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3.2歳、療養と泉に子犬

文章を編集しながら、以降の展開を読んでいたのですが、中々設定がガバガバで焦ってます。

精霊王編なんかは最後の方に矛盾点を見つけてしまってどうしようか悩んでいる所です。

 どうも、そろそろ二歳になるレイヤードだ!


 俺は今、お城から北に向かって馬車で一日ほどかかる『バルラの森』という所に来ている。

 穏やかな雰囲気で木漏れ日が差す明るい感じの森で、特に森の真ん中にあるらしい泉がものすごく綺麗な景色なんだとか。



 俺はこの森に療養の一環として来ている。


 最近ようやく走れるようになったので、リネアの目を盗んで【継続回復(リジェネレーション)】を発動させながら城の中を走り回っていたんだけど、MPが無くなりそうな事に気づかなかったせいで、全力疾走のまま気絶して壁に激突したのを衛兵に見られてしまった。


 それを受けて周りからの評価が、気絶しやすいなんて限度を超えてしまったらしい。


 実際、壁にぶつかっても【継続回復リジェネレーション】かかっているから怪我はしないんだけど、はたから見たら急に気を失う事自体が衝撃を与えてしまったようだ。

 特にリネアが前以上の心配症になってしまった。

 体の年齢に引っ張られているのかわからないが、一人で自由に走り回る事自体が楽しくてしかたなくて、楽しくなってくるとMPの減少に気が付かないんだよね。


 それを知った父様が、俺の為に何かしらの手を打たないといけなくなったらしく(立場的に、息子だしね)母さんと相談して、リフレッシュ効果を期待した森林浴を、母さん一押しの所で行うことになった。

 まぁ父様的には、俺に少しでも城から出てほしかったんだと思うな、自分の気苦労を減らすために。

 俺、ちょくちょくやらかして父様のお世話になって、説教されてるし。


 説教の時に聞かされたけど、そろそろ貴族としての礼儀とかを学ぶらしい。

 本当にめんどくさい。



 今回の森林浴には、いつもの黒ローブを着てフードを外している母さんと、普段のメイド服から動きやすいような身軽な格好をしたリネアの三人で来ている。

 俺の目線にある、リネアのショートパンツから伸びる生足がスラリとしてて、健康的で素晴らしいですね!



 今回の森林浴について、母さんは立場的に護衛が必要だったらしいんだけど、母さんより強い護衛がいなかったらしい。


 どうも母さんは相当強いようだ。

 何でも聞いた話によると、宮廷魔導士達の講師を務めているとか、その生徒10人で挑んでも母さんが余裕で勝つとか。

 それ相当すごくない?


 実は、俺はあまり母さんの事を知らない。

 一度詳しく話を聞いてみたいんだが、詳しい話を聞こうとするといつも誤魔化されてしまうのだ。

 しかも、最近は俺の傍に常にリネアがいるので二人っきりにもなれない。


 何か大事な事を隠してそうなんだよな、母さん。

 普段も偶に俺の事をニコニコしながらじぃっと見ていることがある。いつも着ているローブも、謎の存在感を持ってて生半可な装備じゃない気がする。

 今回の森林浴中に色々と話せるといいんだが。



 今回の森林浴は、森の中にあるロッジハウスで一週間ほど過ごす予定らしい。



「坊ちゃまー!早く行きましょうよー!」


 それにしてもリネアのテンションが高い。


 今も俺と母さんの前に走っていき、ピョンピョンしながらこちらに手を振っている。

 獣人だからかは知らないが、森の中だと楽しくなるのだろうか。まだ日も登ってすぐなのにそんなテンションで一日持つのか?

 というか、召使がそれでいいのかよ………。


「リネア?仕事を忘れちゃダメよぉ?」


 ニコニコしながらも、リネアを注意する母さん。

 母さん、目が笑ってないよ?


「は、はいぃ!」


 リネアはそんな母さんの表情を見て、表情を強張らせながらビシッと気を付けの態勢をとる。

 常にニコニコしている母さんは、目に感情が出る事を最近気づきました。


「母さん、僕達も行こう?」


 まぁ、俺もこの森を見てると俺も走りたくなる気持ちはわかる。

 本当に最近走り回るのが楽しいんだよな。


 本当に動き合わるのが楽しすぎるのだ。

 【継続回復リジェネレーション】のおかげで転んでもケガしないし、筋肉痛とかで足も痛くなんないし。しかも、確実に身体能力は向上出来ているし、その実感もあるのでいいとこずくめなのだ。

 そして、その分の疲れは夜に来るので、【回復ヒール】を唱えて気絶して寝れば、MPは上がるし疲れは取れるので全く問題が無い。

 気絶しても疲れが取れてる様に感じているのは、俺が図太いからかもしれんが。


 まぁ、早く荷物を置いて遊びたいのは俺も一緒って事だ。


「はいはい、わかったわ。レイも我慢できなさそうだし早く行きましょうか」

「うんっ!」

「はいっ!」


 母さんの言葉にリネアと二人で元気よく返事をした。


 いざ、森の奥へ!



 途中で休憩を挟み、お昼過ぎにはロッジハウスにつく事が出来た。


 ロッジハウスはそれなりに森の深い所にあり、町の喧騒から離れて休息が取れそうな場所だと感じた。

 ロッジハウスの中も俺達が来る前に誰かが掃除をしていったのか、綺麗に整理されていた。また、食糧や水は地下においてあった。流石に燻製肉や黒パンばかりだったけど。

 黒パン、異世界来て初めて食べたが、マジで硬い。死ぬほど硬い。

 前こっそり食ってみたが、離乳食抜けたばっかりの俺には硬すぎました。


「さぁて、先にここでの注意してほしい所を説明するわよぉ」

「「はーい」」


 いつも通りニコニコしながら腰に左手を当て、右手の人差し指でロッジハウスの外を指さす母さん。


「いい返事ね。まずこの森にも弱いけれども魔物がいるの。リネアは問題無いと思うけれど気をつけてね?」

「はいっ!」


 右手で敬礼のポーズをとるリネア。そのポーズこっちの世界にもあるのか。


「だから、レイは絶対に一人でお外に行ったらダメよ?私かリネアを呼んでね」

「はいっ」


 リネアの真似をして俺も敬礼してみる。

 真似されたリネアは何か嬉しそうに尻尾がピクピクしていた。可愛い。


「もうっ、二人とも本当に気を付けるのよぉ?」

「「はいっ!」」

「まったく、本当に仲がいいんだから………。まぁ、いいわ。それじゃこれからどうしましょうか?今日はまだ時間があるのよねぇ」

「母さん、僕泉に行ってみたい!」


 今日の日程に悩む母さんに対して、俺は挙手してみた。

 凄く神秘的で幻想的って話を聞いていたので、早く行ってみたかったんだ。


 異世界に来てから、前の世界で見る事の出来なかった景色が沢山ある。

 城から見える城下町や、自分が住むお城など、異世界っぽい景色を見るのは凄く楽しい。ワクワクする。

 これはこの世界での俺の新しい趣味になるかもしれん。


「あら、そんなに行ってみたかったの?いいわ、それじゃ荷物を置いてから行きましょうか」


 という訳で母さんからの許可も下りたので、リネアと二人で準備をして泉に向かった。


 

「ここがこの森の名所『木漏れ日の泉』よぉ」


「「おおぉぉぉ……!」」


 ロッジハウスから歩いて一時間ほどの森の中にその泉はあった。


 え?二歳児なのに一時間ほど歩いて疲れないかって?

 【継続回復リジェネレーション】掛けっぱなしだよ、言わせんな恥ずかしい。

 自分で言うのもなんだけど、母さんやリネアは二歳児がこんなに歩き回る事に違和感を感じないだろうか?


 まぁそれよりもこの泉だ。すっげぇ綺麗。


 泉の全長は大きめな池程の大きさで、外側を石材を積み上げて円形に囲まれており、中心部から一本水が大人の身長ほど噴き出していた。

 あれどうやって噴き出してるんだろう?


 森の真ん中にひっそりと佇む泉は、古代にこの森に住んでいた人が生活用に作ったと言われているらしい。

 なので一目見て歴史を感じるし、そんな泉に木漏れ日が差し込み水面や吹き出す水に反射して、キラキラしていて、この森の雰囲気に凄く合っていた。


 写真が撮りたい!画面に収めたい!カメラはないのか!


 ちなみに、中心部で水が噴き出す理由は未だにわからないらしい。残念。


「ふぉぉ……!これはすごい綺麗ですね……!」

「そうねぇ、私も何度も見ているのだけれども、未だに見入っちゃうのよねぇ」


 リネアは赤い猫耳をピンッ!と立てて、周りの音すらも聞き逃さない様にして、かなり興奮してる様子。尻尾も直立しており、一本の棒のようだ。

 母さんもニコニコしながらも、じぃっと泉を、いや俺らを見てるわ。ちゃんと保護者してた。


 ここで俺は一つ疑問に思った。

 あれだけ綺麗な水なら飲めるのではないか?、と。


「母さん!あの水飲めるの?」

「えぇ、飲めるわよぉ」


 やはり飲めるらしい。ちょうどよかった、流石に喉が渇いていたんだ。


「ほんと!?飲む!」

「あっ、坊ちゃま!?」


 俺が小走りで泉に向かうと、リネア姉が声を上げる。

 一人で動いちゃダメって言われたけど、母さんの眼に届く範囲くらいなら大丈夫だろう。


 だが、泉に向かうその途中―――。



 クゥン……。



「ん?」


 泉を少し逸れた右の方から、子犬の様な声が聞こえた。

 思わず、俺はそちらの方に向かって方向転換していた。


「えっ、ちょっと坊ちゃま!?」

「あらあら、何処に行くのかしら?」


 後ろから母さんとリネアが慌てて付いてくるのがわかる。

 だが、俺はそれよりも今の鳴き声が気になっていた。


 何か消えかかっているような弱弱しい鳴き声だったのだ。


 そして鳴き声がした所に向かうと、



 泥に塗れ、血を流している灰色がかった子犬の様な生き物が倒れていた。



「大丈夫!?」


 俺は思わず、慌てて傍に駆け寄った。

 すると、その子犬らしきモノはプルプルと震えながらも立ち上がり、俺を睨みながら威嚇をする様に鳴き始めた。


「ゥゥゥゥ……キャン……!」


 誰が聞いても弱弱しすぎる鳴き方だった。まるで最後の力を振り絞っている様な。

 俺はいてもたってもいられなくて、子犬の傍に寄って右手を伸ばした。


「ゥゥゥゥ……!ガブッ!」

「坊ちゃまッ!?」

「ッ!………【回復ヒール】!」


 噛まれてしまったが気にしない。そのまま【回復ヒール】をかける。


「えっ、【回復ヒール】!?」

「あらあらぁ」


 何か聞こえた気がしたが、今は後回しだ。

 それよりも子犬は!?


「ッ!…………。ワフゥ……?」


 子犬は、【回復ヒール】の魔力が自分を覆った瞬間は驚いてビクッっと目を閉じたが、暖かい光に包まれ体が痛くなくなったのか、疑問気に鳴きながら噛んでいた俺の手を放す。


 今のうちに右手にも【回復ヒール】………!

 普通に痛かった………!


 右手の痛みが引いたら、回復した右手で何も無かった様に子犬の頭を撫でる。


「もう大丈夫だよ。痛くないでしょ?」

「クゥン……。」


 子犬の体に付いていた血や泥が付くが気にしない。

 この子を安心させたかった。


 子犬は、頭を撫でられる初めの内は、何かされると思ったのか緊張して体が強張っていたが、優しく撫で続けると気持ちが良かったのか、目を瞑って頭を手に押し付け始めた。


 わぁぁぁ、血とか泥が付いたけどモフモフだぁ………!異世界のモフモフだぁ………!


 子犬をひたすらモフモフしていると、後ろから注意を引くような咳が聞こえた。


「ん、んんっ!」

「ん?」


 子犬を撫でたまま、頭だけ後ろに向けてみる。


 

 興味深そうに俺をガン見しながら耳をピクピクさせているリネアと、ニコニコ笑う母さんと目が合った。



 あ、勢いでやっちまったが、二歳児が魔法を使ったんだよな。

 しかも、【回復ヒール】。


 やってしまった感が………。



 【回復ヒール】を使った訓練を行い始めて半年頃、エルフの里で魔法の練習をしていた夕莉から聞いた話だが、どうやら【回復魔法】は普通では使えないらしい。

 

 まず、町にある教会に行って洗礼を受ける必要があり、それでも全員が使える訳じゃないらしい。

 また、使えたとしても【軽回復ライトヒール】かららしく、使い続ける事によって強化されて、ようやく【回復ヒール】が使える様になるらしい。

 


 【回復魔法】はレベルによって回復できるレベルが増える。


  Lv.1【軽回復ライトヒール】:浅い切り傷、擦り傷程度の怪我を回復。HP少量回復。


  Lv.2【回復ヒール】:普通の切り傷など、それなりの怪我を回復。HP中量回復。


  Lv.3【範囲回復エリアヒール】:半径5mの中にいる生物を回復。回復量は【回復ヒール】と同等量。


  Lv.4【超回復ハイヒール】:相当深い傷、酷い怪我まで回復。ただし、腕などの部位欠損は再生せず、傷を塞ぐのみ。HP多量回復。

      【状態回復リカバリー】:毒や麻痺といった状態異常、病気を回復する。HPは回復しない。


  Lv.5【神の奇跡(リザレクション)】:部位欠損まで回復。HP全回復。



 【神の奇跡(リザレクション)】が使える人はいない。魔法が存在する事は知られているが、使っているをも誰も見た事が無い伝説の魔法らしい。

 教会の教皇や枢機卿クラスでも【超回復ハイヒール】らしく、この世界では部位欠損してしまうと回復できない事が殆どだとか。


 それでも、そのような大怪我や状態異常にかかると、並みのポーションでは回復しないらしく、そのような人達が教会に行って回復してもらうらしい。

 だが、それなりに良いお値段を『お布施』として取られる為、本当に危険な時だけしか行かないんだとか。


 まぁ、お布施が高いのはしょうがないと思う。

 向こうも生活が懸かっているし、一芸を極めた才能のある人達なのだから貴重だしな。


 部位欠損を他に直す方法はただ一つ。迷宮都市にある迷宮の最下層付近の宝箱でごく稀に出る『神薬ソーマ』だけらしい。

 迷宮都市とか異世界恒例だが、聞くとやっぱりワクワクしますね!



 話が脱線しだしたので、迷宮都市についてはまた今度にしよう。


 とどのつまり、教会にも行った事の無い二歳児が【回復ヒール】が使えるのは、だいぶおかしいって事だ。


 ………まぁ実際の所、二年使い続けたのは伊達じゃなく【範囲回復エリアヒール】までなら使えるんですが。

 どうやら、【回復魔法】を与えるアルカナから直々にもらった為、レベルの上がりが相当早いらしい。ある意味若干のチートだったという訳だ。



「あー、えっと。これは、あのね?」


 なんて誤魔化せばいいのか考えていない状態でバレてしまったので、俺は咄嗟に言葉が出ず、いけない事を見つかった子供の様になってしまった。

 全く状況としては間違って無いが。


 後ろの子犬、撫でるのをやめたからって背中に頭突きをするな!元気になったのは分かったから!今はそれどころじゃないんだ!洗ったらいっぱいモフってやるから!


 そんな感じで慌てる俺を見て、母さんはいつも通りニコニコしている。


「言いたい事はいっぱいあるんだけど、まずは小屋に戻りましょう?その魔物ならもう襲ってこないでしょうけど、他の魔物が来るかもしれないわぁ」


 そう言って、俺の手を掴み小屋まで引き返し始めた。


「あっ、待ってくださいよぉ!」


 リネアも慌てて俺らの後をついてくる。

 子犬もトコトコとついてきた。可愛い。


 あぁでもそうか、この子犬も魔物か。

 不用意に近づいた事も怒られそうだなぁ……。


 俺は、大人しく母さんの手に引かれながら、ロッジハウスまで戻った。

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