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攻撃できないB級盾使いの俺、勇者と四天王の保護者兼“常識枠”になる 〜面倒事に巻き込まれた俺の世直し旅〜  作者: 街角のコータロー
プロローグ

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第5話:守るということ

翌朝。


 村は静かだった。


 徴税役は引き下がり、子供たちはいつも通り走り回っている。


 守れた。


 ……そう思っていいはずだ。


 だが、カイルは焚き火の灰をじっと見ていた。


「寝てねぇのか」


 俺が声をかける。


「少しだけ」


 嘘だな。


「先生に叱られました」


「叱られてねぇだろ」


「未熟だと」


「それは事実だ」


 カイルは苦笑する。


「僕、すぐ怒るんです」


 正確には違う。


 怒りで“蓋”をする。


「怒るのは悪くねぇ」


 俺は腰を下ろす。


「怒りに任せるのが悪い」


「どう違うんですか」


「怒りは火だ。料理にも使えるし、家も燃やせる」


 カイルは黙る。


 分かろうとしている顔だ。


「昨日のは、どっちだと思う」


 少し考えてから、答える。


「……燃やしかけました」


「だな」


 素直だ。


 強いくせに、素直だ。


 そこが救いでもあり、危険でもある。


 シオンが歩いてくる。


「朝から反省会とは感心だな」


「先生」


 カイルが立ち上がる。


「僕は、どうすればよかったんでしょう」


「問いは良い」


 シオンは頷く。


「力を持つ者は、問い続けねばならぬ」


 そのまま俺を見る。


「ダグラス殿はどう思う」


「俺か?」


 面倒な振りだ。


「昨日は止めるのが正解だ」


「では、子供は守れぬ」


「違う」


 俺は首を振る。


「守っただろ」


 カイルが顔を上げる。


「殴らせなかった。それで十分だ」


 沈黙。


 カイルは小さく息を吐く。


「僕は、全部解決しないと気が済まないみたいです」


「それは傲慢だ」


 シオンが言う。


 だが声は柔らかい。


「だが若さでもある。悪くはない」


「先生は、どうしてそんなに落ち着いていられるんですか?」


 珍しくカイルが踏み込む。


 シオンは一瞬だけ目を細めた。


「……某も、斬れば解決すると信じていた」


「今は?」


「信じてはおらぬ。だが、斬る覚悟は持ち続けている」


 騎士だな。


 理想に酔わない。


 だが理想を捨てない。


 カイルは頷く。


「僕も、そうなれますか」


「なるのではない。なると決めよ」


 きっぱりと言う。


 その横顔は、厳しい。


 だが信じている顔だ。


 俺は立ち上がる。


「そろそろ出るぞ」


「次の依頼ですね」


「ああ。街道の先の町だ」


 馬車に乗る。


 村人たちが手を振る。


 子供が叫ぶ。


「勇者さーん!」


 カイルが手を振り返す。


 昨日より、少しだけ表情が柔らかい。


 考えている顔だ。


 いい傾向だ。


 だが――


 街道の先に、煙が上がっているのが見えた。


 黒い煙。


 焦げた匂い。


 俺は眉をひそめる。


「おい」


「はい?」


「仕事が増えたみたいだ」


 カイルの目が変わる。


 だが昨日とは違う。


 飛び出さない。


 まず先生を見る。


「先生」


「状況確認が先だ」


「はい」


 ……少しは学んだな。


 だが煙は濃い。


 あれはただ事じゃない。


 面倒事は、向こうからやってくるらしい。


 俺は盾を背負い直す。


 守るってのは、簡単じゃない。


 だが。


 あいつが考えるようになったなら、悪くない。


 さて――


 次はどんな正義が待っている。




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