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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第5章.学園編 荒ぶる学園トーナメント戦
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2.開会、それと一回戦

「さぁ、遂にやってまいりました!今年の学園トーナメント戦、開催です!」



 ナレーターの声に、会場の客席一杯に詰め込まれた観客たちが歓声を上げる。





 遂に、学園トーナメント戦当日である。



 現在、開会式が行われており、参加者16人全員がステージに立って、大会のルール説明や学園長の御話などを聞いている。


 あー、この時間も俺の事見て笑っている奴ら多すぎ。説明聞けよ。


 俺が周りの反応にウンザリしながら学園長の御話を聞いて居ると、そろそろ学園長の話が終わりそうだ。

 前世の校長達より全然短く、纏められた挨拶だった。今後もそれくらいでお願いします。



「さて、私の話は以上なのだけれど、実は今回の大会は今まで違う事があるの」



 ん?今、学園長がこっちを見てニヤリと笑ったような気が………?

 いや、気のせいじゃないな。確実に俺を見て笑ってる。

 何だ?何が起きる?



「実は今回の大会、素晴らしいゲストを複数名呼んでいるわ」



 ゲスト?誰だろう?

 周りに人がいっぱいいるせいで【魔力探知(サーチ)】が使えないので、どんな人がいるかもわからん。

 俺に関係する人物なんだろうけど………?

 俺が疑問気に首を傾げている間も、学園長の紹介は進む。



「まずは、今冒険者ギルドで『純金級冒険者(アウルニウム)』のパーティに最も近いとされているパーティ、『二重乙女(ツインガールズ)』の3人に来てもらっているわ」



 学園長が紹介に会場からどよめく。そら、純金級なんて人類有数の実力者の集まりだもんな。


 そして学園長の後ろから、女性のみの三人組が現れる。

 って、あの中にいるのは………!?



「どうも、『純金級冒険者(アウルニウム)盾士(ガードナー)のミクルだ」

「『純金級冒険者(アウルニウム)』、魔術師(マジシャン)のルカ………宜しく………」

「『純金級冒険者(アウルニウム)』の剣士(フェンサー)、ルルーナです。宜しくお願い致します」



 現れた『純金級冒険者(アウルニウム)』の3人組に、会場で歓声が上がる。


 だが俺は、現れた人物の中に有能秘書のルルーナさんがいた事に驚きを隠せない。

 えっ、あの人『純金級冒険者(アウルニウム)』だったの!?そりゃ強いに決まってるじゃん!

 有名な冒険者であろうと想像していたが、数倍凄い人物だった。


 しかも、クリス先生のパーティか。クリス先生以外、皆『純金級冒険者(アウルニウム)』って半端ないな。

 でも今のクリス先生なら、純金級でもおかしくないと思う。後でオルにでも相談してみるか。


 って、あの三人組、会場に現れてからずっと俺の事見てるんですが、俺何かしましたかね………?



「知らない人もいるだろうから説明しておくと、この学園にいるクリス先生も『二重乙女(ツインガールズ)』のメンバーよ。役職は斥候(スカウト)ね」



 俺が久しぶりの目線攻撃に耐えている間に学園長から補足の説明が行われると、会場が更にどよめく。

 えっ、みんな知らなかったの?


 そんな会場の様子を尻目に、学園長の紹介は進む。



「ゲストはまだいるわ。次のゲストは、冒険者ギルドグランディア支部ギルドマスターで、『清廉女傑』の二つ名を持つ、私のパーティメンバーの一人、オルゼよ」

「只の純銀級に対し、なんて大層な紹介をしてくれるんだい………」

「オルは、いい加減人前に立つのに慣れなさいよ」

「うるさいよ………。あー、グランディア支部ギルドマスターのオルゼだよ。今日は宜しく頼むよ」



 次に紹介された人物に会場のボルテージは更に上がって、先ほどよりも大きな歓声が上がる。

 オルは、自身の紹介内容と会場の歓声に対し、恥ずかしそうな素振りを見せている。大層な扱いされるの苦手だもんね。


 って、オルも来たの!?

 恥ずかしそうにしながらも、こっちをチラチラと見ているので、完全に授業参観だ。


 学園長の紹介はまだまだ続く。



「次のゲストを紹介しましょう。次は、トーナメント戦お馴染みの御方が今年も来てくださったわ。しかも、今年は、孫娘も連れて来てくださったわ。さぁ、どうぞいらしてください」



 そういって学園長がその人物を呼ぶ。

 すると、ご年配の女性と明るい笑顔を浮かべた修道服を着た女性の二人組と、スーツのような服を着た一人の女性が現れた。



「マルスメティア代表、教皇のデュエラ・マルスだよ。今年は私の孫娘も連れてきたから、二人共々宜しくお願いするよ」

「マルスメティア代表『デュエラ・マルス』が孫、『ティオ・マルス』です!今年から、大会の運営に参加させてもらう事になりました!今後ともよろしくお願いします!」



 有名な教皇様と、人気の高い孫娘の登場に、会場は歓声を上げる。

 あの御年配の方が、噂の教皇様か。非常に優しそうな雰囲気の女性だ。



「それと今回、ティオに護衛を付けさせてもらってるよ」

「はい!此方の方は、私の護衛を務めてくださる『契約精霊』のティナ様です!」

「御紹介に預かりました、契約精霊のティナです。お見知りおきを」



 ティオ様に紹介され、ティナが頭を下げる。

 その様子に会場の至る所から、どよめきや驚きの声が聞こえる。


 そりゃそうか。特級精霊なんて伝説に近い存在が、いきなり現れたのだ。驚かない方がおかしい。


 それと、此方の二人も俺を見ている。

 あの様子だと、デュエラ様は俺の正体を知ってそうだ。まぁ、ティオ様には全て喋っていいと伝えてあるし問題は無い。

 あ、デュエラ様が俺に向かって会釈してきた。俺もこっそり頭を下げる。



「それじゃあ、最後のゲストよ」



 どうやらゲストも次で最後の様だ。

 だが、このメンバーの中でも大トリを務める、俺の関係者って誰だろ?


 俺が疑問気に首を傾げていると、学園長の口からその正体が開かされる。



「最後のゲストは、冒険者ギルドのトップに君臨するグランドマスター、『セルディマ』殿よ」

「只今、紹介に預かった冒険者ギルドグランドマスターのセルディマだ。今日はよろしく頼む」



 学園長が名前を呼んだと同時に、赤髪を逆立てた青年ほどの人物―――セルディマが登場する。


 セルディマの登場に会場のボルテージが一瞬でMAXに跳ね上がり、会場全体を大歓声が包む。

 流石、大陸の英雄である『人類最強』のセルディマ。圧倒的な人気だ。



 だが、俺はそれどころでは無い。



 ちょっと待てぃ!?

 俺、今顔隠してないから、顔バレするじゃねぇかよ!

 さっきから学園長が笑っていたのはそれか!全員ドッキリの工作員かよ!



 俺が咄嗟の事態に動揺している合間に、セルディマは文字通り目を光らせながら、ステージにいる参加者の顔を一人ずつ見ていく。


 あいつ、一人ずつ【鑑定(アナライズ)】してやがる………!

 これじゃあ、逃げられねぇよ………。


 俺がある種の諦めに達したと同時、セルディマが俺を鑑定したようで、面白そうな物を見つけた様な笑顔を浮かべてた。

 とりあえず、思いっきり睨んだった。



「とりあえず、初めに少し話させてもらおう」



 セルディマは俺に笑顔を向けた後、会場全体を見渡し語り始める。



「俺が今回、トーナメント戦を見学に来た理由は、この学園を見に来たってのが一つだ。優秀な戦士が多く排出されると話題のこの学園は前々から気になってたんだ。だが、ここ数年、何かと悪い噂をチラホラ聞くようになったのさ。聞けば、どうにも学園長が実家に帰省してかららしい、とね」



 セルディマは、やけに軽くおちゃらける様に、この学園の教師陣にとって嫌な話を始める。

 実際、教師陣は苦々しそうな表情を浮かべている。相手が『人類の英雄』で無ければ、恐らく話を止めに入ったであろう。



「それで去年の事さ。その年学園でもトップクラスと紹介された卒業生が、冒険者ギルドに入ってきたと聞いた。入った当初は皆、噂の有望株に色々期待していたよ。だがそれもすぐだったよ」



 そして、セルディマ自身も苦々しそうな表情を浮かべる。



「評判は本当に悪かったよ。他の冒険者に対し行われる、恐喝、脅し、強請り集り。悪評が留まる所を知らなかったね。それでいて、依頼の達成度は雑。受付嬢に対する強引なナンパ」



 セルディマの言葉に、学園生は只々無言で聞いていた。



「それらの悪行を止めようとした奴も大勢いたさ。注意した奴も多かっただろう。だが、それら全てを過剰なほどの返り討ちにし、多くの有望株を再起不能にされた」



 そしてセルディマは、会場を一瞥する。



「それでどうだい?いざギルドマスターが止めに入れば、『俺は優秀だから何をしてもいい。文句があるなら実力で押さえつけてみろよ』だってさ」



 セルディマは、笑みを浮かべる。



「まぁ、そいつがどうなったか言わないでもわかるよな?」



 それは、見るもの全てを威圧する獰猛な笑みだった。



「とまぁ、そんな事があってな。周りからいつも『英雄』と持て囃される俺からすれば、そんな一大事は調べない訳にはいかなくてな。それで今回な訳さ」



 セルディマは一息つくと、顔つきを変化させる。



「俺は今まで色んな奴を見てきた。欲望に忠実な人。貧困に喘ぐ人。刹那の為に全てを掛ける人。周りを楽しませる事に人生を費やす人。様々な奴がいた」



 一人一人思い出すように、指を折りながら数えていく。



「そいつら全てに共通していた事がある。それは、何か一つの事に集中する奴はそれに応じた『力』を持っている、って事だった。それに気づいた時から、俺はこう考える様になった」



 そして、セルディマは顔を上げ、会場を見渡す。



「『力』には確実に責任が伴う。それがどんな力であってもだ」



 セルディマは、会場の学園生たちに語りかける様に、気持ちを込めて話している。



「ここにいる学園生達は、それはもう普通の人より優秀な『力』を持った者達の集まりだろう。だから肝に銘じてくれ」



 凛々しい表情を浮かべていた。




「君らが振るう、その『力』には周りの人々も変える事の出来る『力』になるだろう。その『力』は、沢山の人々を救う事も出来るし、それと同じくらい沢山の人々を殺す事も出来るだろう」




 その表情は、グランドマスターに相応しい顔つきだと、素直に思った。





「だからこそ、考えてくれ。その『力』の使い道を。使い所を。それさえ出来れば、君達も『英雄』の仲間入りだ。宜しく頼むよ」





 セルディマは、最後に軽く笑いながらそう締めた。


 会場全体から拍手がこぼれる。

 それは徐々に色んな所からも聞こえ始め、次第に大きくなり、最終的に会場全体を大きな拍手の音で包んだ。


 流石『人類最強の英雄』なだけあるね。素晴らしい演説だった。





「さて、てな訳で、今回の大会から冒険者ギルドも絡む事にした。まずは一つ目だ」



 セルディマは人差し指をたてる。



「今回の大会から、ギルド公認の審判を派遣する。この者らは国規模の大会でも審判を行う事を認められた、由緒正しい審判だ。この審判に文句をつけるという事は、冒険者ギルドや様々な国を敵に回す事だと考えてくれ」



 そして、セルディマは次に中指をたてる。



「続いて二つ目だ。大会決勝後に、ギルドでも優秀な者によるエキシビジョンマッチを行う事にした。普段見る事の出来ないレベルの高い対戦を見て、刺激になってくれたらいいと思っている」



 更に薬指をたてる。



「最後に三つ目だ。今回のトーナメント後、学園にギルドのメンバーを派遣する。このギルドメンバーに評価された人物には、ギルドからランク相当の称号を与える。これは様々な国で通用する称号だ。就職や宣伝の際に箔をつける事も出来るし、冒険者ギルドに来たらそのランクからスタート出来る様になっている」



 それらを告げるとセルディマは、二カッと人の良い笑みを浮かべる。



「ってな訳だ。頑張った奴には頑張っただけの評価を与える。不公平は認めない。権力なんて関係ない。俺は『英雄』を探している。以上だ。是非、頑張ってくれ」



 その笑みは、俺を向いていた。






 まぁ、本当はちゃんと分かってる。


 皆、俺の為に協力してくれてるんだ。

 自惚れて勘違いしている訳でも無いだろう。

 じゃなければ、セルディマやオル、学園長達がいつも以上に頼もしく見えるはずが無いんだ。


 この状況を有難く使わせていただく。

 セルディマが審判を公平な立場の者にしてくれた事で、正しく俺の実力を周りに披露できる様になった。

 


 今回の俺の方針は一つだ。



 『圧倒する』



 その一つに尽きる。



 さぁ、全ての俺の評価をひっくり返させてもらおう。









「さて、いよいよ学園トーナメント戦、一回戦を始めます!」



 ナレーターの声が会場に木霊する。



「Aブロック、一試合目!剣士(フェンサー)、バーデア選手VS回復士(ヒーラー)、レイ選手の試合です!」



 現在ステージ上には、俺と大剣を背負った大柄な男性の二人が立っている。



「学園長、レイ選手はこのトーナメント戦唯一の二年生で回復士(ヒーラー)という、個人戦闘に向いていない人物なのですが、何故トーナメント戦に出場しているのでしょうか?」


 ナレーターが、司会者席に座る学園長に当然の疑問をぶつける。


「いいえ、あの子は只の回復士(ヒーラー)じゃないわ」

「そうなんですか?」

「えぇ、見てれば分かるわ」


 そう言って学園長は、質問をはぐらかす。

 恐らく、妙な色眼鏡を掛けないで『俺自身』を見せる為だろう。



「てめぇ、お得意の従者様が居ないのに一人で来るなんざ、どうなっても知らねぇからなぁ?」


 対戦相手のバーデアは、俺の事を舐め切っている。


 しょうがない。これが俺の学園での評価だ。

 若干【女群集の王(ハーレムキング)】のせいの気もしてるが。


「えぇ、構いません。寧ろ、遠慮せず一撃で倒すくらいで来てくださいよ。じゃないと面白くないですし」


 なので、あえて俺は相手を挑発する。

 全力で来てくれないと困る。


「貴方など、素手で十分ですし」

「て、てめぇ、調子に乗りやがって………!遠慮しねぇ、覚悟しやがれ………!!」


 おぉおぉ、見事挑発に乗ってくれましたよ。こめかみがピクピクしてる。



「それでは、Aブロック一回戦。『バーデア』選手対『レイ』選手の試合を始めます」



 今回の審判であるルルーナさんがステージに上がり、試合のコールを始める。

 冷静に考えると、純金級冒険者に審判してもらうって凄い贅沢だな。




「それでは、始めッ!」




「どぅぉぉぉらぁぁ、死ねぇ!」


 ルルーナさんが右手を振り下ろすと同時に、バーデアは俺に真っ直ぐ突っ込んでくる。


 確かに、一般より速い突進だ。

 だが、馬鹿正直すぎる。


 俺は大剣が振り下ろされるであろう軌道上に、右手を添える。


「その腕ごと切り飛ばァすッ!」


 回避のそぶりも見せない俺に対し、尚苛立ちを募らせたようで、バーデアは右手を巻き込むそのままのコースで大剣を振り下ろす。


 確かに、腰の捻りを加えられて、重さの乗った良い一太刀だ。




 だが、ガーベラのパンチに比べたら軽すぎる。





 会場に、金属同士がぶつかった様な大きな音が響く。





 俺の右手は、魔力を纏い、大剣を片手で掴み受け止めていた。




「なっ!?」


 バーデアは驚きの声を上げる。

 押し込もうとしても、引き抜こうとしても、大剣がピクリともしないのだから。


「その大剣は自前ですか?」

「そ、そうだが………!そっれが………な、なんだよ………!」


 必死に大剣を動かそうとするバーデア。


「いえ、それでは申し訳ない事をしますね」



 俺は大剣を離す。



「うぉっ!?」


 急に軽くなった大剣に驚き、バーデアは一歩下がる。


 俺はそれを見ながら、左手に魔力を籠める。




「その大剣ごと、一撃で決めさせてもらいます」




 そして、左手を張り手の様に打ち出す。


 バーデアは、咄嗟の事態ながらも大剣でガードの態勢を取る。




 無意味だ。




「なっ、ぐぇっ!?」


 大剣が砕ける音が、大きく鳴った。


 俺の左手は、大剣を砕きながらバーデアを場外までぶっ飛ばす。




「勝者、レイ選手!」




 唖然とした雰囲気で無言な会場に、ルルーナさんのコールが響いた。





 さぁ、反撃の始まりだ。

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