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魔界な人々

聖なる夜な私と高位魔族な彼氏

すみません、一応クリスマス企画でございます。

ま、聖なる夜に魔族と鍋つついてるなんて私くらいのものですわ。


「三千代、鍋が煮えたようだよ。」

妙に可愛く私の彼氏のハウエル・(スイ)・ムーシャリが鍋の蓋をとった。

「まだまだですわ。」

私はそういいながらため息をついた。

「え?まだ煮えてない?」

ハウエルが小首を傾げた。

金髪碧眼の長身美形男がするしぐさじゃないですわ。


トマト鍋はぐつぐつと良い感じに煮えてましたわ。

でも、あなた、私の彼氏なんですもの、もう少しロマンチックにレストランでデートとか致しませんの?

お金あるのでしょう?


私はどちらかと言うと魔族を監視して暴走した時に消滅させる組織に属している。

神樹(シンジュ)(タミ)といわれる類の人間ですの。


神樹の枝がその証で世界各国、有名宗教の教祖、政治家や一般人などそこら中にいますわ。


全国魔族連絡会にも出入りしていて初めてあった時。

「よろしくね、ハウエル・翠・ムーシャリです。」

彼はニコニコと手を伸ばして私と勝手に握手したのですわ。

「三千代さん、危険魔族じゃありません。」

コボルトの職員さんがあわてていったのですわ。

「わかってますわ。」

高位の色持ち魔族なのになんて柔らかいのかしらって思ったのですわ、高位魔族は尊大なのが多いもの。


スイの一族は上級人型魔族の一族でハウエルの甥は次代魔王の呼び声が高い美少年らしいですわ。

上級人型魔族はあまり一族の外に女性は出したがらないけど…男性はよく出てるらしいのよね、最終的には一族の女性と結婚が多いらしい…ですわね。


私は対外的には普通の事務員ですわ。

容姿も平平凡凡ですものなんでお付き合いしてるのか分かりませんわ。


ある日、家に車で帰ろうとした駐車場までの道、空を見上げたら月が満月だったですわ。


「こんばんは、月が綺麗ですね。」

ハウエルが静かに歩道に立ってた時びっくりしまいましたわ。

「こんばんは、なにかようですの?」

私はたじろぎましたわ。

「うーん、見かけたから、一緒にかき氷でもどう?」

ハウエルがスーパーの袋かかげて言いましたわ…スーパーフレッシーですわ、あれ。


回りからは秋の虫の声がして肌寒かったですわ。


「私、帰りますので。」

私はつんとして言いましたわ。

なんて変な人…魔族なの?

「ええ?良いじゃん、家はあそこだよ。」

よく見るとサンダル履きのハウエルが指差した先は高級マンション…。

コンシェルジュがいるって評判のホテルみたいな高級マンションでしたわ。


私、その瞬間殺意を覚えましたわ。

こんなにがんばってる私がワンルームの賃貸で、この能天気なニートっぽい男があんないいところすんでるなんて…。


「行きますわ。」

どうにくらしているのか見てやろうじゃありませんの。

「そう?竹村屋のかき氷美味しいよね。」

能天気に言ってハウエルがさりげなくエスコートしだしたわ。


TシャツGパンにサンダル履きなのに妙に洗練されててきれいでしたわ。


高級マンションは洗練されたモダンな家具がおいてあって大きな窓からは街の灯りが見えましたわ。


そして、綺麗な秋の満月が見えましたわ。


コンシェルジュは本当にフロントに居てビックリしましたわ。


「竹村屋の宇治金時美味しいね。」

ニコニコしながらスーパーで買った低額カップかき氷を高級ソファーで食べる美形男、似合いませんわ。

「なんで私を誘いましたの?」

同じく宇治抹茶のかき氷を食べながらさりげなく聞きましたわ。

「ええ?綺麗だなと思って。」

ハウエルがニコニコ恥ずかしげもなく言いましたわ。

「き、綺麗?」

私はますますたじろぎましたわ。

「うん、綺麗だよ、だからお付き合いしてもらいたいな。」

真剣な眼差しでハウエルが言いましたわ。

「……あなた、消滅したいようね。」

私は低い声でいって神樹の枝をそっと守り袋から取り出しましたわ。


手のひらサイズの神樹の枝を弓に変化させて立ち上がって構えましたわ。

矢は私の神樹の民としての力ですわ。


「本当のこといってなんで脅されるのかな?」

あくまでもニコニコとハウエルが言いましたわ。

「軽々しく綺麗何て言わないでくださいませ。」

私は弓を構えたまま言いましたわ。


私みたいな平々凡々な女に綺麗だなんて言う男は信用出来ないですわ。


「本当なのに…顔の美醜なんかその人の感覚で決まるもんでしょう?」

ハウエルがそういいながらのんきにかき氷を食べたのでなんか気が抜けて弓を戻してソファーに座りましたわ。

「私は綺麗じゃありませんわ。」

従姉妹のほうがよっぽど綺麗ですわ。

宇治抹茶を食べながら答えましたわ。

窓からは街の灯りと綺麗な満月が見えましたわ。

そして金髪碧眼の美形魔族…。


「僕の勝手じゃない?誰を好きになっても。」

ハウエルがそう言って笑いましたわ。


それが私とハウエルの初デートなのかしら?



原川(ハルカワ)さん、昨日超綺麗な男性とあの高級マンションに入っていったでしょう?彼氏なの?」

市村さんがお昼時にニコニコ聞いたわ。

「ち、違いますわ。」

私は食べていたコンビニのタラコオニギリを思わずむせこんでしまいましたわ。

「ごめん、隠してた?原川さん何気にお嬢だもんね、許嫁?」

市村さんがそういいながらサンドウィチを食べましたわ。

「じ、実家が神社なだけで単なる庶民ですわ。」

お祖父様も神樹の民のニホン支部のカントウ地区の元締めなだけですわ。

「隠さないで、いいわね、外国人?ノーブルな感じで素敵ね。」

市村さんが卵サンドを食べながら言った。


あれ…たしか、旦那様が作ってくれるんじゃなかったですの?

その方がうらやましいですわ…明らかに家事能力なさそうですもの。


その日も夜、サンダル履きの美形魔族に遭遇しましたわ。

「今日は、ご飯食べてかない?」

ハウエルがフレッシーの袋をかかげて言いましたわ。

「メニューはなんですの?」

買い物行かないといけないから魅力的ですわ。

「冷凍パスタとサラダだけど?」

ハウエルが小首を傾げた。


あなた、高級マンションが泣くわよ?

なんでいつもそう言う庶民的なものを食べてますのよ!


「食事を作ってくれる恋人はいませんの?」

ため息をついて言ったわ。

「うーん、これから作ろうと思って、今度一緒に買い物行こう?」

ハウエルがそう言って極上の微笑みを浮かべましたわ。


結局、なんだかんだと有ってなぜかハウエルとお付き合いする事になりましたわ。

ほだされたのかしら?だってあの高級マンション、お兄様に押しつけられたんですって

魔界で現魔王の側近のお兄様は、仕事ばかりで(今の状態ではびっくりですわ…リフレッシュ休暇?)あんまり女性に興味を持たない弟をあやぶんだらしいですわ。


「別に男に興味はないけど…三千代にあうまで女にも興味なかったかな?」

私を膝上抱っこして色気ある声でハウエルはとんでもない事を言いましたわ。

「私はいわば、あなたと対極にいる存在ですわよ。」

優しく頭をなでる意外とゴツイハウエルの指を感じながら言いましたわ。

「まあ、都合が悪くなったら、三千代の手で消滅させてくれていいから。」

そういいながらハウエルは首元に吸いつきましたわ…キスマークあんまり付けないでもらいたいですわ。

ばんそうこう貼っておくと市村さんはじめ事務仲間にニヤニヤされるのですわ…。

「そんなことにならないようにしてくださいませ。」

私はお腹に回された手をそっと撫でましたわ。


そして今日は楽しいクリスマス…。

クリス様は神樹の民でその当時の魔王が暴走して相討ちになってお倒れになられた方ですわよね。

双子のキリス様がその御身体を三日後引き取りに来られた時、復活されたと誤解されたと神樹の民の歴史書には書いてありましたわ。


つまり平和をもたらしたクリス様をたたえて悼む日なのに…こんなににぎやかで…ニホンはいいんですわよね。


「ごめんね、僕さ、仕事以外は家に居たいんだよね…そのかわり海鮮とかお肉とか取り寄せたからね。」

綺麗な笑顔をうかべてハウエルが言った。


どうも女性(一部男性)に騒がれるのが嫌らしい。

でもデートですわよ。


国産のブランド野菜は、白菜、長ネギ、春菊、水菜、高級地鳥のつみれに殻付き牡蠣?有名ブランド豚?

鍋しろっていうんですの?


クリスマスなら、揚げたり焼いたりした鶏肉ではありませんの?

クリスマスケーキとシャンパンのかわりに生大福(しかも人気のお取り寄せ。)と発砲米酒ってなんですの?


鍋に残ってたカットトマト缶いれてせめてもの抵抗をいたしましたわ。

ええ、閉めはチーズいれてパスタですわ…この和食党魔族!


私だって恋人とロマンチックなデートしたいですわ。


「おいしいね、この牡蠣…焼いてチーズもいいけど…やっぱりシンプルなのが最高レモンがあうね。」

米酒をのみながらハウエルが言った。

そういいながら私にあーんしてくれる。

「美味しいですわ、あらやだ。」

牡蠣汁が口元にたれた。

ハウエルが私の口元をなめる。

「僕はこっちの方が美味しいな。」

色気のある美声で言われてドキドキしますわ。

「チーズ焼きもおいしいですわよ。」

私はドキドキしてハウエルにあーんした。

ハウエルは殻から牡蠣をたべてそのまま私の牡蠣汁の付いた指をなめた。

「うん、おいしいね。」

ハウエルが妖しく笑った。


ああ、引きこもりクリスマスもいいかもしれませんわ。

すくなくとも美形魔族を独占ですもの。

膝の上から離してくれないのも問題ですけど…。


「これから、ずっと一緒に居たいな。」

そういってハウエルはねっとりと私の耳たぶをアマガミした。

「そ、それって、まさか?」

あれですの?

「うん、結婚してください。」

ハウエルがあっさり言ったので私は思わずうなづいたわ。


「じゃ、幸せになろうね。」

嬉しそうにハウエルが言って私を抱きしめてキスをしましたわ。


…ち、ちょっとまって欲しいですわ。

考えて見れば…私、魔族の監視役、天敵『神樹の民』ですわ。

聖なる夜に魔族、しかも高位魔族のプロポーズうけてもいいのかしら?


キスをうけたまま見つめた大きな窓の向こうには街の灯りとイルミネーションが見えましたわ。


たしかにハウエルの事愛してますけど…きちんと考えてから家族に報告ですわよね。

お祖父さまがなんておっしゃるかしら…。


…いい加減はなしてくださらないこと?

私の大好きな高位魔族様?

読んでいただきありがとうございます。

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