2.帰還、荒ぶる幼馴染と家族再会
区切りの都合上、短いです。
ミナ姉が母さんとシロを探しに行って、数十分後。
俺はその間、夕莉とずっと【念話】をしていた。
ミナ姉を見送ってすぐ、夕莉に対して帰ってきた事を伝える為に【念話】を送った。
『ゆ―――』
『怜司ッ!?怜司なのねッ!?何があったのッ!?無事ッ!?大丈夫ッ!?ちゃんと生きてるのッ!?ケガは無いのッ!?誰かに襲われたのッ!?誰ッ!?誰にやられたのッ!?そいつ殺すッ!殺す!殺す!殺すッ!私が殺してあげるッ!怜司に手を出すだなんて許さないわッ!粉微塵にしてやるわッ!だから教えて頂戴ッ!私はずっと怜司の味方よッ!たとえ世界が!神が!敵になろうとッ!私は怜司とずっと一緒にいるのッ!一生ッ!生涯ッ!生まれ変わってもッ!ずっと!ずっとッ!ずぅっとッ!だから教えてッ!怜司を危険に晒したそいつをッ!怜司の敵は私の敵よッ!絶対!絶対ッ!何があっても許さないわッ!私は―――』
凄かった。
めちゃくちゃ荒ぶってた。
気持ちが物凄く籠ってた。
軽くどころか普通に病みが入ってた。
同時に、これだけ夕莉に心配をかけた罪悪感に襲われた。
その後、俺は全力で心配かけた事を謝った。
そして、俺の所に駆けつけて、国ごと潰そうとする夕莉を必死に抑えた。
いや異世界でチート級の存在になった夕莉は、マジでシャレにならないから!
その代わりに、自分で言うのは恥ずかしかったが精霊界での俺の話を武勇伝のごとく語った。
夕莉が喜んでくれたり褒めてくれるのは嬉しいが、やっぱ自分の話を語るのはすごく恥ずかしかった。
だが、その甲斐あって夕莉を抑える事に成功した。
ただ、心配をかけた代償として『夜の【念話】タイム』の時間を一時間から二時間に増やす事になった。
まぁ、それくらいはしょうがないだろう。
それにしても、あの怒涛の勢いの夕莉、普通に怖かった………。
そんな感じで俺が怯えていた時。
突然、泉の隣に膨大な魔力が出現する。
「待たせたな」
それはミナ姉の【転移】の出現の予兆だった。
声のした方を向くと、右手を上げたミナ姉と―――
「兄様ッ!」
「レイッ!」
いつものメイド服を纏ったシロと、青白い半透明な肌になった母さんがいた。
二人は俺を見た瞬間、俺に向かって駆け出していた。
「シロッ!母さんッ!」
俺も思わず駆け出す。
そして三人で抱き合う。
「姿が違うけど分かる、分かるよぉ………!兄様ぁ、兄様がぁ、生きてる、ちゃんと、生きてるよぉ」
シロは俺に抱き着いた瞬間、ボロボロと泣き出す。
「レイ、本当にレイなのね………」
母さんも俺をぎゅっと抱きしめて、そう呟く。
母さんの眼にも涙が浮かんでいた。
「あぁ、俺だ。レイだ。本当にごめんな。二人に本当に迷惑かけたな」
俺も思わず目が潤む。
たった三日しか離れていないはずなのに、三人でまた再会できた事が凄く嬉しい。
あの最後の時、もう二度と二人にも会えないかと思っていたので、本当に嬉しかった。
「私は、グスッ、だいじょぶ。だって兄様にまた会えたから」
「シロ………」
そう言って、涙の浮かぶ顔でニコッと笑って見せるシロ。
本当に凄く健気で自慢の妹だ。
「母さんもよ。レイが生きてるならそれでいいの。母さんはレイの為なら命だって張れるんだから」
「母さん………」
そう言いながら、母さんは俺をぎゅっと抱きしめたままだ。
まるで俺がそこにいる事を実感しているように。
「だからもう無茶はやめて頂戴。母さんにとってレイは存在意義に等しいの。母さんはレイのいない世界なんて、もうどうでもいいのよ」
「………ん!もう死なないで。………私もヒトリボッチは嫌」
そう言うと二人はまた俺に抱き着く。
母さんとシロの気持ちを凄く感じる。
本当に二人には迷惑をかけてしまった。
だからこそ、俺は。
「うん、本当にごめん。俺、誰にも負けないくらい強くなるよ。それで、シロと母さんとずっと一緒に生き続けるよ」
俺はもう負けない。
誰にも。
大切な人達を悲しませない為に。
俺らが落ち着いた後、俺らは前来た時に泊まったロッジハウスに入った。
そこで改めて、全員の自己紹介をする。
そして、その間に互いに何があったかを聞いた。
どうやら精霊界は3日経っていたが、人間界はまだ1日も経っていないようだ。
そして話が一段落する。
「それにしても、レイが精霊王ねぇ………」
「………やっぱり兄様すごい」
しみじみとそう言う母さんと、普段通りの無表情ながらも誇らしげにこっちを見るシロ。
「それよりも母さんの無茶の方が驚いたよ………」
命を天秤にかけるとか………。
「うふふ、母さんだもの。レイの為になら人間だって辞められるわ」
生気が感じられない見た目になってしまっても、母さんは前と同じ様にニコニコと笑う。
本当に人間辞めた母さんだもんな。
こんな母さんだからこそ【母の愛】なんて称号を手に入れたんだろう。
「………それよりも、私も兄様の眷属になりたい」
「あら、母さんもそう思ってたの」
シロがそう言うと、母さんもなりたいと言い出した。
「確かにお願いしようと思ってたが、ホントにいいのか?」
形式美に近いが、いつもの様に再確認する。
「………ん。………私はもう兄様の奴隷だから正直変わらない」
シロは事も無しげにそう言う。
「母さんもレイなら安心して任せられるわよぉ」
母さんも微笑みながら同意を示す。
『シロアとカミアの眷属化が可能になりました』
そして、そろそろお馴染みになってきたスキルガイダンスも聞こえた。
これで【血の眷属】が使用可能だ。
ちなみに、ミナ姉とシーラも【血の眷属】の方でも眷属になっている。
ちなみに二人が望んだ事は。
『俺にも成長性をくれ』
『先輩の力になりたいっす!』
ミナ姉はお察しである。
そして、シーラの後輩魂に何かがこみ上げてきそうでした。
「………ッ。っと、これでオッケーだ」
ラーナの時の様に、指を噛んで血を出す。
二人いるので、両手の指をそれぞれ噛みました。
「兄様ッ」
「それじゃぁ、いただきまぁす」
左手には、飛びついて来て俺の指を咥えるシロ。
右手には、両手を添えて俺の指を口に運ぶ母さん。
そして、真っ白い光の玉が俺たちを包み―――。




