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名前を書く前に考えさせてくる異世界教師―越境者ワールド・トレーサー―  作者: 甘藍


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11/12

天才発明家

「ねーねー!」

「その二人、夫婦?」


場違いな声が割り込む。


振り向くと、そこにいたのは――

小柄な少女。


年の頃は、小学六年生くらい。

ゴーグル。

作業着。

背中には、見たこともない機械。


「違います!」


リィネが即答する。


少女はニヤッと笑った。


「へー」

「でもさっきの空間跳躍、君がやったでしょ?」


佐伯の背筋が凍る。


「……見てたのか」


「うん」

「理論、めちゃくちゃだけど」


少女は胸を張った。


「でも、動いてた」

「だから面白い」


名を名乗る。


ナギ・ミズハ

職業:発明家

年齢:12歳

肩書き:自称・天才(※実際に天才)


「魔法? 因果? 世界?」

「よく分かんないけどさ」


ナギは佐伯を指差す。


「お兄さん、

“本来存在しない機能”を実装してるよね?」


リィネが小声で言う。


「……この子、危険」


「でしょ?」

「私もそう思う!」



ナギは、佐伯にやたら懐いた。


「ねーねー先生」

「さっきの理論、もう一回説明して」


「先生じゃない」

「でも説明する」


佐伯が話し始めると、つい出る。


「ここ、テストに出るよ」


ナギは目を輝かせる。


「出るんだ!」

「じゃあ覚える!」


リィネは、少しだけむっとする。


「……ねえ」

「その口癖、誰にでも言うの?」


「いや」

「元生徒限定」


「私は!?」


「……特別講座」


沈黙。


「……ばか」


距離は、さらに縮んだ。


■ 迫る影


だが、穏やかな時間は長く続かない。


ナギが、空を見上げて言った。


「あー」

「来たね」


「何が?」


「魔法国家の人たち」

「世界を越える技術、もう半分再現してる」


佐伯は、拳を握る。


未完成の戦う魔法。

まだ、使いこなせない。


守りたいものが、増えた。


リィネ。

ナギ。

そして――この世界。


「……逃げる?」


リィネが聞く。


佐伯は、首を振った。


「今回は」

「教える側だ」


「何を?」


佐伯は笑う。

少しだけ、元の明るさを取り戻して。


「“存在は、定義できなくても守れる”ってこと」

「ここ、絶対テストに出る」


第二部は、ここから加速する。

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