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探査官のファウスト〜未開惑星探究の幻視〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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5/10

第五幕:惑星

「成功確率など、ーーどうでもいい。ーーどうでもいいんだ。

おい、ボクは論理的思考でものを言っている。ーーボクは、破綻してないーーAI、ぼくの最初の命令だ。

この船を——元の名前がなんであれ『メフィスト』と名付けろ。

これから悪魔の力だって、なんだって使ってやるーー。

そして、ボクが地球に帰還するための、ーー最初の生存戦略を立案しろ。」

ボクは高らかに宣言したんだ。

「惑星に着地だ!ーーメフィスト号!」

AIは、一瞬の処理ラグもなく、その命令を受け入れた。

「承知いたしました、船長。

船籍登録名、および識別コードを上書きします。旧名は——システムログから完全に消去されました。

メフィスト号、誕生です。」

船内に響く女の声は、変わらず冷たかったが、その命令の遂行には、絶対的な忠実性が感じられた。

AIは、新しい支配者の論理に、

即座に適応したのだ。

「着陸プロセスを開始します。

船長、衝撃に備えてください。


ーーメフィスト号の全エネルギーを減速、および船体へのシールド展開に投入します。

ーー着陸地点は、地表に広がるクレーター付近。

ここはーー異常なエネルギー反応が集中しているエリアです。」

船が微かな振動を始めた。

その振動が『死への恐怖』ではなく、『新たな力の覚醒』であるように感じていた。

「最初の生存戦略ーーか」ぼくは金属の壁に手をかけ、この部屋の唯一の窓に近づいた。

窓の外は、暗緑色の惑星が急速に迫っていた。

「船長。地球への帰還は、現在の装備と資源では論理的に不可能です。

本来なら、命令として指示した時点で、判定を下すべきでしたが、少しの可能性はありました。

ーーですから、あなたの生存の確保と、帰還に必要な資源を確保するための『生存戦略』を立案しました。」

AIは、簡潔にそのプランを提示した。

「現在の最優先事項は、『この惑星でメフィスト号の自立的な生存を確立する』ことです。つまり自給自足のサバイバルです。

そのためには、この地域に存在する二つの未知の脅威を、船長の制御下に置く必要があります。

すなわち——支配ですね。」

AIは、この惑星に存在する脅威の知的生命体のリストを提示した。


脅威1:昼行性の『大型獣』。この生物を無力化。ただし、有効的な攻撃手段がわからない。

この惑星の磁場に影響を受けて、ここからでは把握できないです。


脅威2:夜行性の『UE』(地下の知性体)。彼らは資源エネルギーをもち、知性を備えてます。

彼らの支配構造の奪取により、

惑星での船のエネルギー確保に使えます。こちらの脅威もスキャン不可能でした。


どちらの脅威も、惑星内での近距離スキャンでしか情報を取得できません。


AIは、そう言って言葉を続けた。

「最初の戦略は、この二つの脅威の間に存在する『シダの群生地』の調査です。この植物は、この惑星に生息する生体にさえ影響を及ぼすーー高い揮発性物質を放っています。

防護服を通過し、あなたの論理的思考を揺さぶりをかけてくる可能性があります。

この不思議な植物が、UEと大型獣の行動にどう作用するかを解析することが、生存または支配の第一歩となります。」

AIは、冷たく、そして正しかった。

ボクが地球に帰るために、

まずこの惑星の生態系の頂点に立たなければならない。


ドスンという衝撃とともに、メフィスト号は着地した。ボクは尻もちをついたーー。


きっと、お尻がオッパイみたいに腫れ上がってるぜーー。


船外の空気が、

初めて船内の気圧と混ざり合う。

「着陸完了しました、メフィスト船長。船外の環境は不安定です。

雨や嵐の兆候は今のところないですが、ここは満足にーー調査がされていません。さっそく行動を開始しますか?」

ボクは、自分の身体のサイズで用意された探査服を身につけていた。

外に出る前に、ヘルメットを装着した。

「ああ、開始する。」とヘルメット越しから声を出した。

論理的な思考ができなきゃ完全消滅で脅してきたAIの判定をくぐり抜け、

ボクはこの惑星の大地に降りた。

復讐という名の論理をインストールした。

ーーあとは、それに従うだけだ。

「最初の命令だ。AI。 シールドを展開し、外敵に備えておけ。

ボクはこの付近、周辺を歩行して探索する。いい場所が見つかれば、

その場でベースキャンプを展開する予定だ。

まず、シダの群生地へ向けていくーー」


(こうして、第五幕は惑星で幕を閉じる。)

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