管理局の再登場
その夜、夢の中で佐伯は再び“外”に立っていた。
白い空間。
無数の世界線。
そこに、あの男がいた。
「久しぶりだな、佐伯」
名を告げられる。
エドガー・クロウリー
世界管理局・観測課主任。
「管理局の人間が、夢に干渉するなんて反則だろ」
「君が“自力で魔法を獲得した”からね」
「誤差が、進化を始めた」
エドガーは言った。
「君は今、初めて“戦える可能性”を得た」
「だが同時に、世界から危険視され始める」
佐伯は思い出す。
三ヶ月という期限。
必ず訪れる死。
「……この世界でも、俺は死ぬのか」
「分からない」
「だが一つ忠告だ」
エドガーは、意味深に言った。
「その少女――リィネ」
「彼女は、君にとって“錨”になり得る」
錨。
世界に留まるための、存在理由。
「情が生まれれば、君は弱くなる」
「だが――」
「消えなくなる」
目覚めた佐伯は、窓の外を見つめた。
自分とは何か。
世界に属するとはどういうことか。
何者でもないことは、欠陥なのか。
それとも、自由なのか。
ーなんか、俺ってこんな感じだった?なんて考えてしまう
塾講師をやっていた頃…そんな昔じゃない!
こんな哲学に真面目な奴じゃなかったよな
リィネは隣で言った。
「ねえ、佐伯」
「あなたは、どこへ行きたいの?」
佐伯は、少し考えてから答えた。
「まだ分からない」
「でも――」
彼女を見る。
「俺が“誰か”になれる場所なら」
「行ってみたい」
魔法はまだ弱い。
敵も見えない。
だが彼は、初めて確信していた。
――これはもう、受動的な転生じゃない。
そうだ!生徒にだって主体的って大事とか言ってたじゃん俺
自分で意味を掴みにいく旅だ。




