してくれますか!」


それはない。それはないわ。俺を含めて1人と3体が手を前に出して左右に振る。


「分かっております!報償は存分に!」


なに……それ、どういう解釈だ。






明日、半ば強引に村へ出撃する事になったが、この泥人形にそんな力はないだろう。もう心配しかない。案内されて天幕を出た。すこしゴーレムの力を試したいというと、数名の騎士を連れてくる。


「ささ、魔導士殿、彼らが相手しますので、どうぞ」


「は、はい……じゃ、ゴーレム1号、相手をしてくれみて」


騎士がゴーレムに剣を切り込むと手でがっちり剣を掴み、反対の手で騎士の喉を掴んで持ち上げる。騎士は足をバタつかせる。おいおい!ちょい危ない。殺しちゃうぞ、やめやめ!


放された騎士はゲホゲホ喉を押さえてしゃがみこむ。




「ああ、申し分けない!!本当に申し訳ない!」


「い……ゲホゲホ……いえいえ、さすが伝説の魔術ゴーレム!で……」


ん……伝説?ボウダテさんから教わったゴーレム育成の魔法で、魔力が多いから動いているだけだが、なぜ伝説なんだろう。俺よりも土魔法も魔力も多い奴はいるだろうに。不思議になったが、お世辞かと思い気に留めずそのまま他の騎士と試合をさせる。


その後もゴーレムの喉輪禁止で騎士数名を相手にしたが、完全に無双していた。調子づいて、少し1体のゴーレムも大きさを3メートルほどに上げおいた。足元がふらつくので太く固くして、安定した。これで踏まれたら痛いだろうな。内臓が一気に口から飛び出しそうだ。その後、ゴーレムを数体呼び出せるか確認したが、やはり3体以上はうまくコントロールできなかった。


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