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自分に謝る

作中ではまだ12月26日ですが、あけましておめでとうございます。合わせる必要があるかは分かりせんが更新頑張ろうと思います。





 胸で遊んでいたことをナビィにチクチク言われながらも身体を洗い終わり、風呂から上がった後、肩甲骨辺りまで伸びた髪をこれまたナビィに小言を言われながらタオルで細かく水気を吸っている時に気付く。


「あれ、ナビィって女の子だったのか?」

「なになに? 急に。……ああ、うんうん、このボディーは女性型だよ」


 ナビィは自分の身体を見て得心がいったように答えた。


「"ボク"なんて言ってるから男だと思ってたよ」

「ボディーに関してはパパの趣味だからボクからは何とも言えないなぁ。……よしよし、あとはドライヤーで乾かそっか!」


 言うや否や一瞬で警官服のような格好になったナビィは洗面台の下の棚からドライヤーを取り出した。何で置き場知ってるんだ。

 とりあえずタオルを身体に巻いてドライヤーを受け取る。脇の方に置いてある小さな椅子を取り出して座ればあとは乾かすだけだ。


「ナビィのその服もパパって人の趣味か?」

「これはね、タイムパトロールの制服なんだー」

「タイムパトロール?」

「そうそう、ボクの時間遡行はグレーなことらしいから、カモフラージュ」


 そう言ったナビィの服装がコロコロと変わって、最後に羽のついた妖精っぽい服装に変わる。


「どうどう? 可愛いでしょ、パパがナビゲーターはこうあるべきだ! って言ってたし!」

「ああ、すげえ見覚えがある」


 ドライヤーの吹き出す風をBGMにしてナビィが飛び回る。褒めたか微妙な返事だったが気にしてないようだ。


「ところで時間遡行って、ナビィはやっぱり未来から来たのか?」

「そうだよー。パパは晃くんの子孫だから、晃くんが子供を作らないのは困るんだって!」

「そんな理由で過去って変えていいものなのか……?」

「個人的な理由じゃダメだけど、パパは凄いから! タイムパトロールが来てないってことは結局オッケーが出たんじゃないかな!」

「そっか、出来れば俺を女にする以外の方法でやって欲しかったかな……」


 切に。ナビィの判断なのか、俺の子孫らしいパパとやらの判断なのかは知らないが、時間を移動するなんて技術力があればもっとやりようはあったんじゃないだろうか。


「うんうん、試しにさっき晃くんに思考誘導してみたんだけど、ダメだったよ。ああすれば押し倒すぐらいしてくれると思ってたのに……」

「珍しく朝に起きてると思ったらお前のせいか……。というか見られることに問題はないのか?」

「もちろん晃くんからは見えないようにして念をちょいちょいっと」


 するとナビィの姿が見えなくなる。と思えばすぐに同じ場所に現れた。


「どうなってんのそれ?」

「うーん、内緒!」


 タイムスリップしてることは言うのにそれは言えないのか。謎だ。

 しばらくドライヤーを当てたことで水気が飛んだので温風から冷風に切り替える。櫛を取り出すとナビィが代わりにやってくれるようなのでドライヤーに専念。

 ちゃんとケアして! とナビィに言われてやっているが、中々に手間だ。ただ時折混ざるナビィの手櫛が心地いい。

 時間をかけて髪を乾かし、ナビィに手伝ってもらってブラや下着を着け、人生初のワンピースに手間取りながら準備をすまして洗面所を出た。






「あーその、さっきはごめん! 覗くつもりはなかったんだ!」


 リビングで座って待ち構えていた()の言葉。俺が風呂に入っている間ずっと座りながらどう謝ろうか考えてたんだろうなぁ。途中で遅くない?と思って、でも俺が悪いし、みたいに色々考えたんだろうなぁ。

 自分の思考パターンからそう思うと、目の前の()の申し訳なさそうな顔も頑張って作ってるように見えて笑いそうになる。


「ああ、うん。大丈夫。問題ない」


 どう話したらいいか迷って、単語で返事をする。ナビィがやったような話し方は出来る気がしない。


「本当にごめん! 怒ってるよね、マジでごめん!」


 全然怒ってないけど。まあ昨日のフランクな感じから急に短く話されたら怒ってるんじゃないかと思うか。

 どうしたものかと考えていると、ナビィが頭に乗ってきた。まさかまた勝手に動かすんじゃないだろうな。


(もっと明るくいいよ! って許して上げてぎゅー! ってしたらいいんじゃない?)


 こいつ直接脳内に……! ってんなこと出来るか!


「俺に出来ることなら何でもするから許してくれ!」


 バッと頭を下げる()

 ん?今、じゃねぇ、ちょっと投げやりになるのやめろ。


(おお、ここまで言ってくれてるんだし、買い物に付き合ってもらおうよ。ついでに晃くん持ちでさ)


 うん?確かにお金持ってないし、どうしようかと思ってたけど、まさか。


(あははは、何のことかな。ほらほら、晃くん待ってるよ)


 下げてた頭がちらちらと上を向く。反応が怖いのは分かるが素直に待とうぜ?


「買い物」

「……え?」

「お前のおごりで、買い物行こう。それで許す」


 すぐさま顔を上げて明るい顔になる()。笑みをこらえようとしているが全くこらえられていない。


「じゃあ準備してくるから待ってて、すぐだから!」


 そういって自室へ駆け上がる()を見送ったあとに、俺も母さんの部屋に行ってタイツを履いて、コートを羽織る。リビングに戻って、自分がクリスマスの日に準備にかけた時間を思い返す。

 うん、20分はかかるな。

 上の階から響くバタバタとした足音を聞きながら、準備時間は見栄を張らずにもらった方がいいなと思った。

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