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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第4章.魔物編 不思議な縁の魔物達
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8.戦闘、盗賊

 ハプニングを超えて、修学旅行二日目の今日。



 俺は、冒険者ギルドに来ていた。





 フレディに多々一つしかないこの冒険者ギルドは、他の街と比べても明らかに規模が小さく、人もあまりいなかった。

 何でも、強い魔物も出てこないし、定期的な狩りも少人数で何とかなるレベルらしく、あまり人を在住させなくても問題無い様だ。


 依頼掲示板を見てみるも、大体が『街の掃除』や『従業員の補助』といった街の便利屋のような仕事ばかりだった。

 それに比例して魔物討伐は殆ど無く、あっても『近辺のスライム駆除』や『森の見回り』といった便利屋の延長ほどの仕事しかなかった。



 寧ろ、そこまで平和なのか逆に気になったので、『森の見回り』の依頼を受ける。



 勿論、依頼を受ける時に『コウ』名義のギルドカードを出す訳にはいかない。

 ちゃんとその事も考えて、オルから『レイ』名義のギルドカードも作ってもらっている。今回はそっちを使って依頼を受けた。


 やる気のなさげなギルド唯一の受付嬢から、依頼の説明を軽く聞く。

 依頼内容は『街の周辺をぐるっと探索して異常が無い事を確認。もし魔物が居たら、いけそうだったら倒してほしい。ま、何もないだろうけどね』といった、ざっくりした依頼だった。


 本当に平和なんだな、と再度実感する思いだ。





「で、実際に何も無し、と………」



 グルっと町の周りを探索するも、本当に何もなかった。マジで魔物いなかった。そりゃ、この街が観光地になるわ。





 サクッと依頼終了してしまったので、俺はギルドにすぐ報告に行き、直ぐに森に戻ってきた。





 今からは、山脈を目指して探索してみようと思う。

 何処まで行けば魔物に会えるか、といった個人的な興味本位の行動だ。


 だが、そんな俺の一人行動を許さないのが、俺の家族である。


 シロと母さんが、どうしても一緒に連れていけと言うので、二人とも連れてきている。




 因みに、昨日から何故母さんがいるのかというと、昨日の時点でミナ姉が連れて来ていたのだ。


 ミナ姉は、俺達が修学旅行で温泉街に行くと聞いて、フランをゆっくりと休ませてあげようと決めて、こっちに来ていた。

 それに母さんも一緒に付いて来た形になる。


 現在ミナ姉とフランは、温泉巡りや食べ歩きなどを行い、充実した時間を過ごしている。




「それにしても、本当に魔物が全くいないのねぇ。ねぇ、シロちゃん。ここに家を建てたら、レイとずっと平和に暮らせそうじゃないかしら?」

「………流石、母様。………それは、最高だと思う」


 俺の前を歩く二人も、普段の探索よりも気が緩むのもしょうがないだろう。実際俺も少し気が緩んでしまっている。


 そんな時、少し遠くに蒸気が噴き出しているのが見えた。


「何だあれ?」

「この辺りは温泉地帯なのだから、自然に湧いている源泉だったりするかもしれないわねぇ」


 俺が疑問気な声を上げると、母さんが直ぐにレスポンスを返してくれる。

 何があるか気になったので、その場所に向かってみる事にする。【魔力探知(サーチ)】にも反応は無いので安全だろう。


 そして、水蒸気が噴き出ていた所で周りを見渡す。


「至る所で水蒸気が噴出してるな………」

「温泉があるって訳じゃなさそうねぇ」

「………熱い(ハァハァ)」


 熱々の水蒸気が辺り一面様々な場所で噴き出しており、視界がとても悪い。そして、シロの言う通り物凄く熱い。

 ていうか、シロは本気でしんどそうだ。さっきからずっと舌を出して、ハァハァ言ってる。狼って言うか犬………。


「これでどうかしら?」


 母さんがそう言うと、熱風が冷えて涼しい風が俺らを覆う。しんどそうなシロを見かねた母さんが、【氷属性魔法】を使って俺達の周りを冷やしてくれたのだろう。


「………ん、すごく涼しい。………でも、こうした方が(ギュッ)」


 シロはそう頷いたと思うと、フラフラと母さんに歩み寄ってギュッとしがみつく。


「あらあら?私に抱き着いてどうしたのかしら?」

「………やっぱり、母様に抱き着いた方がヒンヤリしてて冷たい」


 そう言って、シロは母さんの胸元に顔を埋め顔をぐりぐりとして甘える。


「そうなの?なら、もっと私にギュってしていいわよぉ」

「………そうする」

「うふふ、可愛いわぁ」


 遠慮なく甘えるシロを見て母さんの溢れ出る母性本能が刺激されたのか、母さんは物凄い優しそうな顔で微笑んでシロの頭を撫でる。





 シロと母さんが俺の嫁になると決まってから、二人は昨日の様に俺に対してかなり無防備になったり遠慮が無くなってきた。


 そしてシロと母さんの関係も少し変わり、シロが遠慮なく母さんに甘えるようになった。


 シロは偶に獣人の本能らしき法則を持った行動をする事がある。

 その一つが他人との距離感なのだが、自分の中でヒエラルキーが決まっているらしく、それで他人との接し方が変わる。

 そのヒエラルキーの中で、前までは母さんを自分より上の立場として接していた為、あまり隙を見せる事は無く、義娘に甘えてほしかった母さんが悲しそうな表情をしている事があった。

 それが、この前の一件から同格とは言わないまでも近しい者という括りになったようで、母さんに対しても無防備になる事が増えたのだ。これには母さんも嬉しがっているので、よかったのだろう。


 因みにシロのヒエラルキー順は、俺の予想ではあるがこうなっているはずだ。


1:『群れのトップ』

  (俺)

2:『家族』

  (母さん、リネア、オル)

3:『強者』

  (クリス先生、ミナ姉、リボル)

4:『友達』

  (剣士(フェンサー)四人組、ラーナ、フラン)


 4番より下の階級と判断すると、シロは最早ほぼ接する事すら無くなる。シビアだ。




 仲良くしている二人を横目に、俺は水蒸気の中を進む。【魔力探知(サーチ)】はそれなりに全開で出している。

 何か嫌な感じが、この水蒸気の奥からするのだ。

 少し硬い表情をしている俺を見て、シロと母さんは俺に付いてくる。


 少し歩くと【魔力探知(サーチ)】に反応がある。


「これは………洞窟か。その中に12人の人間の反応があるな」

「洞窟に人がいるの?しかもそんな大人数っていうのは何か怪しいわねぇ」

「………変」


 俺の呟きを聞いて、母さんとシロが反応する。

 二人共、何かおかしいという認識で一緒のようだ。


 この辺りにはあまり冒険者はいない。しかも今の時期は、一斉掃討も行っていない。そして、この付近に鉱山は無い。

 そんな中で、洞窟に人がこれだけ集まるのも変な話だ。


 洞窟を見つけたのは、水蒸気地帯から抜けるギリギリの地点だった。

 丁度水蒸気に隠れて周りから見えないポイントになっていた。


「これ本気で怪しくない………?」

「【魔力探知(サーチ)】使わないと、絶対気付かないわねぇ………」

「………黒確定?」


 思った以上の怪しさだった。


「レイ、コレどうするの?」

「どうしようか………?何も考えずに突入するのもまずいだろうしなぁ………」


 いくらそこらの人間よりステータスが高くても、罠によって追い詰められる可能性もある。


「………私が行こうか?」


 シロがそう提案してくれる。

 シロなら【完全隠密(マスターハイド)】があるから、ほぼ確実にバレる事は無いだろう。それに、クリス先生の特訓もこなしているシロは、斥候(スカウト)としての技術は相当のものとなっている。


「よし、シロに先行してもらうか。その少し後ろを俺が【魔力遮断(シャットダウン)】を使って付いていくのが一番いいだろう」

「母さんはどうすればいいかしら?」

「洞窟の入り口で見張りをやってほしいかな。緊急事態は【召喚(サモン)】で呼ぶし、お願いしてもいい?」

「了解よ」


 そうして、俺とシロは洞窟に潜入する。

 まぁ、12人の反応は入り口からそう遠くない所なので、直ぐに見つけた。


 シロが、集団の様子を伺う。


『シロ、どうだ?』


 俺はシロに【眷属念話(クランコール)】で話しかける。こういう潜入中にも便利なスキルだよな、コレ。


『………黒。………この山脈近くの麓の森で、荷馬車を襲っているみたい』


 シロは耳がいいので、盗賊たちの会話が聞こえたんだろう。本当に斥候(スカウト)向きだと思う。

 そしてシロは、クリス先生から斥候(スカウト)の必須技能として、相手の実力を見抜く訓練も受けている。


『そうか。相手は強いか?』

『………全然。………私一人でもいける。………行く?』


 だから、相手との実力差を冷静に判断できるようになっている。クリス先生の訓練素晴らしいな。


 シロは、腰に身に着けているナイフに手を掛けながら俺に指示を仰ぐ。




 これはシロに行かせた方がいいのだろうか、すごく悩む所だ。




 この盗賊を殺さずに捕まえるとして、一番有効的な手段は足を潰す事だ。次点として気絶させる事。だが、そうすると街まで連行する手段が無い。


 その場合、盗賊を殺す事も選択肢に入ってくる。


 というより、盗賊を生かす旨味は正直少ないのも現実だ。

 盗賊を生かして連れて行くと得られる利益は、盗賊どもを奴隷として売った時のお金だけになる。そして、そのお金もかなり安い。なんせ、奴隷と言っても犯罪奴隷だ。ほぼ売れないし、まともな使い方は出来ない。

 そして連れて行くと、冒険者ギルドからは嫌がられる。奴隷として売る処理も面倒だし、売るまで危険分子を保持しないといけないし、食費も無駄に食ってしまう。この街の冒険者ギルドなら特に嫌がられるだろう。


 そして、これはシロにとって絶好のチャンスともいえる。


 何せ、シロは人を殺した事が無い。

 だが、この世界で生きていく以上、『盗賊狩り』はいつかは絶対通る道になるだろうと思っている。それを、俺と母さんのバックアップが万全の今なら危険が少ないだろうと考えている。


 それに、実はシロが腰に据えているナイフは、俺と『鍛冶精霊』が二人で作った渾身の一振りだったりするのだ。

 片手剣より短いが、普通のナイフよりは長い、脇差をイメージして作った一振りには鍛冶精霊の魔法文字(ルーン)が刻まれている。

 その効果は『行動速度上昇』というシンプルに一つだ。

 だが、それがシロにばっちりはまったのだ。今のシロは、クリス先生ともいい勝負をしてみせる実力者に成長している。



 だがしかし、シロにとって初の『人殺し』がこんなに急でいいのか、悩む所なのだ。



 悩んでしまった俺は、母さんに相談する事にした。



『母さん、今大丈夫か?』

『何かしらぁ?』

『シロが集団を見つけたんだけど、やっぱり盗賊みたいなんだ。それで、そんなに強くないみたいだし、シロに倒させようと考えているんだけど、それでいいかな?』

『倒す、というのは、殺させてもいいのか?って事かしら?』


 母さんは俺の悩みを一瞬にして見抜いて見せた。



『母さんは、いいと思うわぁ』



 そして、何の逡巡も無くそう言い切った。


『レイがシロちゃんを心配する気持ちも分かるわぁ。でも、安心していいのよぉ。シロちゃんは強い子よ。何だって、レイの妹で、私の娘であり、オルゼ(母さん)の孫なのよ。弱いはずが無いわよ』


 母さんの言葉を聞くたびに、俺の悩みも落ち着いていって安心してきた。


 やはり、母は偉大だ。


『ありがとう、母さん。俺もそう思えてきたよ。それじゃあ、シロに任せる』

『えぇ、シロちゃんに頑張ってねと伝えてね』



 そうして、母さんの言葉をそのまま全て(・・・・・・)シロに伝えた。



『という訳だ。それらはシロに任せる事にした。頼むぞ』

『………うん!』


 シロから、珍しく元気な返事が返ってくる。やる気が漲っているようだ。





 そこからのシロは、なんていうか、凄かった。





 まず、【完全隠密(マスターハイド)】による『必中の先手』で、頭らしき人物の首を一撃で切り飛ばした。

 そしてそのまま【加速(アクセル)】を使い、ノンストップで首を刈り取り続けた。



 余裕過ぎる圧勝だった。



 残像が見えました。


 ていうか、絶対分身してました。

 だって、ナイフ一振りで首二つ飛んだもん。


 どうやら、俺らの声援を受けてやる気がオーバーヒートして、人を殺すという忌避感が綺麗サッパリ無くなっているみたいだ。というより獣人であるシロにとって『殺す』という忌避感は元々薄かったかもしれない。





 どうやら大した盗賊でも無かったので、穴を掘って死体を集めて母さんに焼き払ってもらった。勿論、換気も十分にした状態でだ。


 そして、盗賊のアジトを物色。


 だが大した物は全然見つからず、若干シロがしょんぼりし始めた時。




 俺は、檻を見つけた。




 その中には―――。





「キュ、キュィィィ………」

「ピィッ!ピィッ!」





 人間の胴体から羽を腕の代わりに生やし、両足は鳥のような足をした魔物と、俺の腰ほどの大きさで、鮮やかな赤色の羽が相まって優雅な一匹の鳥の魔物がいた。



「これは、ハーピィか!?」

「まぁまぁ、なんて事を………!」

「………可哀想」



 恐らくだが、盗賊達から暴行を受けたであろうハーピィは、水色の羽毛を泥で汚してぐったりと弱っていた。

 そのハーピィに、赤い鳥が必死に抱き着いてずっと鳴いている。





 全力で檻をぶっ壊して、【超回復(ハイヒール)】を掛けてやりましたよ、えぇ。



 やっぱり、盗賊は基本屑野郎しかいない様だ。

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