表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
HIPHOPブーギー  作者: 純一郎
1/14

MCの日常

 イエ― 俺のマイクがお前を貫くぜ


 リアルじゃない奴ら出し抜くぜ


 この衝動 弾道 LIKE A 暴動


 正面突破 お前ら上等


「ちょっと、あんたなんか届いてるわよ!」


 COME ON ナンバーワン


 俺が CHOSE ONE


「こら明人。聞こえてんの?」

「ちょっ。マジかよ。何で勝手に入ってくんだよ。今いい感じだったのに」

「呼んでも返事しないからでしょ?」

「でも今のフロウはマジ最高だったんだぜ?姉ちゃん」

「フロー?だぜって何?マジダサイ」

 姉ちゃんは俺がラップやってんのを嫌ってる。今時ラップなんて流行んないって。

何にもわかっちゃいないだ姉ちゃんは。今はラップが最重要音楽だってな。不良だって普通の奴だって、ラップで自己表現するんだよ。

「で、何?」

「何じゃないわよ。あんたに届けもん。つか、またレコード買ったの?」

「おお!やっと来た。待ってたんだよこいつを」

「このまま買い続けたら寝る場所なくなるわよ。絶対に私の部屋には置かせないからね。まったくこの時代になんでレコードよ」

「これにしかインスト入ってないんだよ」

「インスト?」

 姉ちゃんにはインストの意味がわかってない。まったく、最近のデジタルブームに乗りやがって。なんて事は言ったりはしない。俺もデジタル世代の申し子だからな。

トラックはPCで作るし、IMUSICとか定額で金かかんないからマジ最高。でも、やっぱりヴァィナルの音質には敵わないと思ってるぜ。あの、胸を打つ柔らかくも堅い、最高の重低音。

俺はトラックメーカーじゃないから、音質の調整は正直苦手。だからヴァイナルのインストをMACに入れ込んで、ラップを載せるわけ。

「いいよ。なんでもない。サンキュー」

「まったく。あんま大きい声出すと近所迷惑だからね」

姉ちゃんが出て行くとバイトしてやっとの事で手に入れたPCを操作した。さっき録ったラップはマジ完璧だった。だけどそんなもん俺ならまた生みだせる。

後悔、なんてしないMY LIFE。はは。またリリックが浮かんだぜ。

 ソフトの録音ボタンを押して、奮発して買ったマイクに向かう。どうやら今日は調子がいいぜ。ビートが言葉を紡ぎ出す。


 イエ― 俺のマイクがお前を貫くぜ


 リアルじゃない奴ら出し抜くぜ


 この衝動 弾道 LIKE A 暴動


 正面突破 お前ら上等


 COME ON ナンバーワン


 俺が CHOSE ONE


 止めどない不安 捨ててついて来い


(フック)


 逃げたりすんな 振り向くな


 立ち止るのは 後にしな


 逃げたりすんな 後悔すんな


 これが俺のLIFE 俺がサムライ・・・


「ちょっと明人!」

「なんだよ姉ちゃん。またいいところで・・・」

「ご飯よ」

「オーシット!」

 どうやら今日のフロウはお蔵入りみたいだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ