枝豆の気分
「うぅ…」
ゾワリと寒気が光沢のある体を走り、
その不快感から俺は目を覚ました。
ここはどこだろうか。
覚えているのは家族と繋がる枝から引き離され、
鮮度と共に意識が落ちて行ったあの不快感。
「そうだっ!豆二!豆三!!」
意識が完全に浮上すると思い出すは自分の兄弟の事。
自分は3人兄弟の長男。
次男と三男との区別は栄養の行きわたりによる成長度合いである。
「お兄ちゃん…、目が覚めたんだね…」
聞こえた声は三男の豆三。
一番成長の悪い末っ子だ。
「豆三。良かった無事だったんだな…」
「僕も少し前に気が付いたんだけど、ここおかしいんだ。
寒いのは少し前からだけど、息が詰まるくらいに圧迫感があるんだよ」
確かに弟の言う通り寒いだけではなく妙に体が重く息もしづらい。
それに段々と空気が巡り熱を持ち始めているのも気になった。
「ん…なんだ!どこだよここ!!お兄ぃ!!!」
冷静に考えて頭を整理したい状況で一番元気で一番煩い次男が目を覚ましたらしい。
黙っててくれ。
「豆二、俺にもわからないんだ。
ただ、さっきまで寒かったのに今度は暑くなってきている。
騒いでる場合じゃないかもしれない…」
嫌な予感がする。
「うわっ!?今度は何だ!?」
「怖いよ!お兄ちゃん!!」
突然俺たち3兄弟を包む部屋が縦横無尽に動き始め、
俺だけではなく豆三も声をあげた。
唯一黙っている豆二は身を固くする一方だ。
「おえっ。お兄ぃ…、なんか体がベタついてきた気がする…」
★次回!塩水で茹でられ味が付いてきた次男の運命は!?
次回はない!!!