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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第2章.学園編 俺と学園とドラゴン
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3.移動、これからの目的と目標

今回も少し短いです。

「見えてきたわよぉ」



 母さんはフードから覗かせる顔を、普段の二割増しくらいニコニコしながら、目的地が近い事を俺らに告げる。

 レイス化してからの母さんは感覚が鋭くなっている様で、俺らよりも早く見つける事が出来たようだ。


 少し歩くと、俺らにもその都市の特徴である大きな『城壁』が見えた。


「おぉ、あれが噂の『巨人壁(ジャイアントウォール)』か」

「確かにあれは圧巻の大きさなのです」

「………ん、すごい」


 俺の驚きの独り言に対し、ラーナとシロは律儀に返事をくれる。

 いい子達だ。


「………あぁ」


 だが、その圧巻の景色を見ても、ミナ姉の表情は曇っていた。

 バルラの森からここに来るまで、ずっと曇っている。


「ミナ、諦めろとは言いません。ですが、少しは気分を切り換えたらどうですか?」

「分かってら。心配してくれてんだろ?ありがとな、ラーナ。だが、俺はフランが心配でしょうがないんだよ」

「ミナ………」


 ラーナがミナ姉を不器用なりに励まそうとしているが、こんな感じでうまくはいってない。




 ミナ姉がシロや母さんを迎えに行った時、ミナ姉はフランも一緒に連れて来ると言っていた。

 だが、実際に連れてきたのはシロと母さんだけだった。



 ミナ姉はフランを見つけられなかったのだ。



 フランは俺とミナ姉が居なくなった次の日に、孤児院から姿を消したらしいのだ。


 フランは行方不明になっていた。









 約二週間前。 


 俺がシロと母さんを眷属にした後の事。



 まず、皆でこれからどうするか話し合った。


 どこに行くか?

 何をするか?


 俺らには、何も明確な目的が無かったのだ。 


 その際、俺がどうしたいかによって決める事になった。

 皆して『私達はレイの眷属だからレイに従う』って言って丸投げしてくれやがりましたよ。


 まぁ、俺には一つしたかった事があったのでちょうどよかったけどね。



 俺がしたかった事、『学園都市クリカトル』に行ってみたかった。



 それを言うと全員一致で賛成でした。


 教育国家エルデバランは『平等と中立』を掲げる国だ。

 だから獣人に対する差別が殆ど無いのらしいので、シロも安心して生活できるだろう。


 また、エルデバランの首都を占める『クリカトル学園』の生徒は寮に住む事が出来るのは知っていたが、その寮の規模が凄いらしい。

 何でも学園都市内に生徒が住む地区があり、各生徒一人一人に家があるんだとか。

 つまり、ここにいる全員で暮らす事も可能なのだ。



 これは行くしかないな!



 だが、『学園生徒寮町』には入学試験に合格した生徒や、その関係者以外入る事は出来ない。

 更に、生徒一人に対して二人までしか関係者は入る事は出来ないようだ。

 これは貴族が使用人を大量に連れて来るのを防ぐ為だとか。

 つまり俺ら五人が住む為には、最低でも二人は合格する必要がある。


 これに関しては、俺とシロが試験を受ける事になった。


 入学試験内容は『学科』と『実技』の二つ。

 その難易度として、俺とシロであれば大丈夫だという母さんからのお墨付きをもらった。



 それじゃあ、今すぐエルデバランへ行こう!

 という訳にもいかないらしい。


 まず、次の入学試験が半年後なのだ。

 俺がちょうど11歳という入学条件を満たす頃にあるので、それまで時間を潰す必要がある。



 そして、エルデバランに入るには身分証明になる物が必要らしい。

 これは『エルデバランに入った人物を把握しておきたい』という国の意向なんだとか。


 だが、俺らの誰一人として身分証明になる物を持っていなかった。


 母さんの冒険者としてのギルドカードも身分証明できるらしいが、母さんは現在指名手配中だろうとの事。


「母さん、イライラしてたから王城凍らせてきちゃったのよねぇ。それで、その事はアリオンが見てたから討伐依頼が出ているはずよぉ」


 母さんがニコニコしながらそう言っていた。


 自分が討伐対象になってるのに、凄い余裕だった。



 まぁ話を戻すと、全員の身分証明を出来る物を作る必要があった。

 それに関しては『冒険者ギルド』のギルドカードが、簡単に作れていいらしい。

 

 俺は、精霊として一度転生して、ステータスの名前が変わっているので問題ない。


 だが、残りのメンバーが問題だった。



  シロ→母さんと行動しているのがバレているので、ギルド内での指名手配の可能性がある。


  母さん→レイスとして討伐対象になっているかも。


  ミナ姉→精霊。


  ラーナ→精霊。



 なかなかのメンツだし、よくよく考えれば俺も精霊になったんだった。


 全員アウト!


 正直シロと母さんは、眷属化で手に入れたスキルである【完全隠密(マスターハイド)】と【完全隠蔽(マスターフェイク)】を使えばどうにかしようと思えば出来る。

 だが、それではいつかボロが出てしまう気がするので、気が進まない。


 その問題を解決したのは母さんだった。


 どうやら、とある冒険者ギルドに古い知り合いがいるそうだ。

 その知り合いと会う事さえできれば、融通が利かせてもらえるかもしれないらしい。


 そして、その知り合いがいる場所って言うのが―――。


「現在地のバルラの森からまっすぐ北に進むとねぇ、エルデバランがあるのよ。でも、ここから東に進むとねぇ、母さんが昔住んでた『迷宮都市グランディア』があるのよねぇ。でね、そこに母さんの会いたい人がいるのよ」



 かなり大まかに描くと。



      エルデバラン


    ↑       ↑


 グランディア ← バルラの森 → 別国家


            ↓


         ガルザード帝国



 という位置関係だ。


 エルデバラン自体がだいぶ大きい国家なので、グランディアから北に進んでも行く事が出来るらしい。

 なので、グランディアに行ってから、エルデバランに行く事も出来るのだとか。




 これにて、俺達の行動予定が決まった。



 ①迷宮都市グランディアに行き、そこで母さんの知り合いに会ってギルドカードを作ってもらう。


 ②半年後の入学試験を俺とシロで受けて合格し、学園都市に全員で暮らす。



 大まかな二点としてはこんな感じだ。


 そして、その後はクリカトル学園で決める事にした。



 行動予定が決定してから、俺らは即座にバルラの森を移動した。


 ガルザード帝国の隣であるこの森は、母さんの潜伏場所として最も適しているので、追手がすぐに来てもおかしくなかったからだ。


 そして、森を出てからはグランディアを目指して進み続けた。




 そして冒頭に戻る訳だ。




 フランを見つけられなかったミナ姉は、この二週間ずっと落ち込んでいる。


 最初は俺も励まそうとしたのだが、俺が死んだせいでもあるので逆効果になってしまうと思い、何も言えなくなっていた。

 そして俺は、それをズルズルと引きずってしまっている。



 すると、そんなミナ姉に向けてシロが口を開いた。


「………フランは強い子だから大丈夫」

「?」


 突然のシロの言葉に対して、ミナ姉は疑問気な顔をする。

 シロは言葉を付け足す。


「………フランは兄様やミナが消えた時、凄く泣いた。………でも二人で帰った時、こう言ってた」



『私は………。私は、ミナお姉ちゃんと約束したもん………。いつか迎えに来るって言ってたもん………。だから、だから私は諦めない。ミナお姉ちゃんやお兄ちゃんに会うまでは、絶対に諦めないよ!だから、シロちゃんも一緒に頑張ろうよ!?』



「………私、あの時にその言葉を聞いて凄いと思った。………だからこそ、フランは大丈夫」

「フラン、そんな事を………」


 シロはあまり俺と母さん以外に口を開かない。

 だから、ずっと黙っていたんだと思う。

 でも、ずっと心配そうにするミナ姉の事が気になったんだろう。


 シロの話を聞いて、ミナ姉は考え込み始めた。



 俺は願う。



 いつも通りのミナ姉に戻る事を。


 フランとも再会できる事を。



 今回の事は、今の俺では何も助けてやる事が出来なかった。

 色々と力不足を痛感させられる。


 やっぱり、もっと、もっと、俺に出来る事を増やさないといけない。


 その為に、学園都市で色々学ぶ必要がある。


 あそこは勉学の最先端だ。

 学びたい事を学びやすい環境だ。



 そこで知識と経験を蓄えて、周りが困った時にすぐに動けるようになる。



 俺はひっそりと、決意を固めた。

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[気になる点] 「現在地のバルラの森からまっすぐ北に進むとねぇ、エルデバランがあるのよ。でも、ここから東に進むとねぇ、母さんが昔住んでた『迷宮都市グランディア』があるのよねぇ。でね、そこに母さんの会い…
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