↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
82/153

貴族道中 ~到着~

「ぬははははは!! 愉快愉快!! これから貴様の全てを見ていることとしよう!! 何か他に伝えることがあったような気がするがもうどうでも良いな!! 貴族になる気があるなら言うが良い!! 今すぐにでも一代限りの貴族にしてやろうではないか」

「お断りします」

「そうよな!! 貴様はそう言うと思っておったわ!! そうでなくてはな」

「貴族になったとしたらトワ様の玩具になるのが確定するのでしょう?」

「ぬはは!! 当たり前じゃ!! こんなに面白そうな素材を放っておく理由はあるまいて」

「絶対にお断りします!!」

「ぬははははははは!! さらばじゃ!!」


 トワが大きく踏み込むと辺りに粉塵が舞う。そして粉塵が収まるころには既にその姿はなくなっていた。超スピードか、それとも魔術的な移動かも分からない見事な瞬間移動である。


「今度こそ終わったかな?」

「とんでもないことになりましたわね、まさか御大自らがこんなところに現われるだなんて」

「まさかのまさかも良いところですよ本当に」

「ふへぇ……疲れました……あのレベルの貴族が出てくるなんて」


 トワとの戦闘によって全身に傷を負ったドネとペルがへたり込む。戦闘というよりも遊ばれていただけなのだが、絶対的強者の一挙手一投足はそれ以外の者には脅威になる。


「デタラメですよ、あのご老人。何しても知ってるみたいに対応してくるなんて」

「それはもう経験の差だと思います、あの人は全てを時間で解決してきたようなものですから。経験と技術と知識で全部なぎ払ってますねあれは」


 ルームは遠目で見ていたトワの戦闘を思い返す、ペルの発言通り全てを前もって知っているかのような動き方をしていた。しかし、そこで真に驚くべきは何1つとしてスキルを伴っていなかったことである。才能の開花や生まれ持った資質で発動が可能となるスキルは多く存在するが1つも発動してなかった。


「恐らくですけどスキル1個で全部の容量使い切ってますよあの人」


 ルームの【寄生】にも起こっている現象である。スキルの占める割合が大きすぎて他のスキルを使用する余裕が無い状態なのだ。故にトワには一切のバックアップが存在していない、スキルによる補正も全く無い。自分が身につけたものだけで行動をしていたのだ。


「本当に恐ろしい人ですよ、あの人が貴族の頂点っていうのも頷けます。人間の1個体としてあれ以上に至れる存在はいません。あそこまで至るのにいったいどれほどの時間が必要なのか、なんて無駄にも程がある疑問ですけどね。答えは無限ですから」

「そういえば貴族の到達点、と何度か言ってらっしゃいましたわね。貴族の目的がトワ様のような存在に至ることだとでも言いたかったのでしょうか」


 貴族の目的は複数存在している。ある貴族は芸術の極致を、ある貴族は肉体の極致を、ある貴族は知識の極致を目指して代を重ねている側面があるのは確かであった。


「私がそれに当たるようなことも言ってましたけど、全然歯が立ちませんでしたね。天と地の差っていうのはこういうことなんだと思い知らされた気分です」

「う~ん、わたくし達『碧の絹糸』の目標は最高の髪ですわ。ですから戦闘力で負けても特に気にしません。だってトワ様の髪も綺麗でしたけど、わたくし達ほどではなかったですし」

「……私は姉様のそういうところを本当に尊敬していますよ」

「あら? ありがとうございます?」


 貴族の頂点にして人類の到達点の1つと正面からやりあってこんなことを言えるのは大物と言う他ない。貴族としての完成度はペルの方が上でも、精神面の完成度はドネの方が遙かに上であるようだ。誇りを持つべき場所というのを知っている。


「では気をとりなおして参りましょう、トワ様が去ったということはもはや邪魔をする者はいないということでしょうし」


ドネの言葉どおりに刺客はもう現われることはなかった。拍子抜けするほどあっさりと道のりが終了する。かと言えば。


「あのう、なんで、こんなことになってるんでしょうか」

「わたくしにも分かりませんわああああああああああ!!!」

「うわああああああああああああ!!?」


 全くとそんなことはなかった。恐らくイシハラ、およびトワのどちらかが配置していたであろう超巨大モンスターが3体ほど襲いかかっていた。


「えっと、ギガントゾー、セイテン、ドーラーコーンですね!!」

「名前なんてどうでも良いのですわぁああああ!!!!」

「あの大きさはちょっと想定外です!!?」


 ギガントゾー、小山ほどの大きさを誇る象型の魔物。普段は山として擬態する生態を持つが今は何かしらの薬品か何かで興奮状態にある。

 セイテン、他の猿型魔物とは一線を画す大きさを持つ魔物。深き山の奥地に潜む知恵ある存在であるが、今は何故か全力でルーム一行を殺しにきている。

 ドーラーコーン、巨大な蛇の魔物、特殊な能力は特にないがしなやかな筋肉によって巨体とは思えない速さで行動する。ドラゴンと混同されると激しく怒り狂う性質を持つ。


「あー、ちょっと騒がしくしますね。皆と一緒にどうにかします」


 ロサ・ロサ、種族名暴君薔薇。鉄を遙かに越える強度を持つ茨を超高速かつ精密に操る、その数に実質制限は無い。

 ヨツヤ、種族名怨霊。物理的世界とは違う位相に存在する死者が物理的世界に侵食している現象、厳密には魔物ではない。生前の能力によって能力値が激しく変動する。

 ヒュープ、種族名夢喰獣。夢のエネルギーを喰って生きる魔物。王族に類する者は特殊な召喚能力を有する。

 スィン、種族名蟲毒姫蜂。巣を1つ丸ごと食い破って誕生する蟲毒現象の産物。無限の進化の可能性を有するために放っておくととんでもないことになる。


「派手にいきましょう」


 ヴァンシイ、種族名夜泣き茸。菌類の支配権を持つ頂点の一角、数は著しく少ないがその能力によってできることは果てしなく多い。むしろできないことを探す方が難しい可能性すらある。


「はぁあああああああああああああああああ!!!」


 3体の超大型モンスターは少しばかりテンションの上がっている苗床亭のメンバーとトワと対話したストレスを発散させたいルームの猛攻によってすぐさま塵となった。


「ふう……これで良いですね」


 これにてトワとイシハラの仕込みも終了し、今度こそ平和な旅路につく事に成功した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。