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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第5章.学園編 荒ぶる学園トーナメント戦
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6.戦闘、決勝戦【成長】

 突っ込んできたフェールスと拳がぶつかり合う。


「うらぁっ!」

「くっ!」


 勿論、競り勝ったのは俺だ。

 元男だろうが、魔法種族の精霊に負けるほど軟な鍛え方はしていない。


 競り負けたフェールスは、即座に後ろに飛び去り俺と距離を取る。


「流石はレイ様、ぶつかった右手がビリビリします………!」


 フェールスは、少し嬉しそうな表情でそう零す。

 本当にドMなんですね………。


 だが、フェールスは表情を真面目なモノに切り替え、右手を前に突き出す構えを取る。


「ですが、私も前のままではありません!前よりも成長している所を見せましょう!」


 すると、右手の前に魔力が収束する。

 中々の収束速度だ。前よりも断然早い。


「行きます、【岩弾(ロックショット)】ッ!」


 フェールスが叫ぶと同時に右手の前に岩の塊が出来、それがこちらに真っ直ぐ飛んでくる。



 前よりも段違いな速度で。



「早っ、【魔力弾(バレット)】ッ!」


 予想以上の速度で飛んでくる【岩弾(ロックショット)】に驚きつつも、こっちも持ち技最速の【魔力弾(バレット)】で撃退を狙う。

 前と同じであれば、【岩弾(ロックショット)】と【魔力弾(バレット)】がぶつかり合った瞬間に【岩弾(ロックショット)】が砕けて終わった。


 だが、今回の【岩弾(ロックショット)】は違った。


 俺の【魔力弾(バレット)】とぶつかって尚砕ける事無く、勢いそのままに軌道のみがずれて、俺の真横をかすめる。


「オイオイ、マジかよ………!」


 砕けないその理由に気付いた俺は、思わずそう零す。


 なんてことは無い。

 【岩弾(ロックショット)】の形状が前回と違い、細い筒状で先端が円錐状に尖っていたのだ。 



 そう。俺の【魔力弾(バレット)】と同じ形状なのだ。



「レイ様に負けた後、私は【岩弾(ロックショット)】の改良を考えて、レイ様の【魔力弾(バレット)】を真似させていただきました。まだまだ錬成速度はレイ様に劣りますが、そう易々とは砕けませんよ!」


 俺の反応を見て、嬉しそうにそういうフェールス。

 俺の敗北してからそう時間は経っていないはずだが、その間でこのレベルまで改良出来るとは………。


「この短期間でこれほどの成長は、確かに凄いな」

「あ、ありがとうございます!」


 俺がそう素直に褒めると、フェールスは更に嬉しそうな顔をする。


「ですが、私の本気はまだまだこんなものではありませんよ!」


 フェールスはそう言うと、左右に両手を広げて周辺に魔法を発動させる。

 その数は、ゆうに十数を超えている。


「レイ様ほどの速度の連射は出来ませんが、代わりに同時詠唱を覚えました!行きます!」


 そして、両手を前に突き出し、発動させた【岩弾(ロックショット)】を全て打ち出す。

 その矛先は、全て俺を向いていた。


「【岩弾・全開ロックショット・バースト】ッ!」


 放たれた【岩弾(ロックショット)】は、全てが俺めがけて寸分違いなく飛んでくる。

 その速度、錬成数、エイム、共に素晴らしい。


「だが、惜しいな」


 俺はそう零すと、右に一歩ずれる。

 ただそれだけの動作で、【岩弾(ロックショット)】は全て俺に当たる事無く、横を抜けていく。


「そんなっ!?」

「参考程度に、例を見せよう」


 驚くフェールスに対し俺はそう言う。

 わざわざ相手に教えようと思ったのは、成長する意欲のある今のフェールスなら例を見せるだけで糧にできるだろうと思ったからだ。


 右手をフェールスに向け、自分の周囲に魔力の弾丸を複数発動させる。

 昔の様にわざわざ手で銃の形を作らなくても、魔力を固めるのは出来る様になっている。

 まぁ、慣れもあるし、銃の形どりを行う方が発動速度が段違いなので普段は今行っているけどね。


「一、同タイミングで放つなら狙いは分散させる事。その際、範囲攻撃か単体攻撃かによって狙いの分散率を変えれると、直良し」


 今回の狙いはフェールスのみ。

 狙いは単体なので、あまり分散させない。


 構えた右掌に、周辺に錬成した魔力弾を寄せ集めて固める。


 イメージするのは、前世の銃の一つ。

 撃つと弾丸が即座に飛び散るので、近距離で安定した命中率を出せるあの銃。

 ポンコツエイムでもそれなりに戦える為、FPSでは色々審議が起こるのあの銃。


 放つ直前に一歩前に踏み出し、相手との距離を少しでも詰める。



「【魔力散弾(ショットガン)】ッ!」



 突き出した右掌から集めた魔力弾を放つ。

 それらは放たれるとほぼ同時に分裂して、フェールスの周辺に飛び散る。


「なっ、避けられ、くっ!?」


 フェールスは、先ほどの俺と同じく一歩ずれて避けようとしたが、そこはまだ【魔力散弾(ショットガン)】の射程内だ。

 避けるのが無理だと即座に切り替えたフェールスは、両腕に魔力を集めてガードの態勢を取る。


 コイツ、【魔力武装(オーラファイト)】も習得してるのかよ!?成長し過ぎだろ。

 慣れない錬成方法で初めての魔法を放ったから、恐らく【魔力散弾(ショットガン)】はフェールス大したダメージは与えられないだろう。


 だから追撃の手は緩めない。


 俺はフェールスに詰め寄りながら、右腕に【王覇(オーラ)】を発動させる。

 フェールスは、ガードで顔を塞いでしまっている為、詰め寄る俺に気づけない。


 【魔力散弾(ショットガン)】を両腕で受け止めきったフェールスがガード体勢を崩すと、そこには既に詰め寄り切った俺がいる。


「なっ、いつの間に―――!」

「こういう拡散攻撃は、目くらましとしても有効なんだ。そこも覚えときな!」


 ガードの解けたフェールスの胴体めがけて、右手から魔力を放つ。


「【噴火(バーナー)】ッ!」

「ガハァッ!?」


 【噴火(バーナー)】が直撃したフェールスは、後ろに吹き飛ぶ。

 俺は左腕にも【王覇(オーラ)】を発動させ、追撃を狙う。


「させない。【速射(クイックショット)】」

「もう一発―――っと、ぶねぇ!」


 だが、横から飛んできた速度重視の牽制の矢が飛んできた為、踏み出そうとした一歩を辞めて後ろにバックステップする。

 フェールスの後ろにいたはずのディゼルさんが、俺の背後を取ろうとして移動中に横から放った一撃だ。

 ディゼルさんは、フェールスが体勢を立て直すまでの時間稼ぎに移った様で、俺の背後を狙うのを止め、寧ろ俺に踏み込んでくる。


「ほう、近寄ってくるのですか!」

「逃がさない。【火鳥(ファイアーバード)】」


 ディゼルさんは矢を充填しないまま弓を引いて、代わりに魔法を発動させて発生した炎の矢を射る。

 炎の矢は放たれると同時に、左右に翼の様な炎が広がって羽ばたき、速度を増して飛んでくる。


「【噴火(バーナー)】」


 俺は既に発動していた左腕の【王覇(オーラ)】を、迎撃に放つ。

 その動作の隙を突こうと、ディゼルさんは俺に尚踏み込み、弦を持った右腕を思いっきり引く。


「まだまだ。【炎槍(ファイアージャベリン)】」


 ディゼルさんは【炎槍(ファイアージャベリン)】を発動させると、そのまま弓を使って【炎槍(ファイアージャベリン)】を放つ。

 まさか、槍を射るとは!

 普段より速度と威力を増した【炎槍(ファイアージャベリン)】が俺の近くで放たれる。


「【王覇(オーラ)】ッ!」


 俺は右腕に【王覇(オーラ)】を搔き集め、【炎槍(ファイアージャベリン)】を右手で受ける。

 ぶつかった【炎槍(ファイアージャベリン)】が爆ぜて俺の右腕を焼くが、腕を覆った【王覇(オーラ)】のお陰で無傷で済む。

 俺一応、MID:Cで【魔法耐性Lv.5】持ちでもあるので、簡単には魔法で怪我は負う事は無い。


「効いてないのは、予想外、です」


 【炎槍(ファイアージャベリン)】を無傷で受け切った俺を見て、ディゼルさんは軽く驚いた様に零す。

 そんなディゼルさんに、俺は再度左手に【王覇(オーラ)】を発動させる。


「次はこっちの番です!【噴火(バーナー)】ッ!」

「くっ」


 俺がカウンター気味に放った【噴火(バーナー)】がディゼルさんを直撃し、ディゼルさんは先ほどのフェールスと同じ様に後ろに吹き飛ぶ。

 左腕で放ったので魔力放出の絞り込みが少し甘かったようで、右腕の時よりダメージは与えられていない様だ。


「今度こそ、逃がさないッ!」


 なので先の反省を生かし、俺は即座に右手に【王覇(オーラ)】を籠めて追撃を行う。


「フッ!」


 振り抜いた右腕が、咄嗟にガードを行ったディゼルさんの左腕に直撃する。

 それでも、俺はガードされた左腕ごと、ディゼルさんを思いっきり殴り飛ばす。


「どらぁっ!」

「ガッ!?」


 ガード越しに想定以上のダメージを受けたディゼルさんは、左腕を弾き飛ばされてガラ空きだ。

 持っていた弓もどこかに飛んで行っている。

 確実な追撃チャンスだ。



 だが、更なる追い打ちを行おうとした俺の【精霊眼(スピリッドアイ)】が、俺の足元に集まった魔力を捕える。



「させません!【大地顎(グランドアギト)】ッ!」



 少し遠くからフェールスの声が聞こえた。

 その瞬間、足元からドラゴンの顔を模した岩が飛び出し、俺に噛み付こうとする。


「シッ!」


 俺は踏み出しかけた右足に【王覇(オーラ)】を纏うと、そのままの勢いで蹴り抜き、【大地顎(グランドアギト)】を粉砕する。

 そのまま念の為、一度二人から距離を取る。


 吹き飛んだディゼルさんは、飛び込んだフェールスに受け止められてる。

 そして地に立ったディゼルさんを見ると、左腕にそれなりのダメージを与えられたようで、左腕を力が入っていない様子でプラプラとさせていた。



「誰が想像したでしょうか!?学園トップの会長と上級精霊のコンビに対し、レイ選手は自分の優位を崩さない!寧ろ、試合開始早々会長の左腕に一撃で多大なダメージを与え、会長の持ち武器である弓を封じてしまったぁ!」

弓士(アーチャー)であるディゼルにとって、さっきの一撃は受けるべき一撃では無かったわね。大剣すら砕く一撃を受けてしまっては、この試合中の回復は絶望的よ」

「つまり会長は岩石精霊に頼らざるを得ない状況ですが、レイ選手がその弱点を見逃すとは思えません!」

「えぇ、いくら精霊が健在であっても、対象選手であるディゼルがダウンすれば、その時点で試合終了よ。ディゼルはどうやって逃げ切るつもりかしらね」



 そう、ナレーション通りなのだ。

 フェールスがいくら耐えても、ディゼルさんがやられたらその時点で終わりなのだ。


 さて、あの二人はどうするのだろうか。



「フェールス、お願い」

「任せろ」



 当然ながら、ディゼルさんが一歩下がりフェールスが前に出て来る。



「私達は未だレイ様に一矢報いていない。このままでは、実力を証明できない」

「それは、駄目、だから」



 だが、二人共まだまだ目には闘志が宿っている。

 この状況でも、この実力差でも諦めていない。



 いいね、素晴らしい。



「まずは私が全力で行く。ディゼルは構えておきな」

「了解」


 フェールスが、更に一歩踏み出す。


「レイ様、私が成長した所を余す所無く見てもらいます!」


 フェールスがそう声を上げると同時に、フェールスから一瞬魔力波が放たれる。

 威力は殆ど無い様で俺に直撃するも全くダメージは無いが、その魔力波を受けた周辺のステージに罅が入っていく。

 そして徐々に端から砕けていく。




「【戦闘人形隊(バトルドールズ)】」




 ひび割れたステージは、崩れた端からフェールスに吸い込まれ、取り込まれていく。

 そして、ステージを取り込めば取り込むほど、フェールスの体はどんどん膨らんでいき、大きくなっていく。



 前とは様子が違うが、この状況は分かる。


 ゴーレム化だ。



 それを見た俺は、両腕に【王覇(オーラ)】を【充填(チャージ)】させていく。



 ならば俺は、またもう一度前の様に消し飛ばしてやる。

 今度は、前みたいに火力が足りないなんて状況にはさせない。

 今度こそ完膚なきまでに消し飛ばす。




 だが俺の予想は裏切られる。



 何やら、前と様子が違う。




 大きくなり体中が岩になる所までは一緒だった。

 ステージを吸収した分、前よりも大きな姿になっていく。



 そして、ある程度の大きさになった瞬間、突然二つに分裂した。



 分裂して縮んだと思いきや、二つのボディはまた膨らんでいく。


 そして、二体とも先ほどと同じサイズになったと同時に、再度分裂した。




 そして現れたのは、前回より少し縮んだ4体のゴーレム。




 俺は、前より数が増えた為戦闘の方法を練り直そうとしたが、状況はまだまだ変わる。




 4体のゴーレムの膨れ上がった岩の体が、音を立ててドンドン縮んでいっていた。

 いや、只縮んでいる訳じゃない。



「圧縮している………?」



 大きく軋む音を上げながら縮む岩の体は、徐々に硬質化していく。


 そして縮めば縮むほど、体が金属質になっていく。




 そして最終的にそこにいたのは、岩なんかより明らかに強度が高そうな金属光沢の光るボディをした、4人のフェールスの姿だった。




 4体の金属体フェールスは、全員同時に顔を上げる。



「「「「お待たせしました」」」」



 4体同時に喋り始める。



「「「「これが私の新たな全力形態」」」」



 4体のフェールスの眼が赤く輝く。



「「「「私達は個別の意思があります」」」」



 そして、4体の体中に青色の文字が輝き始める。





「「「「ですが、私の『真理』は一つです」」」」





「それはまた、厄介な事で………!」


 俺は思わずそう零す。


 あぁ、本当に厄介だ。

 4体の内、1体の何処かにある『EMETH(真理)』を削って『METH()』にしないといけないとは………。

 しかもあの様子だと、うまく消せないと平気で再生しそうだし、前より明らかにシャープで頑丈そうな見た目になっている。


 だが、やってみせよう。


 既にディゼルさんは援護くらいしか出来なくなっている。

 ならば、この状況を乗り越えてからディゼルさんを倒す事によって、俺の実力を見せつけられるはずだ。



 構えた両手の【王覇(オーラ)】の出力が無意識に上がる。




「「「「行きますッ!」」」」


「返り討ちにしてやるよ!」




 そして俺達は再度激突する。


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