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攻撃できないB級盾使いの俺、勇者と四天王の保護者兼“常識枠”になる 〜面倒事に巻き込まれた俺の世直し旅〜  作者: 街角のコータロー
聖教国編

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第23話: 安定のかたち

王都の広場に、白い布告が貼られた。


文字の読めない者もいる。


だが言葉は広がる。


「刻印施療 一時制限」


ざわめきは怒号にならない。


不安はある。


だが同時に、安堵もある。


削れの噂は広がっていた。


勇者の施療で誰かが軽くなり、

どこかで別の誰かが重くなる。


証明はない。


だが、噂は現実より速い。


壇上に立ったのは、老人だった。


ベルンハルト。


刻印統合理論顧問。

元大神学府長。


温厚な顔。


揺れない声。


「観測値は語ります」


彼は神を持ち出さない。


紙を掲げる。


「神性流動は不安定域に入っています」


「削れの発生率は微増傾向」


「よって、一時的な制限は安全措置です」


理路整然。


恐怖を煽らない。


敵を作らない。


ただ、数字を並べる。


「混乱を避けるための措置です」


その一言で、空気が変わる。


混乱は誰も望まない。


怒りは秩序に負ける。


灰燼の灯の若者たちは黙っている。


ロアンは腕を組んだまま、壇上を見上げる。


叫ばない。


まだ。


カイルは群衆の後方に立っている。


拍手が起きる。


小さいが、確かにある。


正しい。


誰もがそう思える説明だった。


だが。


祈りの声が減った。


広場にあったざわめきは、申請の列に変わる。


祈りは願いから、手続きになった。


レオンが小さく言う。


「理論としては完成している」


視線は壇上。


「前提が狭い」


それ以上は言わない。


壇上でベルンハルトは一礼する。


「勇者の施療も、同基準で運用します」


公平。


その言葉に嘘はない。


カイルの視線がわずかに揺れる。



その日の施療所。


列は整然としている。


混乱はない。


受付が告げる。


「軽症は後日再診となります」


老人が頷く。


怒らない。


規定だから。


制度は優しい顔をしている。


優しい顔は、疑われにくい。


カイルは立ち尽くす。


自分の手を見下ろす。


光はまだ宿っている。


だが、使いどころが決められている。


ベルンハルトは遠くから施療所を見ていた。


満足ではない。


観察だ。


数字は動き始めている。


王都は静かだ。


混乱は抑えられた。


削れの噂も、いずれ薄れるだろう。


安定は、優しい。


そして――


少しだけ、冷たい。



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