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攻撃できないB級盾使いの俺、勇者と四天王の保護者兼“常識枠”になる 〜面倒事に巻き込まれた俺の世直し旅〜  作者: 街角のコータロー
プロローグ

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第7話:選ぶ剣、護る盾

聖堂騎士団の剣が一斉に振り下ろされる。


 ――ガァン!!


 衝撃が腕を突き抜ける。


 重い。


 だが、退かねぇ。


「何者だ、貴様!」


「だから言ったろ。通りすがりの冒険者だ」


 俺は盾を押し返す。


「通りすがりにしては、邪魔が過ぎる!」


「正義の邪魔か?」


「神の御名のもとに粛清を――」


「証明しろ」


 俺は低く言う。


「こいつが“魔に染まってる証拠”をな」


 騎士が詰まる。


 その一瞬。


 カイルが動いた。


 地面を蹴る音。


 速い。


 だが一直線じゃない。


 横へ回り込む。


 いい。


 考えてる。


 騎士の剣を受け流し、柄で打つ。


 殺さない。


 叩き落とす。


「くっ……!」


「先生!」


「殺すな」


 シオンの声は静かだ。


「剣は命を断つためだけのものではない」


「はい、先生!」


 カイルの動きが変わる。


 怒りの振りではない。


 止めるための斬撃。


 鎧の隙間を狙い、力を抜く。


 騎士が膝をつく。


「なぜ、とどめを刺さぬ!」


「あなたたちは敵じゃない」


 カイルの声は揺れていない。


「間違ってるだけです」


 空気が変わる。


 聖堂騎士団の隊長らしき男が前に出る。


「小僧、正義を語るか」


「語りません」


 カイルは首を振る。


「選ぶだけです」


 俺は背中越しに笑う。


 成長してやがる。


 隊長が剣を構える。


「ならば試してやろう。貴様の正義とやらを!」


 重い一撃。


 カイルが受ける。


 弾かれる。


 未完成だ。


 まだ足りねぇ。


 俺は踏み込む。


 ――ドン!!


 盾で割って入る。


「なっ……!」


 隊長の剣が盾に食い込む。


 その瞬間。


 タワーシールド中央。


 世界樹の紋が、はっきりと光った。


 緑の光が広がる。


 眩しくはない。


 温かい。


 守る光。


 カイルの瞳に映る。


「……兄さん」


 俺には分からない。


 だが、カイルの呼吸が整う。


 震えが止まる。


「大丈夫だ」


 俺は低く言う。


「迷うのは悪いことじゃねぇ」


 盾越しに力を込める。


「だがな、迷ってもいいから――戻ってこい」


 隊長の剣が弾かれる。


 カイルが踏み込む。


 今度は一直線。


 だが怒りじゃない。


 選択だ。


 ――キィン!!


 隊長の剣が空を舞う。


 喉元に刃。


「……」


 静寂。


「証明してください」


 カイルが言う。


「この人が本当に魔に染まってるなら、僕が責任を取ります」


 隊長は歯を食いしばる。


 だが。


 魔の気配はない。


 分かっているはずだ。


 シオンが静かに告げる。


「某も騎士だ」


 凛とした声。


「正義とは、疑いではなく証明の上に立つもの」


 隊長が目を伏せる。


「……撤収だ」


 騎士団が下がる。


 村人が崩れ落ちる。


 カイルの剣が震える。


 俺は盾を地面に下ろす。


「よく止まったな」


「……怖かったです」


「だろうな」


 俺は笑う。


「それでいい」


 カイルは俺を見る。


「僕、怒ってました」


「知ってる」


「でも」


 小さく息を吐く。


「選べました」


 その瞬間。


 盾の光が、静かに消える。


 役目を終えたように。


 シオンが頷く。


「一歩だな」


「はい、先生」


 俺は空を見上げる。


 やれやれ。


 面倒事は増えた。


 だが。


 少しだけ。


 確かに。


 こいつは勇者に近づいた。




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