2.1歳、現状の説明と猫耳メイド
ストック作業を行ってた所、投稿を忘れてました。
申し訳ありません。
どうも!本日1歳になったレイヤードだ!
とまぁ、俺が異世界に転生してから1年がたった。この間にいろいろ分かった事があるので報告していこうと思う。
まず、この世界は『グリフェンス』というらしい。
グリフェンスは三日月形の大きな大陸でできている。
大陸の上側は夕莉の住む世界樹を中心とした森で『魔の森』と言い、下側は砂漠地帯『砂海』に覆われているようだ。
魔の森は強い魔物と方向感覚を失わせる空間、砂海は昼夜で激しい寒暖差と水が殆ど存在しない砂漠と、どちらもヒューマンが住める環境ではないらしい。
そのため三日月の真ん中付近の大陸でヒューマンや獣人が暮らしているそうだ。
あ、異世界の定番である獣人さんもいたよ。
メイドさんに一人いて、初めてその猫耳を見た時にテンション上がったのはいい思い出です。
現状、獣人の扱いは良くないのが現状だ。
上流階級の貴族は、人ではない血が混ざっている獣人をヒューマンとは別の生き物として扱っており、肉体労働用としての道具としか見ていない者も多く、あまりまともな扱いを受けているとはいいがたい。
けしからんな、まったく。
あ、屋敷の猫耳メイドさんは大丈夫です。
元々、母さんが個人で契約していて専用メイドだったので問題は無かったし、彼女が初めて俺の世話をした時に、俺が大喜びした為、お気に入りという事で俺の専属お世話係になっている。
母さんと常に行動しているのでひどい扱いは受けていないし、俺や母さんが受けさせない。
そんな状態なので獣人達は一番戦闘が強い獣人を『獣王』として崇め、獣人だけの国『サフィルス』を作っているらしい。
一度どこかの国が奴隷欲しさに攻め込もうとしたらしいが、獣王に蹴散らされてから不可侵条約が結ばれているらしい。
獣王かっこいいな。
また獣人ですらそのような扱いなので、魔の森から基本出てこないエルフは美形が多いこともあり希少価値がついており、闇オークションで高値で取引されるらしい。
本当に周りを蹴散らす力が必要だと感じました。
オークションといえば、此方も異世界の定番、奴隷も存在していた。
奴隷には大きく分けて二つ、『借金奴隷』と『犯罪奴隷』がいるらしい。
借金奴隷の方は、手を出してはいけない、衣食住の保護など人として暮らす上で必要な所は保護されているらしいし、労働にて借金を返済できれば奴隷から解放されるようだが、犯罪奴隷は上記の条件は一切保護されず、奴隷から解放される事はないようだ。
そして獣人やエルフは、周りからの扱いや希少価値から人さらいに狙われやすく、裏の方で犯罪奴隷として取引されるらしい。
絶対いつか潰して見せる。俺の人生の目標の一つだ。
また、ヒューマンの国もいくつかあるが、戦争自体は無いにしろ一触即発なところもあるらしい。詳しい事はまだ良く分かっていない。国家情勢なんて1歳にもならない赤ん坊には教えてくれないよね。
ちなみにこの国の名前は『ガルザード帝国』っていうんだってさ。
暗い話からがめつい話に変えよう。
この世界は元の世界と同じように、硬貨を使って物の売り買いが出来るようだ。
お金の単位は『レイン』といい、元の世界の価値で言うと大体1レインで100円くらいだろうか。
交換レートとしては、
1レイン →銅貨
10レイン →銀貨
100レイン →金貨
10000レイン→白金貨
といった感じらしい。
実際この世界では、金貨一枚あれば余裕で数か月暮らせるんだとか。
まぁ正直な所、この辺りの金銭価値が王城生活なので良く分かってない所がある。ここはおいおい覚えていく必要があるだろう。
次に魔法について説明してみようと思う。
この世界の魔法は【火】【水】【風】【土】の基本四属性で区別されている。
四属性以外にも回復士が使う【回復魔法】であったり、トップクラスの魔術師が使用する基本属性以外の属性もあり、そちらは上位属性と呼ばれている。例としては【雷】【氷】など。
異世界最強属性の【時間】【空間】などはいないと言われている。
また、魔法にはレベルがあり、Lv.5が最高レベルになるらしい。
格付けとしては
【Lv.1】:ボール系
【Lv.2】:ウォール系
【Lv.3】:アロー系
【Lv.4】:ジャベリン系
【Lv.5】:ストーム系
となるらしい。
このようにレベル帯で使用可能になる魔法には系統が決まっている様で、オリジナル魔法は作るのが難しいらしい。
そして、この世界の魔法発動の流れは、
魔法名を唱える。
↓
空間にまぎれている『微精霊』達がMPを吸収する。
↓
吸い上げたMPを纏い『微精霊』達が集まり『魔力』となる。
↓
『魔力』が魔法名に基づいた現象を起こす。
↓
魔法発動。
という流れらしい。なるほどわからん。
微精霊というのは、空間に漂っているとても微弱な精霊の一種らしい。マイナスイオンかな?
そして実際の所、その微精霊が魔法を発動させるので、術者自陣はどちらかと言えば指揮とMPタンクの役割だとか。
例えば、定番のファイヤーボールを例にすると、
『ファイヤーボール』と唱える
↓
『微精霊』達が魔法発動に必要な分のMPを吸収する
↓
そのMPを纏い集まり『火属性の魔力』となる
↓
『火属性の魔力』が燃え、それらが集まり玉になる
↓
ファイヤーボール完成
という感じらしい。
頼まれたからって燃え上がるのはすごいな。
これが【水】だと体を水に変化させる、【風】だと風を巻き起こす、【土】だと砂をまとう、といった感じで属性と能力の指針によって変化させることができるらしい。
また、人によって各属性に親和性があり、親和性が高いほど『微精霊』と効率良くMPがやり取りできて強い魔法を放てるが、親和性が低いほど魔法発動に必要なMPが増えて威力も落ち、親和性が無い場合は魔法を使う事すら出来ないとか。
それと同じく環境によっても魔法の威力や発動の有無が違うようだ。まぁ、海の中で火属性の魔法が放てるわけないもんな。
微精霊がいるなら普通の精霊はいるのかって?
もちろんいます。
しかもかなりのレアリティです。
精霊は『微精霊』『下級精霊』『上級精霊』『特級精霊』『精霊王』の順で強いらしい。
そして、下級精霊以上の精霊自らに頼み込んで発動させる魔法を『精霊魔法』という。
特徴としては、普通の魔法ですら魔法を起こすのが微精霊頼りなので、微精霊の上位である精霊の方が魔法としての質は上になるらしい。
『微精霊』ウォータジャベリン VS 『下級精霊』ウォーターボール
これで同等の威力らしい。
それは精霊すごいわ。
ただ、精霊は人前に殆ど姿を見せる事が無い。その為、精霊と縁を結ぶ事は希少で、精霊魔法の使い手はあまりいない様だ。またせっかく縁を結んでも、精霊をひどく扱うと精霊は消えてしまう為丁寧に扱う必要があり、無理やり命令などできないそうだ。
なので、ほとんどの者が『微精霊』で発動できる普通の魔法で十分らしい。
俺も精霊魔法使ってみたいなー。
そして最後に、俺と夕莉の現状について話してみようと思う。
夕莉とは【念話】で毎晩話をしているので、常に互いの状況を報告しあっている。
現在、夕莉はスキルを思い出すための猛特訓を続けており、様々な事を試しているらしい。
ステータスの都合上、物理は苦手らしいが、MPを使うスキルや手先を使って物を作るのは得意だと言っていた。スキル上げも得意なモノを集中して行っているようだ。
夕莉の村での立場としては、夕莉の事を急に現れた部外者と思っているエルフも少なくないらしく、現在はエルフたちとの交流を積極的に行って、村の中での基盤固めも並行して行っているようだ。
知識チートとかで何か夕莉の助けになれればいいんだが、あいにく何も思いついないんだよなぁ。
マヨネーズとかが基本だと思っていたんだが、この世界には卵を食べる習慣がないらしい。その為、卵を生で食べれる保証が無いし、下手に手を出して毒だったりしたらそれこそ本末転倒なので、却下となっている。
そういえば【念話】には隠れた技能があった。
『言語理解』だ。
夕莉は、この世界に来てから元の器となっている体に引っ張られて、この世界の言葉で喋っている。
ただそれだと、この世界に来たばかりの俺では理解が出来ず、【念話】で話すことができないので、夕莉の言葉がわかる様に俺もこの世界の言葉が理解出来るようになっていた。
思わぬ副産物がついていて嬉しい。
まあ今のところ、夕莉には大きな問題は無いらしい。
問題は俺なのだよ。
「坊ちゃま?」
俺が変な顔をしていたのか、赤色の毛で覆われた猫耳をピコピコしながら猫耳メイドが不思議そうな顔をでこちらを見ている。
この子の名前は、リネア。17歳。苗字はない。
赤毛のショートヘアで、平均より少し小柄だが活発的でよく笑う女の子だ。
彼女は、 自分が住んでいた村が飢饉に襲われ緊急でお金が必要になった為、借金奴隷として自分を売ってお金を村に入れたらしい。そして、借金を働いて返しきったら村に戻れる契約だとか。
契約者は母さんなのでとっても安心。
今は俺のお世話係なので常に行動を共にしている。
というか、常に抱っこされている状態。
いや俺、少し前に摑まり立ちも出来たし、たぶん今なら頑張れば歩けるんじゃないかな?
それでも常にだっこされているのには理由があるんだ。
MP増加の為のMP0トレーニングを定期的に行っているせいですぐに気絶するから、俺は軟弱扱いされているのだ。
赤ちゃんの頃はよく寝てるなー程度で流されていたんだよ。
ただベットから出て外で動いていると、ぶっ倒れる頻度の多さが周りの目につき、何かの病気かと思われた。
MPが回復すると気になって、ついつい直ぐ使おうとしちゃう俺が悪いんだけどね。
まぁ、検査の時には魔法を使うのをやめていたから原因はばれてない、はずだ。
ただ検査の時、横にいた母さんの目がなんか光っている気がするんだよなぁ。
結局原因不明だったので、気絶しやすい体質ってことになった。
もっと詳しく検査されそうになったんだが、それは流された。
俺は王族と言っても三人兄弟の三男らしい。
そして上二人が正妻の子供で、うちの母さんは元冒険者で王の側室らしい。
らしい、というのも、俺は父様や上の兄貴達に会った事は一度も無い。
どうやら、二人の兄貴と、父様、更に聞いた所によると他の貴族にも俺は嫌われているらしい。
ただでさえ、庶流の血が混ざっているのに、よく気絶する虚弱体質で、獣人が好き。
どう見ても変人です。本当にありがとうございました。
【女群集の呪】のせいもあるんだろうけどさぁ……。
まぁそんなことを考えるのはやめよう。気が滅入る。
MPのお話をしよう。
MPは確かに増え続けている。
ただ、【回復】を使い続けるのは大変だった。
どうやら、回復魔法はMPを予想より多く使うようだ。なので気絶したらMPを回復しきるまでに時間がかかってしまい、効率が悪かった。
なのでじわじわとMPを使う新しい魔法を作ってみました。
【継続回復】:体内の細胞を活性化させ、持続的に回復を行う。
うん、前回新しい魔法を作るのは難しいって話をした後なんだけどさ。
どこかのゲームの説明文を思い出してその通りに発動するように試行錯誤して、ついこの間完成しました。
作った理由として、常に気絶しているようじゃMPがついても体が動かせないし、動き回る為に『MPを使いながら行動できる魔法』をが欲しかったので頑張りました。
いや、【回復】だと、唱えたらすぐMP0になるから、動けなかったんだよね。
だから作ったんだけど……。
既にリネアがだいぶ過保護になってて、俺が起きてる間は常に抱っこ状態で全然降ろしてくれないのだ。
「おうあー(訳:おろせー)」
と、ジタバタしてみても、
「危ないですよ、坊ちゃま!落ちたらけがをしちゃうんですからね?」
と、取り合ってもくれないし、抱き着く力が強くなるだけだった。
獣人はどうやら力が強く身体能力が高いらしい。まぁ、赤ん坊が勝てるわけないんだけどね。
その代わり魔法は使えず、MPも少ない様だ。
エルフとはここが逆だな。
まぁ、そろそろ運動を始めたいと本気で思っている。
そのためには、リネアから脱出しないと……!
ジタバタジタバタ
「もうっ、坊ちゃまは元気ですねぇ、いい事ですよー。でも今はだーめ、ですよ」
ギュー
リネアには勝てなかったよ……。
最近この話をしてると、夕莉が【念話】越しにジト目をしている気がします。
どうも、前作を更新していた感覚に中々戻せず苦労しています。