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(新)幼馴染と行く異世界転生~亜人を保護しましょう~  作者: 春風
第2章.学園編 俺と学園とドラゴン
33/103

1.帰還、泉と義手と母

この話から第二章に入ります。

後半別視点があります。

「………………」



 木漏れ日の溢れる森。



 その木漏れ日をキラキラと反射させて光輝く泉。



 その中でびしょ濡れで立つ俺。



 左手には左腕の義手。




 何だこれ。









 あの宣誓の後、俺は即座に人間界に戻ろうとした。



 どうやって人間界に戻るかは、ミナ姉に聞いてあった。

 城の地下に、互いを行き来できる『精霊門』という建造物があるらしい。

 ミナ姉もそこを通って人間界に来たとか。


 そこへいざ行こうか、と思ったらミナ姉達に「ちょっと待て」と連行された。



 大人しく連れていかれた先は城下町の広場だったが、そこで見た光景に俺は驚かされた。


 そこには広場いっぱいに精霊が集まっていた。

 何が驚いたってその精霊の数とか、圧迫感とかじゃないんだよ。


 見渡す限り、一面女精霊しかいなかったんだよ。


 んで、俺が広場に出て行ってみたら、全員して頭を下げてこう言った。



『私達を眷属にしてください!』



 どこのエロゲかと思(ry


 この光景の理由を、横にいたミナ姉達に理由を聞いてみた。


「前の精霊王だったラグニ、マジでゴミだったろ?」

「うん」

「そのせいで俺ら女精霊はかなり苦労しただろ?」

「うん」

「そんな中、この前のお前の宣誓をみんな聞いたろ?」

「うん」

「これは乗るしかない、と」


 つまり、俺の宣誓を聞いて庇護下に入りたがっているらしい。


「俺がラグニみたいな事をする奴だとは思わなかったのか?」

「いえ全く」


 そんな事を聞いてみると、近くにいた女精霊が即答する。


 宣誓の際に、ミナ姉やリボルといったネームバリューのある精霊達が、大人しく俺に付いて行っているのを見て、そんな事をしない精霊だと思ったらしい。

 まぁ、ラグニの時に二人とも暴れまわったらしいからな。


 そこにとどめを刺したのが、男の俺がミナ姉の体を本人公認で使っている事らしい。

 いやホントに、ミナ姉どんだけ恐れられてるんだよ………。


「それに、既に特級精霊の眷属を数人得ていますから、そう簡単に戦闘で負ける事は無いと判断しました」


 あぁ、そういえば精霊王って眷属の精霊の能力が使えたんだったな。


「そこに全員で眷属にしてもらえれば、相当強い方の庇護下に入る事が出来ますので、全くと言っていいほど問題ありません」


 後ろでうんうんと頷く女精霊達。


「まぁ、そちらがいいって言うなら俺も問題ない」


 こんだけの精霊の力が使えるのなら、もっと強くなれそうだしな。


「俺眷属化のやり方を知らないんだが、どうすればいいんだ?」

「簡単です。私達の体の何処かに触れていただくだけでいいです」


 え、そんな簡単でいいの?


「精霊王に触れられると、私達にはスキルガイダンスが聞こえますので、それで同意を示して眷属になるんですよ」

「なるほど」

「まぁ、実際にやってみればいいだろ?」


 そう言ってミナ姉が出てくる。


「この世界にお前を呼んだ時に約束したしな。だから一番眷属の座は俺がもらう」


 周りを見てみるとそういう風に話がついてるっぽいので、やってみようと思う。


ポフッ


「………オイ」

「ん?」

「何故頭に手を置いた」

「なんとなく、かな」


 元ミナ姉の物であるこの体は、女性にしては身長が高い。

 なので、今のミナ姉の頭がちょうどいい位置に来るのだ。

 ちなみに、女性らしい体つきの美少女姿なので、惜しむらくはこの美少女状態のミナ姉を撫でたかったのは内緒だ。


「よしよし」

「慈しみの表情で撫でるな!」


 おっと思わず顔に出ていたようだ。


 すると、頭に声が響く。



『時空精霊ミナが眷属になりました』



「これでいいだろッ!?」


 そう言ってミナ姉は、俺の手から逃げるように飛び退く。

 顔が真っ赤だ。

 言ったらぶん殴られるから言わないけどな。


「あらあら、ミナの顔が真っ赤d―――」

「やかましいわぁ!」

「おぶっ!?」


 あぁ、リボルが率先して地雷を踏み抜いてた………。


 そんな二人を尻目に、いつの間にか人化してたラーナが俺の前で跪く。


「主様、次は私を」

「了解」


 ラーナの頭に手を置く。


「………」

「………」


 スキルガイダンスが聞こえない。


「………どうした?」

「撫でてくれるのでは?」

「………それ欲しいか?」

「欲しいのです」

「………わかった」


ワサワサ


「もっと下さい」


ワシワシ


「もう一声」


ワシャワシャ!



『音響精霊ラーナが眷属になりました』



「満足したのです………!」


 ラーナは満ち足りた表情で言う。

 嬉しそうで何よりです。


 次はリボルの番なのだが………。


「ちょ、ちょっと、待ちなさい………」


 リボルは地面に倒れこみながらもこちらを向いているが、どう見てもボロボロで動けそうにない。


「ミナ姉のグーパン、すげー怖くなってきたんだが………」

「ちょっと俺が化物みたいに言うのやめろ」


 どうしたら拳一発でこんな状態になるんだろう………?

 リボルのVITが低いのもあるんだろうが、ミナ姉のSTRも気になる所だ。


「ホントに何してんだよ………」


 しょうがないので、こっちが近寄る。


「大丈夫か?【超回復ハイヒール】」


 膝をつき、右手をリボルの頭に当てて【超回復ハイヒール】を使う。



『雷電精霊リボルが眷属になりました』



「レイ、アリガトねッ!」


 そう言ってリボルは立ち上がる。

 うん、大丈夫そうだ。


 そう思って広場の方に向き直る。


「うおっ」


 広場にいた女精霊が俺の前で並んでいた。

 後ろが見えねえや。


「こ、これ全員か………」

「お願いします」


 先頭の人が跪く。



 さぁナデナデタイムのスタートだッ!









「お、終わった………」

「お疲れ様なのです」


 最初何人いるのかを数えてみようとか考えてたんだが、あまりにも多すぎて無理だった………。


「ふぅ………。これで俺の役目は終わりだな?」

「おうよ」


 俺が人間界に戻ると精霊界には王がいなくなるので、この国の事を女精霊達に頼もうとした。

 なので眷属にして、即座に俺と連絡が取れるようにしてもらったのだ。

 どうやら、精霊王と眷属間では特殊な【念話(コール)】が使えるらしい。


 バタバタしててまだ確認してないが、精霊王になった際に聞こえたスキルガイダンスでも似たような能力を持っていたはずだ。

 あれ、まだ一つも確認してないんだよなぁ………。

 明らかにやばそうなんで、人間界でシロの安全を確保してから確認する予定だ。




 場所は変わって、精霊城の地下空間。


「んじゃ、戻りますか」


 俺の前には、アニメでよく見る感じの魔法陣が部屋に広がっていた。


 どうやらこれに魔力を込めると、その上に載っている物を人間界に転送するらしい。

 転送先は、しっかりと指定されてるので安全なんだとか。


「おう」

「私は初めてなので楽しみなのです」


 ちなみに、ラーナとミナ姉が一緒に人間界へ行くメンバーだ。


 理由として、転送先はガルザード帝国から離れているらしいので、ミナ姉に母さんとシロ、フランを連れて来てもらおうと思っている。

 ちなみに、ラーナはどうしてもついていくと聞かなかったからだ。


 残留組のリボルとシーラには、この国の代表役を任せている。


「何かあったら、それを使いなさいね!?すぐに駆け付けるわッ!」


 今回残留組のリボルがいつものテンションで俺の持っている道具を指さす。


 この道具は精霊王のみが使用出来て、使用すると『簡易精霊門』を作れるというかなり便利なアイテムだ。

 しかも、『眷属』という条件さえクリアできれば、誰でも呼べる仕様となっている。

 使用条件が厳しいにしても、凄い、凄すぎるアイテムだ。



 ただなぁ………。


 なんで形状が左腕なんだよ………。



 形状が左腕の義手なのだ。

 しかも、二の腕辺りまでのガチの奴。

 更に、『籠手』じゃないので装備できない。


 なんか色々台無しだ。


「まぁ、なんかあったら遠慮なく呼ぶよ。そん時は頼むな」

「まっかせなさいッ!」


 リボルは胸を張ってドンッと叩く。


 ちなみに、リボルは『美乳』枠だ。

 ちゃんと揺れる。


 み、ミナ姉がすごい顔をしている!


「そ、それじゃあ、行ってきますッ!」


 精霊門に魔力を込める。


 すると魔法陣が青く光り出し、クルクルと回り始める。

 その速度がかなりのものになった時、魔法陣が浮かび始めて俺らを飲み込む。



 さぁ、やっと人間界へ帰るぞ!

 待ってろ、シロッ!





 と意気込んだものの、アルカナに捕まり、ワンクッション。





 そして、やっと人間界に来て、転送された場所が。




「なんで、泉のど真ん中に転送するんだよ………」




 出鼻を挫かれまくった人間界への転送だが、一応成功に間違いはない。


「………ミナ姉」


「何だ?」


 後ろを振り返ると、泉の外に立つミナ姉とラーナ。

 全く濡れてない。


「………まぁいいや」


 俺も泉の外に出て、ミナ姉の前に立つ。


「ミナ姉、三人の事頼んだ」

「おう。フランやシロアって奴なら一回見てるからわかるが、お前の母親がわかんねえんだよな」


 あぁ、そういや言ってなかったな。


「俺の母さん、死んだらしい」

「はっ?」



 アルカナに聞かされた事を端的に話す。



「つまり、今レイスだと?」

「あぁ、何とかできないか?」


 無茶を言ってるのはわかっている。

 だが、どうしても母さんを連れてきてほしかった。


「あー、一応何とかしてみるわ」


 そんな俺を見て、ミナ姉は『しょうがねぇなぁ』と言わんばかりの様子を見せてそう言う。


「ホントに頼む」


 俺は頭を下げる。


「わぁーったから頭下げんな」


 ミナ姉は、何故か恥ずかしそうに頬をポリポリと掻いている。


「………ったく、何故かコイツに頼られるのは嫌な気がしねぇ(ボソッ)」


 何かボソボソ言ってるが聞こえない。


「んじゃ、行ってくる」


 そう言ってミナ姉は、スキルを発動させる。


「【転移テレポート】」


 ミナ姉の体がうっすらと青い光に包まれたかと思ったら、瞬時に消え去る。

 その場に残ったのは、青い魔力の残り火のみ。


「おぉ」


 初めて空間魔法を見たが、すげー便利そうだな。


 『時空精霊』のミナ姉は『時間』と『空間』の二つの魔法を使える。

 この二つは異世界物では大体チートの一種として出てくる。

 そんな魔法を二つも使えるミナ姉は、リアルチートなのだ。


「さて」


 改めて泉を見てみる。


「ん?」


 既視感(デジャヴ)を感じた。


「あぁなんだ、ここか」


 思い出した。

 ここは母さんとリネアと三人で森林浴に来た、バルラの森だ。

 そしてここはシロアと出会った光の泉だ。



 なぜか懐かしい。


 早くシロと母さんに会いたい。



「主様」


 隣にラーナが並び立つ。


「大丈夫なのです。ミナはしっかりと二人を連れてくるのです」


 ラーナは俺を安心させるように言う。


「おう」


 少し恥ずかしかったので、頭を撫でて誤魔化す。


「………ふふっ」


 嬉しそうに顔を綻ばせるラーナは素直に可愛かった。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 【転移(テレポート)】でガルザード帝国のブラインに戻ってきたミナは、城に向かって一直線に向かう。

 孤児院にいるフランにも気は引かれているが、レイの家族の方が緊急度が高そうなので、まずはレイの家族の救出に向かう。


 人通りの少ない路地を抜け、そのまま城に飛び込む。

 門番の背後を走り抜けるが、誰にも気づかれない。



 人間界に降りる時、精霊界と違い精霊も実態を持つ事が出来、更に姿を精霊界時と変える事が出来る。

 それが特級精霊の能力の一つ『人化』と呼ばれるもの。

 ミナが精霊界と人間界で姿が違ったのはこの能力によるものだ。

 ただし、精霊の器をレイと入れ替えた為、今の姿がミナの正式な姿となってしまっている。



 レイの話を参考に、レイスとなったカミアを探すと、話の通り衛兵が監視する部屋を発見する。

 衛兵は二人だったので、声を上げさせずに倒して部屋に侵入する。


 そして、一つ奥の部屋で見つけた。



「………………」



 地面に倒れ伏す、最後に見た時と変わらない姿のレイヤード。

 そしてその前に立ち、感情の無い目で此方を見つめる青白い肌をした女性。


 一目見てわかった。彼女がレイの母親、カミアだと。


 ミナはそこで固まる。

 さて、ここからどうしようかと。


 彼女の意識が無いのは見ればわかる。

 だが、下手に動けば攻撃を放たれるだろう。それは確信している。


「………………」

「………………」


 見つめ合う二人。


 何分経過したか。



 キュィィィィィィン!!



「ッ!」

「ッ!?」


 急に魔力の衝撃波が二人を襲う。

 ダメージは無かったが、急な衝撃に動揺が零れる。


 その衝撃はミナに驚きと共に、奇跡をもたらす。



「………あらあら?」



 カミアが目をパチパチさせながら、周りを見渡している。

 どう見ても意識が戻っている。


「貴方がカミアさんか?」

「え、えぇ、そうよぉ」

「ふぅ、よかった。これでレイに良い報告が聞かせられそうだ」


 少し動揺を見せながらもハッキリと答えるカミアを見て、ミナは安堵のため息を零す。

 するとその言葉を聞いたカミアが珍しく大きな声を出す。


「ちょっと待って。貴方、今レイと言ったわね?レイは生きてるの!?」

「あぁ、貴方の息子のレイで間違いない。ちゃんと生きている」

「ほ、ほんと………!?よ、良かったわぁ………」


 ミナの言葉を聞き、カミアは安堵からか腰を落とす。

 だが、足元にいるレイヤードの死体を見て、再度疑問気な声を零す。


「あ、あら?レイ………?でも、生きて………?」

「詳細は後で話すが、レイは転生して精霊となっている」

「そ、そうなの………?」

「あぁ。そして、今はバルラの森で貴方とシロアの事を待っている」

「そ、そうよ!シロちゃんは!?」


 そう叫びながらカミアは立ち上がり、辺りを見渡す。


「そういえば、さっきの覚えのある魔力波が私の意識を戻した………。あの魔力波は、確かシロちゃんの………!」


 そして、心当たりがあったようで、全身に氷の武双を纏い始める。


「貴方、ここで待っててくれるかしら。今シロちゃんを連れて来るわ」

「了解した」


 カミアは殺気を漏らしながら外一点を見つめ、ミナから返事が返ってきた瞬間に壁を破壊しながら外に飛び出す。


「………トンデモねぇ魔力量だ。流石、お前の母親だよ」


 ミナは横で倒れ伏すレイにそう零す。



 そうして数分が経過した時、急激な魔力上昇が発生すると同時に、城が凍りつく。



「オイオイ………。本当にとんでもねぇな………!」


 そう零さずにはいられないミナだった。

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