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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第2章.学園編 俺と学園とドラゴン
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11.戦闘、オーガ

誤字報告をいただきました。

いつも本当にありがとうございます。

「それでは、これから現地演習を始める!」


 冒険科の教官の号令が聞こえる。



 社会見学二日目の朝。


 現在地グランディア城壁の外に、学生全員で集まって朝礼中だ。




 本日の予定は、グランディア付近の草原や森の魔物との戦闘訓練だ。


 今回来ている一年生全員で80名。

 それをくじ引きで5人組、計16班に分けてそれぞれで戦闘を行うらしい。


 勿論殆どの学生が魔物と初戦闘になる。

 その為、各班に一人先生が付いて、緊急時に備えている。


 皆初戦闘って、ここに来る時の身分証明、何を使って入ったんだろうね?

 冒険者ギルドカードを持ってる人、殆どいないっぽいんだよね。


 まぁそんな訳で今から初陣になる人が多くいるだが、そんな戦闘パーティをくじ引きで決めるのは愚策としか思えないんですが………。

 だって、パーティによって役職が偏ってる所が多いんだよ?


 ちなみに俺の班は、剣士(フェンサー)剣士(フェンサー)剣士(フェンサー)剣士(フェンサー)回復士(ヒーラー)というパーティ構成になっている。

 偏りがひどすぎると………。

 更に、俺以外全員女子で、しかも全員が初陣という危なっかしさ。


 見てくださいよ、パーティメンバーのあの目。

 明らかにお荷物を見る目をしてるんだよ。



 確かに俺は普通の魔術師(マジシャン)回復士(ヒーラー)と違って、杖を持っていない。


 単純に要らないからだ。


 杖を使う目的は、体内で起こした魔力を触媒にして、杖で増幅させて威力を上げる為に使っているのだ。

 魔術師(マジシャン)回復士(ヒーラー)は、杖を使って少しでも魔法の威力を上げようとしている。


 だが、俺は精霊だ。

 杖なんざなくても、魔法を使う事が出来る。

 それに俺が杖を使うと、MPが多すぎて杖が壊れてしまうのだ。


 だが傍目にはそれはわからない為、俺は杖を使わない馬鹿という風に見られている。



 いやそれでもいくら回復士(ヒーラー)が弱くても、回復士(ヒーラー)無しでパーティ戦は出来ないと思うんだ?


 だって、初陣って事は絶対皆怪我するだろ?

 俺だって初戦闘は………―――あ、初戦闘あの孤児院の男だった。怪我どころか死んでましたわ。


「さて、5人揃ってるな?」


 俺がアホな事考えてると、いつの間にかクリス先生が俺たち五人の前に立っていた。


 クリス先生は、腕と脛にのみ金属の鎧をつけ、残りは薄い皮装備を纏っていた。

 斥候(スカウト)らしい、軽装備だ。

 でも腰に差している片手で数えきれないほどのナイフは気になります!


 クリス先生が俺達の班の引率者だ。

 戦闘について分かる人がいるとすごい助かります!


「それにしても見事に偏ってるな………」


 クリス先生は俺達の班構成を見て、そう溜息を零す。


「まぁ、ココの魔物くらいなら何とかなるか………。レイ、お前の負担が大きいが頑張ってくれ」

「はい」

「それじゃあ、出発するぞ」

「「「「「はい!」」」」」


 五人で同時に返事をする。


 さて、こんなパーティで大丈夫かな………?





 先に言うと、心配は全くの杞憂だった。


 このパーティの剣士(フェンサー)娘4人組、初陣にしてはまぁまぁ強かったのだ。


どうやら、新入生組でも上の方の実力を持っているらしい。

 魔物討伐初陣だから緊張してあまり動けてないようだけれど、落ち着けばもっと強いんだろうなぁ。



 この近辺では主に、ゴブリン、グレーラビット、コボルトといった三種類の魔物が出現する。

 どれも、【青銅】級の冒険者でも狩れるほど初心者向けの魔物だ。


 ゴブリンは、異世界恒例のあの性欲直結で大量沸きする緑小人で間違いない。

 毛皮のボロ布を纏い、明らかに拾い物であろう木の剣や盾を持っていた。

 明らかに知能が低く、初陣娘達がキャーキャー言いながら倒せたレベルだった。

 気持ち悪いのは分かったから一々叫ばないでほしい。


 グレーラビットは、灰色のウサギの魔物だった。

 地球にいた一般的なウサギよりも一回り大きいが、すばしっこくて攻撃が中々当たっていなかった。

 だが、グレーラビットは臆病ですぐに逃げ出す為、途中から剣士(フェンサー)娘達は戦闘自体をしなくなった。

 グレーラビットの肉、煮込むとかなり柔らかくなるから出来れば欲しかったんだが、その為だけに隠している力を出すのも違うと思い我慢した。


 コボルトも異世界物でよく見る魔物だが、この世界のコボルトは獣の方に振り切った見た目をしていたので、全く躊躇いなく倒されてました。

 見た目が違うだけで、特徴的には殆どゴブリンと同じ感じだった。



 そんな俺達だが、剣士(フェンサー)娘4人組が絶好調でどんどん進む。

 だが勢いよく進み過ぎて、そろそろグランディアから離れすぎているように思う。


「お前達、それなりに町から離れてしまっている。そろそろ戻るぞ」

「大丈夫ですって先生!そんな危険な魔物も居ないじゃないですか」

「そうですよ~。まだまだ余裕ですってば~」


 クリス先生が嗜めようとしているが、勢いづいた4人組は言う事を聞かない。


 いや、マジでそろそろ危ないんだよ。


 それなりに町から離れているこの場所には、ゴブリンやコボルよりも数倍魔物が出現する。

 その中には、オークといったゴブリンよりも強く、また女性を捕えようとする魔物だっているのだ。

 オークに捕まった女性の未来なんて確定しているだろう?



 実際この4人組ではオークには勝てないだろう。



 小型の片手剣使いのセレナ。


 シンプルな直剣使いのカナン。


 かなり細めなレイピア使いのシオン。


 女性にしてはやや大き目な両手剣使いのニル。

 


 確かに全員、一年の中では上の方の実力者だろう。


 だがまだ、一年生だ。

 当然のように上には上がいる。

 例えば四人がかりでもクリス先生には勝てるとは思えないし。 


 こんな事を言ってる俺だって、母さんや夕莉に勝てるとはまだ思えない。


 だからこそ、そろそろ撤退しないと、きけ―――。



「ッ!?クリス先生ッ!」



 そんな事を考えた傍から、【魔力探知サーチ】に大きな魔力反応が現れる。


 俺は、こちらに向かってくる魔物を見据えて思わず戦闘態勢を取る。


「どうし―――何だと!?」


 クリス先生もこちらに突っ込んでくる魔物に気付いたようだ。

 腰に差していた沢山のナイフの中から二本選び、引き抜いて両手を構える。


「え?どうしたの二人とも?」

「な、何?」

「急に大きい声出されるとびっくりするんですけど………」

「ん~?」


 剣士(フェンサー)4人組はまだ気づかない。



………ドン、ドン!ドンッ!



「キャッ!?」


 だが、響く地鳴りの音でようやく気付く。


「な、何の音!?」

「何かがこっちに来てる………」

「で、でも先生なら大丈夫よね~………?」


 4人娘は明らかに格の違う存在が近づいてくる気配に、怯えだす。



「………クリス先生、行けます?」

「………正直に言うと、厳しい所があるな」


 前を警戒したまま、クリス先生と話す。


「何せ私は速さに特化した竜人(ドラゴニュート)だ。だが、今から来る魔物は………」



 目の前の木がへし折れる。


 そして遂にその魔物が姿を見せる。



「どう見たって、生半可な攻撃じゃあ効かないだろう………?」




 俺達の前に現れたのは、2mを超える巨体をした真っ赤なオーガだった。




 オーガ。


 魔物の中でも上位に位置する魔物。

 普通の人間より一回り二回り大きく、筋骨隆々な見た目をしている。


 オーガは、その見た目通りの筋肉を生かした戦い方をする。


 その剛腕から繰り出される攻撃は、木であろうと岩であろうと容易く粉砕する。

 そしてその自然に装備された筋肉の鎧は、生半可な攻撃を無効化してしまう。


 まさしく『攻撃は最大の防御なり』を地で行く戦闘をする。


 純粋な脳筋だが、だからこそシンプルで強い。

 こちらの地力が無ければ対処出来ない魔物なのだ。


 この実力の高さと、それでいてオークやゴブリンと同じく女性を襲おう凶悪さも持つ。



 冒険者ギルドの依頼ランクでは、Bランクでもトップクラスの難易度という扱いを受けている。

 【純銀】級のパーティでも難しいとされているのだ。




 そんなオーガが俺たちの目の前にいる。


 先ほどクリス先生が厳しいと言ったのは、スピード特化のクリス先生の攻撃では殆どダメージが通らないからだろう。



 しかし、それにしても………。


「何でこんな所にオーガなんかがいるんだ………?」


 オーガを警戒しながらも、疑問が思わず零れ出る。


 いくらグランディアから離れているといっても、このくらいの位置なら出現するのは精々オークぐらいが関の山なのだ。

 オーガなど、町から相当離れた山奥で目撃されるのが殆どだ。

 いくらなんでもおかしい。


「それは当然の疑問だろうが、今はこの場を切り抜けるのが先決だろ………?」


 俺の独り言に反応するクリス先生にも、あまり余裕はない。




 頭の片隅で、どうやって逃げるか考える。


 だが、どう考えても不可能だと悟る。



「あ、あぁ………!」

「そんな、こんな所で!」

「た、助けて………」

「これは終わったかしらね~………」



 後ろの四人が、恐怖や絶望から動けなくなっているのだ。


 特に最後に喋ったニルは言葉は余裕そうだが、実際は一番怖がっている。

 チラッと後ろを振り返れば、他の三人が震えながらも剣を構えているのに比べて、ニルは剣を落として両腕で自分の体を抱くように震えていた。


 この四人を置いていけば確かに逃げられるだろう。


 オーガが襲う優先順位で最も高い、若い女性4人組なのだ。

 絶対に逃げ切れるだろう。



 だが、俺はそこまで外道に落ちる予定は全く無い。



 そんな助かり方は俺の信条に正面から反する。

 絶対にやる気は無い。


 クリス先生もAGI:Aの全力を出して逃げようと思えば逃げられるだろうが、4人を見捨てる気は無い様だ。

 同じ女性として、置いていく気はさらさら無いのだろう。



 正直に言えば、俺が全力を出せば倒せるとは思う。


 他人を守る為に力を晒す事を躊躇いはしない。

 目指せヒーローな俺なのだ。



 問題はどこまで晒すかだ。



 先の気持ちは正直な気持ちなのだが、あまり自分の力を広めたくは無い気持ちも確かに存在するのだ。

 俺の実力が広まって起こる騒乱に、シロ達を巻き込みたくは無い。


 それならこのクリス先生を含めた五人に黙ってもらうしかないが、そうなるとこの五人の信用がどうかという話になる。


 勿論クリス先生は信用しているが、俺は剣士(フェンサー)四人娘の事をあまり知らない。

 だから、この4人が黙ってくれるかの確証が無い。



 悩みすぎて、視界が真っ暗に感じる。



 じゃあこの四人を置いていくかと聞かれれば、それは嫌だと答える。

 俺は、胸糞悪いのは嫌いなんだ。



 じゃあ、それならどうするかという話になるのだが………。




「だぁッ!我ながらめんどくさい!」




 考え込んで深みに嵌ってしまい、思考の渦に捕らわれた自分の頭をリセットする為に、全力で頬を叩く。



パァンッ!



 思いのほか大きい音が響く。


 ………全力で叩きすぎたかもしれない。


 ほっぺためっちゃ痛い。

 STR:Bは伊達じゃなかった。


 だがその効果はしっかりあって、思考をリセットできた。


 自分がしたい事が何なのかが重要だ。


 自分に問う。



 Q、俺はどうしたい?


 A、この5人を助けたい。



 答えはシンプルなのだ。



 その瞬間、視界がクリアになる。



 ならば、その自分の思いに正直にいけばいいじゃないか。

 もしその後に騒乱が起こるのなら、その騒乱からも俺の周りを守ればいいだけだ。




「クリス先生!それとそこの四人組!」



 自分の気持ちを再確認した俺は、五人に呼び掛ける。


「なんだ!?」

「はいッ!」

「な、何!?」

「ど、どうしたのよ」

「は、は~い」


 張り詰めた空気の中での、急な呼びかけに驚きの声を上げる5人。


「俺がオーガの相手をしま―――する!だから、これから見せる俺の戦い方を黙ってられるか!?」


 クリス先生がいるから最初は敬語で話そうと思ったが、勢いで押し切る為にタメ口になる。


「な、何をする気だ!?」

「はいぃ、了解です!」

「わ、分かった、言わない!」

「この状況をなんとかできるなら、絶対喋らないって誓うわよ!」

「お、お願いします~」


 若干一名同意を示してなかったが、クリス先生なので良しとしよう。



「オッケーだ。俺に任せとけ!絶対守ってやるよ!」



 俺は四人を安心させる為にそう言うと、五人の前に出てオーガと向き合う事にした。




「【空間収納(アイテムボックス)】」


 躊躇わないと決めたので、スキルを普通に使用する。


 その中から事前に精霊界から持ってきていた籠手を取り出して装備する。



 今回は近接戦闘で行こうと思う。

 恐らくこのオーガ相手では【魔力弾(バレット)】はそこまで効かないと思う。



 周りから一歩飛び出した俺はオーガと目が合う。


 オーガは、俺の事を獲物を見る目をして睨んでいた。


 ん?只の獲物を見る目にしては、何か感情が籠っているような………?


「まさか………!?」


 もしかしてコイツ、俺の事を性欲の捌け口の対象として見てないか!?

 だって、何か目は血走ってるし、鼻息は荒いんだよ!?



「ググゥ………ガァァァァァァッ!!」



 そんなオーガは飛び出した俺を一目見るなり、物凄い勢いで右腕を伸ばしながら突っ込んでくる。

 恐らくだが、俺を捕まえる気なんだろう。


 確かに速さはそこまでないが勢いが物凄い。

 まるでダンプカーの突進を見ているようだ。


「うっわ、キモッ!?」


 でも俺はそんな勢いよりも、コイツが俺に向ける欲望の強さに気持ち悪さが先に来ていた。

 俺を捕まえた後、どうする気か嫌でもわかってしまう。


 思わず飛び退きたくなるが、俺が避けてしまえば後ろにいる4人組が巻き込まれてしまうだろう。

 だから避けようとはせずに、構えたまま動かない。


「あ、危ないッ!?」


 4人組の誰かが声を上げる。


 オーガの右手が俺に触れそうになる。


 その瞬間、俺は全力でしゃがみ込む。


 オーガの右手が空を切る。

 だが勢いのついたオーガはすぐには止まれず、更に俺に向かって突っ込んでくる。

 このままではオーガの膝が俺の顔を捕えるだろう。


 それに対し俺は、体勢を落としたまま更に一歩飛び出す。

 その状態で膝に力を溜め、右腕には【王覇(オーラ)】を纏わせる。


 オーガの頭が俺の真上に来る。



 今だッ!



「チェストォ!」


 膝に溜めていた力を一気に開放し、全力でジャンプする。

 そして、オーガの顎下から拳を打ち上げる。


 いわゆる、アッパーカットだ。


「ガッ!?」


 渾身のアッパーがオーガにクリーンヒットし、オーガはうめき声を上げる。


 オーガは顎を打ち上げられ、喉が無防備になる。

 そこを逃がす俺ではない。


 空中に浮かせたら追撃を入れるべきって相場が決まってんだよ!


 振り上げたままの右腕を降ろさずに、空中で体を左に捻りながら後ろに引く。

 そして、右肘に【王覇(オーラ)】を一点集中させる。


「せいッ!」


 そしてその右肘を使って、オーガの喉に肘鉄を食らわせる。


「グポッ!?」


 オーガの喉元から少し間の抜けた音を上げる。


 オーガには、この連撃で明らかに大ダメージが入っているはずだ。


 だがこのオーガの大概タフだった。

 いくら空中で踏ん張りがきかなかったとしても、【王覇(オーラ)】を纏った全力攻撃を受けたのに、まだ首がつながっている。


「だが、次でラストだ!」


 右肘を振りぬいたので、右腕は体の後ろに引いた状態になっている。

 再度右腕に【王覇(オーラ)】を纏い直す。


 目の前には喉をやられて首が後ろに下がり、無防備に晒された頭。


 ココで決めるッ!


「うらぁッ!」


 右腕を振りぬく。



 オーガの頭が宙に舞った。



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