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超能力と世界の終わり

 朝一番家から飛び出ると、もう日常が始まるはずだった。僕の頼りない計算によるとだけど。だけどそこには飛び切りの笑顔を浮かべるにっこにこの魔女がいて僕の計算は早くも狂ってしまっていた。

「勇作!」

「げ、P・M」

「勇作、勇作。学校。学校。行こ。行こ。私、昨日の内にこの世界のこと予習して来たんだよ。だからね…」

 そこでP・Mの言葉が、九条さんの言葉が止まる。僕の背後にいる存在を認識して。ああ。世界を旅する身体は一つだというのに、残酷なことに世界は無数に存在する。そうして僕はその内の一つを比較的リアルだと考えて日常を過ごしていたのである。だが、だが、世界は広い。言うべきことはそれだけだ。

「…あなた。魔女ね」

「魔女? 私が?」

「魔法の、エーテルの、コードの、量が人間とは違い過ぎるのよ。勇作や先ほどお目にかかったお姉さまみたいにね」

 拝啓、姉上様。姉上はP・Mの中ではお姉様なる地位を確立した模様で、誠に喜ばしく、これは早速にも祝賀せねばならないことでせう。

「神々の中の神々である私を、主神たる私を、マジックス呼ばわりとは」

 天空の司書様の、美奈のエメラルドの瞳が怪しく輝いている。そのなだらかで柔和な肩が震えるのを見ると、僕は場違いにも笑いをこらえているのではと思えてくるのだ。全く。僕は、場違いだ。日常、平穏、安定。どれも失ってから値が張るものだと気づくものだ。取り返しのつかないところまで来て、取り返しの効かない値だったのだと気づくのだ。

「神々? 神々ですって? 私の知る限りこの世にはもうプロヴィデンスしか存在しえない。神々は皆死んだわ。ラグナロックでね」

 軽蔑した調子で九条さんはそう言い捨てた。

「そう。それは正しい事です。それは仕方の無い事なのです。私たちは終末戦争を経てもプロヴィデンスを逃さなければならなかった。そうするしか道はなかった」

「…そう。ならあなたとは気が合うかもね。なぜならあなたもあの名も無い意志のことを知っているのだから」

 二人がお互いに笑い合うのを見ながら、僕は憎しみとも、羨望とも思える思いを抱いてそこに立っていた。神々も魔女もチョーノーリョクシャも、どうせ全ては一緒くたなのさ。きっとどの世界も同じなのだ。僕はそう考えると、湧きあげあってくるマグマのような怒りさえも絶対零度で冷やされてしまって、しらけてしまう。ああ。そうさ。全てはGODの寛容さの上の賜物さ。全てが念動力で説明できるにしても、魔女も、神々も、そうさ。一時的には必要なものさ。そうして、そうして、人間もな。

「九条さん。美奈。行こう。遅刻しちゃうよ」

「そうね。勇作」

「そうなのか。客人?」

 神は似姿として人を造り給う。そこに理由はあるだろうか? あれば僕らは必要が無くなれば消えてなくなる道具に過ぎない。無ければ、無ければ、ああ、それがどうしたと言うのだ。僕らはそれこそ玩具に過ぎないのだ。一体、この玩具は何に意味を見出したらよいのだろうか。理由も無しに被造され、理由も無しに消えてしまう。僕らは理想とする神の模倣を行うべきなのだろうか。それでさえも滑稽だとするならば、するならば、そうだ。僕らは神が行わない行動の似姿として永久に保存でもされるのだろうか。ああ。実際のところそれでさえも有難いことに過ぎない。なぜならきっと神は理由も無く被造し、そうしてそのまま忘れてしまっているに違いないからだ。奇跡は僕らが考えるよりもずっと少ない。なぜなら全ての事は念動力で説明がついてしまうから。全ての事は物理的に説明がついてしまうから。僕は時々、本物の人間が、リアルに近い人間ではない人間が羨ましくなる。なぜなら彼らはモーゼのことをキリストのことを信じることができるのだから。審判の日を信じることができるのだから。神の恩寵を信じることができるのだから。僕には『力』がある。ああ。神は容認したもうた。どのような『力』でさえ…。

 学校へと歩きながら僕は考えるのだ。いつものように憂鬱な放課後とそして安息であるはずの眠りについて。果たしてこれは呪いであろうか。時々祝福のようにも思えるこの忌まわしい『力』は、一体何だと言うのだろう。魔法使いも錬金術師も魔女も神々も一緒くただ。『力』それだけだ。やはりこれらの全ても念動力の一種に過ぎないと思うと途端に僕の皮肉をこよなく愛する心が冷えてくる。神は我にチョーノーリョクを与えたもう。しかして我は、この事実を隠すべきだろう。人類の永劫たる進歩の犠牲には簡単になりたくは無いものだ。分子進化は中立的にしか進まない。僕は僕を憎む。だから、いつかできるかもしれない僕自身の愛する人をも憎むだろう。僕の遺伝が優性であろうとも、あるいは、救いようも無い劣性であろうとも。

 スマートフォンを取り出して、アプリを色々といじりながら僕はちょっとしたことを考えていた。文明は花盛りだ。黄金期だ。そうだ。石油の寿命は後百年以内、ウランの寿命も後百年以内。その用途を産業用に用い続けるとするならば、だ。ああ。そうだとも。僕はかつて旅した途方も無く救いようのない未来のことを思い出しているのだ。そうだ。僕らの住むこの比較的リアルな世界は、今こそ黄金期であるはずなのに、神は銀河を光年の単位で分かちたもうたのだ! そう。百三十七億年後にしか僕らの文明は花開かなかった。今となっては宇宙も膨張する一方で刻一刻と本物の人間たちが得るはずだった、手にするはずだった空間は、全き、神の領域として元々届かなかったものとして遠ざかりつつあるのだった。人は願い給う。御身が生きるに必要な土地と時間はどれほどか、似姿である我々が生きるに必要な土地と時間はどれほどか、と。神は寛容にも御身が生きるに必要なほどの土地と空間と時間とを似姿である人類の為に造りたもうた。しかして造りたもうたにも関わらず、神はその空間のたった一部を、その時間のたった一部を、人類のものと認めただけであった。そうしてその一部でさえも借り物に過ぎないものなのかもしれないとくるものだ。そうだ。人類は時間に縛られている。光速度は不変だ。光速度には届かない。故に、光年単位で分けられた恒星系はきっと僕が比較的リアルと考えているこの世界ではつながることはないだろう。僕らにできることと言ったら基本的に観測することしかないのだ。

「勇作。勇作もここでは魔法使わないよね。ね、ね、どうして?」

「日常が必要だから」

 始めに言葉があった。あるいはギリシャ人が数の法則を調べなければ、あるいは厳密な星々に法則を認めなければ、あるいはガリレオが天動説を覆さなければ、この世界は神の意志の、神の言葉の通りの世界であったのかもしれない。言葉には『力』があって、思想には『力』があったのかもしれない。この世界を造りたもうた神は寛容にもよりリアルに近い思想に、言葉に、引かれるようにして世界をよりリアルに近づくように改変してきたのかもしれない。そうして、そうだ。ついに自分のロールにも飽きてしまい、全てをこの玩具たる人の手に委ねたもうたのかもしれない。そういう屁理屈を考えながら、僕はこの日常の登校風景を眺めていたのだ。人以外には鴉しか見かけない朝の始まり。僕は、人類は確かに地球上に置いて唯一無二の進化の到達点に近づきつつあるのだと思うと、なにやら悲哀と共に多少の誇りのようなものを感じるのだ。昆虫が覇者の座を失い、恐竜が滅び、そして人類が闊歩しているこの時代もいつか終わるのだと思うと、茫漠とした寂寥感と、一種の怒りのようなものが僕の脳裏を埋め尽くすのだ。

「ふーん。日常か。それなら私ね、この九条止施代ちゃんになり切った方がいいのかな。それとも、それとも、とびっきりに楽しいことにしちゃった方がいいのかな。選んでみて。勇作。私から見るとどちらも正解みたいなんだけど」

「しばらくは大人しくしておいてくれよ。P・M」

 日常。それさえ忘れなければ、どんなに長い夢の世界も耐えきれる。日常、それを思えばプロヴィデンスも、あるいはその逆であるにも耐えきれる。一日は二十四時間しかない。その時間は基本的には平等だ。それ以外の事は、知ったことではない。

「…それにしても、客人よ。この世界ではいまだに進化論を組み込んでおられるようですが、プロヴィデンスさえも忘れ去られる進化の渦に取り巻かれたこの世界が窮屈極まりないとは思わないのですか?」

 僕は意外の念に打たれる。おやおや、天空の司書様は進化論にも一家言あるらしい。窮屈? この世界が? 日常を好む僕には少々荷が勝ちすぎる質問だった。

「美奈。僕に聞かないでくれ。意味が分からないよ」

「客人よ。進化論を何度も組み込む故に客人のようなものが現れてしまうのです。人の子の身の上が終末さえをも恐れない。憐れな事です」

「うん。憐れだね。でも、僕が信じるのはこの比較的リアルな世界で説明が付くものだけだよ。それ以上は本物の領域さ」

 僕はそうは言った者の、終末を恐れる身の上ではあった。ただ、儚い希望を抱くには僕は絶望し過ぎていたのだ。

 そうして、それ以上は本物の領域だ。

 学校が見えてくる。校舎に入るとP・Mが手を振ってちょっとした悪戯っぽい表情で敬礼する、九条さんが整った顔に悪戯っぽい表情を浮かべて敬礼する。

「それじゃあ勇作閣下、後ほど」

 僕らは苦笑しながら魔女と別れる。僕と天空の司書様である美奈は並んでからクラス1‐3に向かう。クラスの扉を開く前に。後ろに佇む天空の司書様に向かって困ったように口を出す。

「美奈。どうして僕について来るんだい?」

「全知全能に近い私の直感が客人と同じクラスだと告げているからだ」

「ああ。そう。…まあ、そういうものだよね」

 世の中はそういうものである。さようなら僕のリアル、きっと会おう彼女のフェアリーテイル。僕はこの比較的リアルに近い世界でさえもが、ずぶずぶと魔法と錬金術の領域にはまり込む音が聞こえるような気がして卒倒しそうだった。こんな理屈も何も無いのなら光速度が本質的には無限であることを信じ込んだ方がまだましだった。僕らの比較的リアルな世界は光速度不変である。だけど、魔法にはそう言った枠が通用しない。光速度は無限大足り得、そのものは0にして無限である。本来は秒速三十万キロに過ぎない光の速度は、観測上においてそうであるだけなのであって、実質は無限に続く連続面の表出に過ぎず、n次元上の無限速度の表出を僕らが四次元だと信じている世界の生物が観測している結果に過ぎない。とかそんな屁理屈を並べた八次元人たちが語る話の方がまだまともだ。僕は本当の地球などというものはとっくの昔に滅び去っているものだと言われても驚きはしないだろう。その場合にはその場合の理屈があるのだろうから。例えば、無限の速度を持つ光が、在りし日の栄光を求めて過去と未来を無限の速度と無限のエネルギーで行き来している残照こそが僕らに比較的リアルな世界の在り様に過ぎないのかもしれない。その場合は単純だ。現世は何度となく繰り返される光たちが繰り成す名作映像であり、たった一度だけ現れ出でた本物の影法師に過ぎないのだ。あるいは…、いや、止そう。気が滅入るだけだ。

 さて、美奈の席はどういった偶然だろう。僕の隣だった。姉上のチョーノーリョクは本当に都合がよすぎるくらいに都合が良いものだ。そういえば、昔、姉上に魔法使いみたいだねと尊敬の言葉を口にした僕は姉上にぶたれたことがある。その後の言葉はこうだった。そんな存在しないものと一緒にしないで、と。

 さて、席に着くと、美奈の周りに友達の輪ができる。美奈はどういう理屈なのか平然と本来知らないはずのクラスメートに向かって、返事を返し、その正確な苗字、名前を切り返し、楽しそうに談笑している。僕の方は言えば前の席に座る高資に挨拶した後は、勉強道具を開いて予習を始めることにする。全く、不合理である。魔法さえ使えれば勉強などというものは無意味なものに過ぎないだろう。けれど、そういったことを、僕がこの比較的リアルな世界には求めていないのだ。全ての知識を外部領域に確保し、瞬時に検索を行えば、何も考えなくても基本的な問題の解は得られてしまう。僕は問題の意味を考えるだけでいい。いや、それさえもあらかじめコード化した仮想人格に委任してさえいれば、何のことは無い。僕は何もしなくて済むわけだ。僕は比較的リアルな世界で魔法を使うのはいやだった。『力』でさえも使いたくはない。なぜなら、えっと。ページを繰る。関係代名詞の節に代入してやって日本語に翻訳しようと悪戦苦闘する。僕の能力はずるをしない限り平凡なものだ。何度繰り返しても頭に上手く入って来ない法則や規則、それにガチガチの日本語脳は英語の侵入さえも拒んでしまう。それはcertainなことだ。つまり確からしいことだ。美奈を取り巻き楽しそうに談笑していた友達の輪の一つが、そういえばとでも言うように、僕の方に話を向けてくる。

「勇作君と美奈って似てないよねえ」

 当たり前である。何せ立派に血がつながっていないうえに、価値観さえも繋がっていないのだから。

「そう、かな。でも美奈は僕の…」

 そう。あれれ、僕と美奈はどういう関係に設定されているのだろうか。新しい家族だと姉上はおっしゃった。であるのに、あれれ、これはどうしたことだろう。僕と同じ学年の同じクラスと来たものだ。天空の司書様は一体、僕のなんだっていうのだろうか?

「どう考えてもこの二人はさ、二卵性双生児よね」

「うーん。というか、片方が養子だとか」

「それにしても美奈はねえ」

「うん。勇作君はこれなのに美奈はねえ」

 これは全くもって失礼な話である。平凡なことは自分たちもてんで変わらないのに。僕に向かっては平凡なことが悪いように言う。けしからんものである。第一、そんなに自分たちが優れていると考えるのならばさっさとこの平凡な日常など捨てて、華やかな世界にかけてみればいいのである。どこかのオーディションにでも応募して現実の冷ややかさを囲っていればいいのである。

「でさあ。美奈」

 さて、美奈のことをまるで知り尽くしたかのように声をかける友達の輪の一員である山口さん。僕は人間とはこのように簡単に適応してしまうものかと感嘆につきない。これは、姉上の力なのだろうか、それとも、天空の司書様の力なのであろうか。本来見ず知らずの人間が、突然、友達として現れる。そうして自分たちはそれに気づかないのである。僕は、姉上の今朝の言葉をこうもじっていた。そう。

『無知は力なり』

 と。

 ホームルームが始まった。授業が始まった。昼御飯が始まった。授業が再開された。そうして放課後がやってくる。さて、その間、隣の席の美奈眺めていたのだけれど、美奈の立ち位置はクラス一の秀才で、その上美貌にも恵まれている、クラスの中心的人物であるように見受けられた。僕は何だか悲しかった。何が悲しいかって。この比較的リアルな世界で平凡な日常を有難がっていることに多少の空しさを感じたことが悲しかった。この比較的リアルな世界を裏切ってしまっているようで悲しかったのだ。人間、一度でも陽の当たる場に立てば、それを忘れきれないものである。僕は小学校のころを、満点の答案用紙を平気で放り投げていたころの自分を思い出す。翻って今の僕は平凡な高校生に過ぎない。天空の司書たる美奈が、魔法を使っているのか、そうでないのかは、分からない。だが、漫然とこの世の不合理を感じざるを得なかった。昨日までクラス一の秀才だった秋山は、猛烈な勢いで授業に集中していたが、どこか、いつものような秀才らしさが消えてしまっているように思える。そうだ。余裕が無いのである。なんだろう。その、世界というものは本来罪深いものなのかもしれない。

 さて、放課後がやってくる。僕には、いつものようにぼんやりとした気分が襲い掛かって来ていた。クラスの席が空いてゆく。それから魔女が僕の前にやって来て、隣の天空の司書様と一緒に、僕のことを魚にしてだべっている。

「…勇作とはそういうなれそめかな」

「客人も容姿に似合わず罪作りな男ですね」

 何が罪作りなものやら。どうでもいいことをぐちゃぐちゃと。大切なのは今日と言う日だ。僕は今日という日をどういった世界を旅するのかをまるで決めかねていた。昨日の続きを見に行くべきだろうか。神々の終末の結論を。あるいは我が革命起こりし、分離された過去の世界を。

 決めかねていた僕が、轟音に気づいたのは突然だった。教室の窓という窓が割れていた。衝撃派だった。窓の外にあるはずの日常が、景色が断絶していた。魔女は立ち上がり、天空の司書は、光を帯びていた。

「魔法使いたちだわ!」

「一宿の恩です。九条様、客人殿。天空の司書の名においてこの校舎だけは守らせていただきました」

 窓に駆け寄る。地獄絵図が広がって行く。街は、都市圏は、失われていた。酷い有様だ。のっぺらぼうのような地面にはほとんどなーんにも無い。まるで質量兵器が落ちたかのようだ。いや、それよりもなお酷い。融けかけたコンクリートさえ残っていない。後には僕らの通う学校が球面の中心としてか細い足場に乗って残り、ぽつりぽつりと同じような建物が僅かに残っているだけだ。そして視界の遠く、かすむような遠くになって、ようやく街が、道路が見える。あー。その。なんでしょうか。この無茶な展開は。あー。その。文明ってなんて儚いものなのだろう。なーんにも無くなっちゃったや。僕はポケットからスマートフォンを取り出しながら乾いた悲鳴のような笑い声をあげていた。その電子機器でもって僕は何をしようとしただろう。警察に通報しようとしたものか、写真に収めておこうものかどちらとも判断突きかねた。P・Mが窓際に駆け寄ると何かつぶやくのが聞こえる。空でチカッとした光が輝くと高空上から剥がれ落ちた電離層が雨のように降り注ぎ、写真でも取っておこうかなあと場違いな感情を抱いていた僕のスマートフォンは突然ぶつりとシャットダウン。天空の司書は窓から浮かび上がったかと思うと、三度指先から野太いプラズマ状の光の矢を放ち、それから突然光の束に撃ち抜かれて、ひゅーとでも音を立てそうな勢いで球面状に抉られた地面に向かってスカイダイブする。状況はとてもひどい。P・Mは力の全てを解放していた。その周囲が対称性を失い始めている。暗黒のエネルギーが彼女を取り巻いてはいたが、その力は圧倒的だ。だが、どこか彼女が本来住まう世界で見せた時の力より弱弱しい。状況は悪い。僕はぼんやりしてくる。ああ。今日旅する場所は決まりだ。そうだ。今回は、また今日一日をやり直すのだ。そうして見つけなければならない僕の相手を。このつまらない劇を仕掛けてくる張本人を。

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