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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第5章.学園編 荒ぶる学園トーナメント戦
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7.戦闘、決勝戦【覚醒】

 先手で突っ込んできた、両腕両足を金属で武装した姿に変異したフェールス―――『武闘家』とでも呼んでおくが、そいつは俺と正面から殴り合いを希望の様で、ド正面から右手を振りかぶって突っ込んでくる。


 その馬鹿正直さ、俺は大好きだ。


 俺も右腕に【王覇(オーラ)】を集めて、正面から迎え撃つ構えを取る。


「食らいなッ!」

「そっちがなァ!」


 拳と拳が正面からぶつかった瞬間、金属同士が豪速で激突したかのような轟音が会場に響く。

 砕く気で殴ったのだが、『武闘家』には罅一つ入らない。


「予想以上に固いな!?」

「そう簡単には砕けねぇよ!」


 俺の言葉に、『武闘家』は嬉しそうにそう返す。

 どうやら『武闘家』は、野性味溢れる男っぽい人格の様だ。


「なら、もう一回殴るだけだ!」


 俺は殴った勢いを殺す事無く体を回転させ、左手で裏拳を叩き込む。

 『武闘家』は振り抜いた右腕を引き、裏拳をガードする。


 ぶつかり合い、響く金属音。


「利き腕じゃねえのに、おっもいな………!」


 裏拳を受け止めた『武闘家』がそう零す。


「まだまだァ!」


 俺の攻撃は止まらない。

 振り抜きの勢いをさらに駆使し、【王覇(オーラ)】を籠めた右脚を思いっきり全力で蹴り抜く。


「ッシャァ!」


 先ほどの裏拳を受け止めてしまった『武闘家』は、続けて放たれた回し蹴りを回避出来ない。


「クッ、ソガァ!」


 『武闘家』は、裏拳を受け止めていた左腕を更に硬質化させるも、それでも威力を抑えきれず左腕を砕かれる。


 左側がガラ空きになった。

 俺はそこを見逃さず、回転の勢いで右手で『武闘家』の頭を掴むと、右手に【王覇(オーラ)】を籠める。


「消し飛べッ!【魔力爆散(バースト)】ッ!」


 そしてスキルを発動させ、『武闘家』の頭を吹き飛ばす。

 だが俺は止まる事無く、『武闘家』の胴体にヤクザキックを叩き込み、『武闘家』を吹き飛ばす。



「おぉっとぉ、明らかに強化されている上級精霊を相手に、レイ選手は貫禄の圧倒ぶりを見せる!」

「上級精霊の防御以上の魔力とは、流石としか言いようがないわね」

「やはり、レイ選手の底が知れない!」



 実況の声が聞こえるが、俺は油断はしない。


 今のじゃ『武闘家』は死んでいない。

 わざわざ初っ端から突っ込んでくる『武闘家』には『EMETH(真理)』の文字は無い筈だから、消し飛ばすだけ魔力の無駄だ。

 弱点を持った奴が、ノコノコと最前線に来るはずが無いからな。


 だから、『EMETH(真理)』持ちは後ろに控えた残り3人の内の誰か。


 3人を相手取ろうと思った瞬間、俺の周囲に数十以上の魔力反応が浮かぶ。



「「「【岩弾・全開ロックショット・バースト】」」」



 三重に重なる声が聞こえたと同時に、ライフル弾状に形成された数多の【岩弾(ロックショット)】が俺を向く。

 先ほどの様に避けられない様に、俺の前後左右360度に加えて上空含めた全ての方向に【岩弾(ロックショット)】が発生し、俺に向かって飛んでくる。

 早速さっきの経験を生かしてて成長性の高さがうかがえる。


 だが、俺にはこれを蹴散らす手段がある。


 両手に【王覇(オーラ)】を【充填(チャージ)】させ、左手と右手をそれぞれ逆方向に構える。



「【覇嵐(テンペスト)】ッ!」



 スキル名を叫ぶと同時に、回転しながら両手から【噴火(バーナー)】を放つ。


 淡い虹色の魔力の奔流が巻き起こり、俺に飛んで来ていた【岩弾(ロックショット)】を全て飲み込んだ。

 そして荒ぶる奔流の余波で、ばらけた位置取りをしていたフェールス達が怯む。



 さて、この隙に反撃を―――と思っていたが、背後から突っ込んでくる魔力反応を【魔力探知(サーチ)】が捉える。



「うらぁっ!」


 完全に再生した『武闘家』が、頭を刈り取る気満々のハイキックが襲って来たので、俺も右脚に【王覇(オーラ)】を武装して迎え撃つ。



 初めの様に、金属同士が激しくぶつかり合う轟音が響く。



「マジでコレも止めんのかよッ!?」

「流石に同じ蹴りじゃないと無理だったが、なッ!」


 渾身の一撃を撃退された事で驚きの声を上げる『武闘家』に返答しながら、再度右脚に力を籠め直して『武闘家』を弾き飛ばす。

 だがその間に、体勢を崩していた残りの3人が万全の体制に立て直す。


 やっぱ、蹴り技を使うと片足が使えなくなって、移動出来なくなるのは考えモノだな。

 ここぞという時以外に使って回避でもされたら、身動き取れない木偶の坊になって隙だらけになるので、乱打戦で『蹴り技』を使うのは出来るだけ避けるべきだと、俺は考えている。

 まぁ、今回は蹴りで無ければ、威力不足でフェールスのハイキックを相殺出来なかったからしょうがないと言えばしょうがないんだがな。

 『脚は腕の3倍の力がある』というのは某美食四天王のセリフだ。


 俺自身が体勢を立て直す間に、フェールス達4人は俺の対角線上に位置どる。


「「「「やはり、魔術では私達が一歩劣る様ですね」」」」


 フェールス達はそう零す。


 そりゃ、一応俺は『精霊王』だからな。

 ココで負けるようじゃ、フェールスに『精霊王』の座を譲らなきゃいけないしな。



「「「「なので、やはり全員で肉弾戦しか」」」」



 そう言うと、フェールス達の武装が変化して4人全員が『武闘家』の姿となり、同時に突っ込んでくる。


 最終的に波状物理攻撃か。シンプルだが、それなりに効果的だ。


 だが、精霊王として、これからの学園生活の為、そう思い通りにやられる訳にはいかないのだ。



「シッ!」「食らえッ!」

「無駄、無駄ァ!」


 正面から放たれる右ストレートを裏拳で打ち払いながら、背後からのドロップキックを回し蹴りで撃ち落とす。


「「ならばっ!」」

「それも無駄!」


 両サイドから同時にハイキックを放たれそうになるが、両方に【王覇(オーラ)】を籠めた【噴火(バーナー)】で吹き飛ばし、攻撃を撃たせない。


「フッ!」

「邪魔だぁ!」

「「ガッ!?」」


 左から打たれた牽制のジャブを受け止め、その腕を掴んで別のフェールスに向かって投げ飛ばす。


「これならッ!」「どうだッ!」

「しゃらくせぇ!」

「ダッ!?」「クッ!?」


 空中からのジャンピングキックをジャンプしながら避け、真下に来たと同時に左下に弾き飛ばして、スライディングを狙っていたフェールスにぶつける。


「次こそッ!」「「当たれぇ!」」

「無駄ッ」

「「ガッ!?」」

「無駄ッ!」

「しまッ――」

「無駄ァ‼」


 背後から仕掛けられたタックルを飛び膝蹴りで相殺し、再度両サイドから放たれたハイキックの片割れにぶつけ、もう片方は同じくハイキックで粉砕する。

 そして、右足を粉砕したフェールスに対し【二重噴火(ツインバーナー)】を叩き込んで、全体を粉砕する。


 これで動きが止まる事を期待するが、残りの3人がまだ動いているので『EMETH(真理)』持ちでは無かったようだ。

 引き続き攻撃を行う3人に対し、俺は全ての攻撃を撃退していく。




「これは凄まじい大乱闘だぁ‼4人の上級精霊の猛攻が前後左右上下の余す所無く全方位から襲うが、レイ選手はそれを全て捌き切っている!まるで背中に目でもついていると言わんばかりの捌き方は、凄まじいの一言に尽きますッ!」


「あの猛攻乱打の中、レイは細かく【魔力探知(サーチ)】を使っているようね」


「つまり、周囲に常に気を配りながら攻撃を捌き続けているのですか!?」


「桁外れの状況把握能力と攻撃選択速度ね。常に出来る限りの最高率の動きで動き続けている集中力も、常人の比じゃないわね」


「本当にどんな人生を送っていれば、あの様な戦闘力を得られるのでしょうか!?」


「生半可な12年ではないでしょうね。数年前に亡くなった史上最年少の白金級冒険者(プラチニウム)氷の魔女(フリージア)』を例に挙げると、彼女は4歳の頃にグランディアで『迷宮災害』に巻き込まれて、7年近い間迷宮奥深くで生活していたそうよ。迷宮から自力で出てきた時既に純金級でもトップの実力だったらしいわ」


「つまりレイ選手はそれに並ぶレベルの生活だったという事ですか!?」


「断言はできないけれど、本当に幼い内から戦闘訓練を行っているはずよ。下手をすれば歩けるかどうかのレベルから」


「それは………」




 猛攻を捌きながら、実況の二人の声が聞こえる。


 学園長、惜しい。

 俺が強くなろうとMP増幅を始めたのが、この世界で意識を取り戻してから二日目だったはずだ。

 だから、実際は生まれてすぐだな。



「「「これならッ!」」」

「無ッ!」

「ガッ!?」

「駄ッ!」

「グハッ!?」

「だァ!」

「クッ!?」



 同時に突っ込んで来た3人を、今までと同じように弾き飛ばしていく。


 先ほどから、ずっとこの調子で3人を捌き続けている。

 やられはしないのだが現状決め手に欠けていて、どう止めを刺そうか悩んでいる。



「「「次こそッ!」」」

「甘いッ!」

「「「グハァッ!」」」



 またも、突っ込んできた三人を払いのける。


 さて、これからどうし―――





 ―――待て、もう一人はどこに行った?





 この3人が動いている以上、粉砕した1人も再生しているはずだ。

 なのに、先ほどから猛攻に参加していない。

 ならば、奴はどこに行った?



 【魔力探知(サーチ)】の反応は、俺以外に大き目1つとその他3つ。



 3つは猛攻の3人組の物で、もう一つはディゼルさんの物だ。

 ディゼルさんは左腕をやられているので、得意の弓が使えないのでリタイアと同然―――





 ―――いや、それはおかしい。





 ディゼルさんは弓が使えなくとも、【火属性魔法】が使えるから遠距離で援護が出来るはずだ。

 なのに、先ほどから一切攻撃に参加していない。



 俺の狙い(ヘイト)を取るのを避けている?



 実際、ディゼルさんが倒されればフェールスも消えるので、それもあるかもしれない。

 だが、『俺に実力を証明する』と言った先ほどのディゼルさんを見ている限り、それは無い筈だ。



 ならば、ディゼルさんは何をしている?



 【魔力探知(サーチ)】でのディゼルさんの反応は、他の3人より大きいものだ。

 つまり、魔力を集めているのだ。



 何の為に?



 そんなもの決まっている………!







 ()()()()()()()()







「ッ!?どけぇッ!」


 俺の周囲にいた3人を強引に【噴火(バーナー)】を伴った【回天(サイクル)】で吹き飛ばす。

 そして、ディゼルさんの反応の方向に向き直る。


 そこには―――





 ()()()()()()()()()()()()()()を、体全体を使いながら右手のみで引くディゼルさんの姿があった。



 その巨大な弓に装填されているのは、矢なんてちゃちなものでは無い。


 人の腕よりも大きい槍だ。





 あれは不味い‼‼





 俺が真っ先に回避を取ろうとした瞬間、それを妨害する声が聞こえた。


「「【大地顎(グランドアギト)】ッ!」」

「ッ!?」


 俺の足元から魔法が発生し、ディゼルさんに思わず気を取られていた俺は回避が遅れる。

 地面から生えた龍の顎がそれぞれ両足に噛み付き、俺は動けなくなる。


「へへっ、俺と道連れだ」

「なっ!?」


 そして、俺の最後からフェールスの声が聞こえたと思うと、俺は羽交い締めにされてガードの態勢すら取れなくなる。



 そして、俺が晒した隙を見逃さず、ディゼルさんが張り詰めた弦を握る右腕に力を籠める。





「行き、ます!【超弩砲(バリスタ)】ッ!」





 ディゼルさんが右腕を離した瞬間、極太の槍が唸りを上げて俺目掛けて飛んでくる。



「ガハァッ!」



 俺はそれを回避出来ず、腹部に直撃を受ける。


 咄嗟に貼った【王覇(オーラ)】でも受け止めきれず、俺はそれなりのダメージを受けながらぶっ飛ばされる。




 慢心で場外負け(リングアウト)なんざ、御免だ!




 俺は、両腕両足に【王覇(オーラ)】を全力で籠めて、槍を掴みながら全力で踏ん張る。



 余りの威力に地面を抉りながら、削りながらではあるが―――。




 俺は何とか場外へ落ちる事は防いだ。




「何と、何と、何とッ!?ここで会長による反撃だァ‼極太の柱の様な槍がレイ選手を捕えたぁ!!」


「アレはもはや執念ね。よくもまあ、対地据置の巨大な弓とはいえ、あのサイズの槍を装填しながら右手のみで引き切ったわ」


「学園トップの意地、執念、根性の一撃は確実にレイ選手に直撃しました!」


「えぇ。レイはガードすら出来て無かったから、咄嗟に集めた魔力程度じゃ大ダメージは確実よ」


「ですが、レイ選手は『回復士(ヒーラー)』のはずですが、何故か自身を回復する気配がありません!どういう事でしょうか!?」





 学園長の言うとおりだ。


 正直、俺自身少なくは無いダメージを受けてしまった。

 だが、ティナとの取引で俺自身に対する【回復魔法】を無効化しているので、回復する事も出来ない。


 どうするべきか………。



 思わぬ事態に焦りを隠せないでいると、俺から金色の魔力が包む。



「これは………」


 無意識下に発動したのは、俺が幼少期から使い続けてきた【継続回復(リジェネレーション)】だった。

 咄嗟の事態に、思わず発動させてしまったようだ。

 しかし、自己回復は出来ないので、今までの様に体力は回復しない。



 だが、俺は思いついた。



 【継続回復(リジェネレーション)】は、体内の細胞を活性化させて持続的に回復を行う魔法だ。

 だから、回復はしないとも体自体の動きは改善される。



 この【継続回復(リジェネレーション)】を通常の魔力では無く、【王覇(オーラ)】で発動させたらどうなる?



 そう思った瞬間、金色の魔力が淡い虹色の魔力に変異する。


 そして、俺自身感じた。


 ただ【王覇(オーラ)】を纏っていた今まで以上に、体中が活性化している事に。





 俺の相棒だった【継続回復(リジェネレーション)】は【王覇(オーラ)】の力を得て、新たなスキルへと変異した。





「名付けるなら、そうだな………【神威(カムイ)】とでも呼ぼうか」



 俺はそう零すと、フェールス達へ向き直る。



 『神』の名を冠するのは大げさかもしれないが、俺の生まれてからの相棒の魔法の進化なのだ。

 それくらいの思いは籠めている。




 もう俺は負ける気がしない。





「素晴らしい、素晴らしいわッ‼‼」


「うわっ、学園長!?突然、席を飛び上がりどうしたのですか!?」


「学園の全員、レイの姿を見なさい!しかと目に焼き付けるのよ!今のレイの状態、アレは私達エルフが追い求めて研究し続けている『魔力を使った身体能力の強化』、その極致と言っても過言では無いわ‼‼」


「そ、そうなんですか………?」


「えぇ、えぇ!今まで魔力を使った身体強化は、魔力を纏い武装するもので精いっぱいだったのよ!でも、レイのは違うわ!アレは体の細胞一つ一つから強化されているわ!つまり純粋な身体能力の強化が可能という事を証明しているのよ‼‼」


「それほど何ですか!?それは、世紀の大発見なのでは!?」


「えぇ、そうよ!アレこそ、我々が更に進む為の、進化の一歩よ!」


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