ゴメンナサイと言えるのは良い子の証拠
「わぁ~~~~~ん!! ごめんなさ~~い!!! もうしませ~ん!! 許して~!!」
「……次はないよ」
アンケに消し飛ばされた身体もまたすぐにスペアと交換したアンサは一切の抵抗をせずに謝罪と懇願を繰り返した。怒り狂ったアンケに消し飛ばされること計28回。ここまでやって初めてアンケは妹の言葉に耳を貸すようになった。そこからまた15回ほど消し飛ばされた後に会話が成立するようになった。さらに吹き飛ばされること4回を計上した後今の状況になった。
「あたしは姉だからこれくらいで終わりにしてやるけどね、ロサ・ロサとヴァンシイが許すかどうかは分からないよ」
「うん、ぐすっ……ひっく、謝る」
「ほら、来るんだよ」
縄のようなものでグルグル巻きにされたアンサがルーム達の目の前に放り投げられた。この縄はアンケが作った特別製であり移動を完全に封じている。
「勝手なことしてごめんなさい……少しからかおうとしただけなんです。お姉ちゃんのお気に入りだからちょっかいかけたら面白いかなって。何回壊しても良いから、許してください」
「うん? もう壊さないよ。反省してるんだよね?」
「反省してます~!!」
「そっか、じゃあ1つだけお願いを聞いて貰っても良い?」
「うんうん、なんでも言って!! なんでもしちゃうよ!!」
「じゃあ本体と会わせて欲しいな」
「え?」
「本体と、直接、会わせて欲しいな。そうしないと安心できないし」
「ほ、ホントに? 会っても良いことナイヨ?」
「良いことか悪いことかを決めるのは僕と仲間だからね? 君じゃないよ?」
「ひっ!?」
笑顔というのにも種類がある、今のルームがしている笑顔は完全に威圧のための笑顔。二度と同じ事をさせないという強い意志の元でした発現だった。
「う、うう……笑わない?」
「笑わない、でも会ってからどうするかは決めたいな」
「分かったよう、お姉ちゃんも一緒……?」
「うん、アンケさんも一緒に」
「うう……長足、お願い」
空間がひび割れる、そして、どこかとつながったようだった。どこかの一室のように見える。しかもぱっと見ただけでも相当高級な部屋である。まるで位の高い者の執務室か、もしくは私室かというような感じである。
「こっちだよう。FLOAT」
縄に巻かれたままアンサがプカプカと浮かぶ。
「ごめーん、しくじっちゃった」
「はぁ? なんでそんなことになったの?」
部屋の先にいたのは法衣のような豪華な衣装を着たアンサであった。どうみても同一人物ではあるが、年代が違う。少女と言える歳のように見える人形のアンサと20歳半ばの法衣のアンサである。
「あんた、3人はちょっとやり過ぎじゃないかい」
「お、おねえちゃん!?」
驚きすぎた大人アンサが高そうな椅子からずり落ちる。その表情は驚愕から少しずつ歓喜へと変わり、最後には号泣へと変化した。
「お、おで、おべ、おべええじゃあああああん!!!」
「なんだいいきなり、一番でかい図体して中身は一番子どもじゃないかい。あとおべえじゃんってなんなんだい、ちゃんと呼びな」
「おねえちゃあああああああああああああああああん!!!」
アンケにすがりつくと、そのままおいおいと泣き崩れている。流石にこうなるとは思っていなかったルームはポカーンと口を開けて見守るばかりである。
「さびじがったよぉ~~~~~!!」
「はいはい、あんたが本体だね。悪魔と人形はあんたから分離させた端末だ。違うかい?」
「そう、私が3人いたら効率が良いでしょう。悪魔転生させたのと、器物転生させたのと、肉体の再形成を行ったの」
「記憶の共有はしてないみたいだねえ、人形と悪魔がけっこう好き勝手やってるのは知ってるのかい?」
「うん、大体は分かってるけど目的は一緒だから放っておいてたの。そうしたらやっとお姉ちゃんがここに来た!! やっと、やっとだよ!!」
「久しぶりで悪いんだけどねえ、話をしに来たんだ」
「なに? 私ができることならなんでもする」
「だとさ」
「あ、話しても良い?」
いきなり話せるタイミングが回ってきたことで一気に話の中心がルームに変わる。
「今回そこの人形のアンサさんに少しだけ迷惑をかけられちゃって、そういうのがもうないようにして欲しいんですけど。できますか?」
「あ~、なるほど。お姉ちゃんのお気に入りに手を出したからこんな風になってるんだ」
「反省してます……」
「うん。分かったよルーム君。君にはもう私達は迷惑をかけない、契約魔法で一筆書いても良いけどどうする?」
名乗った覚えのないはずの名を知られていることにルームが眉をひそめる。頭をよぎるのは禁忌スキル持ちの情報を知っている者たちのこと。それは学会・武界・教戒の上層部であるとメイリーは言っていた。自分のことを認識しているのならそういうことなのだろうとルームは警戒度を引き上げる。アンサの格好から考えて教戒の幹部である可能性が高いだろうと当たりをつけた。
「アンサさん、あなたは教戒の幹部ですか」
「なんで、そう思うのかな」
「僕の名前を知っているからです」
「いやいや、自意識過剰だよ君。と言いたいところだけど、その様子だとある程度知っているみたいだね。うん、私は君を知っている。【寄生】のルーム君」




