夜と海
銀色に輝く魚の鱗が
真暗な夜空にチカチカ光る
空ににじむイワシの群れは
冷たい銀の天の河
真黒の夜は海に溶け
彼方までキラキラと輝いている
星の粒たちは波間でおどり
惑星たちは深い水底に横たわる
月が
透明な海を泳ぎ
黄色のおもてを空に向けている
昼と共に逃げてしまった太陽の代わりに
土星や 木星や 地球たちへ
冷たく澄んだ光を与えている
とぐろを巻いた銀河は渦巻き
星の波を引き起こす
星々たちは泡となり
光の残滓を残して消える
月を欠いた夜空には
老いた白鯨が代わりをつとめ
ゆるやかに
ゆうがに
天空の海を泳いでゆく
トビウオたちは界を跳ね
空を離れ
星の側まで落ちてくる
たまらず
海水や 小魚たちを連れて
白鯨が海面からどどうと飛び上がる
ヒレを広げ
水に濡れ
気持ち良さそうに落ちてくる
水柱をあげ
白鯨を迎えた夜たちは
動揺し
水面を白く染める
そして 夜が明ける