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第6話

 『仮面ライダー555』のアクセルフォームって格好いいですよね。『仮面ライダーカブト』のクロックアップより、アクセルフォームの方が好きです。

 という分けで、ここからは戦闘満載なのでお楽しみ下さい。

 発砲と同時に、左腕で防御姿勢を取った刹那、左腕に備えられた半透明の障壁、『バリスティックシールド』が展開され『7.62mm弾』を防いだ。

 この『バリスティックシールド』は一応は実体を持っているが、実際は『エネルギーシールド』を張り巡らせた次世代の代物だ。例えロケットランチャーでも防ぐ事が出来る。


加速(アクセル)!」


「Count Start」


 薫は再び『加速(アクセル)』を使い、超高速移動の領域に入った。

 こちらへ向かって飛来する弾丸はスローモーションのようになり、全ての時間がゆっくりと流れ出す。

 薫は即座に『バリスティックシールド』を収納すると、三科凛子の後方を取るように走った。


「女の子に手を上げるのは主義じゃ無いけど、勘弁してくれよ!」


 そして『MP40“シュマイザー”』の銃床を、三科の後頭部目掛け振り下ろす。

 一応、気絶に納められるよう手加減はしている。流石に発砲されたからと言って、同じ『連邦日本軍』の同士を殺すのは寝覚めが悪い。

 しかし、上手くは行かなかった。

 銃床が彼女の後頭部を捉える一瞬前、彼女の姿が掻き消えたのだ。銃床が虚しく空を切る。


「へ!?」


「こっちですよ、カウボーイさん」


 不意に右側から声が聞こえたかと思えば、脇腹に巨木がぶつかったような衝撃が走り、薫の体が宙を舞った。

 そのまま薫は雑居ビルの一階の窓ガラスを割り、一番奥の壁にぶつかるまで吹き飛ばされた。


「3、2、1ーーーーTime Over」


 『加速』の時間が切れた事を知らせる電子ボイスが、全身を痛めた薫の鼓膜に虚しく響く。


「何が……起こった…………?」


 『QPS』の防御力のお陰で怪我は軽く済んだが、それでも呼吸困難に陥り、激突の衝撃で一瞬気絶してしまった。

 凄まじい威力だ。

 ただ蹴られただけと言うのに、十メートル以上吹き飛ばされた。

 三科凛子の能力は“治癒”だった筈だ。しかし、『QPS』の『加速』に着いて来れるスピードと、あの怪力は何だと言うのか。


「薫様、肋骨と内蔵を負傷しております。鎮痛剤を使用しますか?」


「頼む。それから、至急“三科凛子”で軍のデータベースを漁ってくれ」


「了解しました」


 ターナーが了承の言葉を返すと同時に、左手首にチクリと無針注射が打たれた。

 その間、薫は『シュマイザー』を手放さなかった事に自分で驚いていた。あの衝撃で手に持っていた物を握り締めたままでいられたのは、最早奇跡と言えた。因みにテンガロンハットも落っことしていない。帽子や装備は『QPS』として特殊な磁場で繋ぎ止められているらしいので、よっぽどの事が無い限り落とすことは無いのだ。


「思ったより頑丈なのですね、そのスーツとやらは。今ので殺したつもりなのですが」


 三科が軽い調子で声を掛けながら、一階フロアに入ってきた。

 ゾッとする発言であった。

 確かに今の蹴りを生身で食らっていたならば、命は無かっただろう。彼女は本気で薫を殺しに掛かって来ている。


「では次は、その首をへし折るかして差し上げましょう」


 次の瞬間、三科の姿がゆらりと掻き消えた。

 薫は慌てて「加速(アクセル)!」と悲鳴のように叫び、超高速の領域に入った。が、その僅かなタイムラグが命取りであった。


「Count Start」


 電子ボイスが流れた時には、既に三科は薫の眼前にまで迫り、左手をこちらの首へ伸ばす寸前であった。

 薫は反射的に右へ飛び退き、彼女の左手をかわした。


「あら、よく避けられましたね?」


 声の調子は世間話をするように軽いが、身体は確実に薫を殺すべく動いている。

 こちらも殺すつもりでやらなければ、いずれ殺されてしまう。

 『不死人(アンデッド)』相手のインターンだった筈が、いつの間にか『ハイヒューマン』を相手に死闘を演じなければならなくなっている。何が楽しくて人殺しをしなくてはならないのか。


「チクショウ!」


 薫は雑念を追い払うように声を吐くと、『シュマイザー』の銃口を三科の方へ構えトリガーを弾いた。刹那、『9×19mm対不死人弾』が矢継ぎ早に撃ち放たれた。

 薫が勝手に名付けたのだが『加速領域』に入っている時に発砲した時は、弾丸も相応に加速されて撃ち放たれる。つまり三科に殺到する弾丸は、通常の時間軸で撃ち放たれた時と同じ速度だという事だ。

 しかし、彼女は信じられない程のアクロバティックな動きで弾丸をかわすと、空中に舞ったまま小銃を構え、ブレる事なく薫の眉間を目掛けて発砲したのだ。

 薫は一心不乱に左腕で防御姿勢を取ると、呼応するように『バリスティックシールド』が展開され銃撃を防いだ。

 全てはターナーがシステムを管理してくれているお陰である。

 薫はシールドで銃撃を防ぎながら、片手で『シュマイザー』を保持し反撃する。普通なら反動で狙いもへったくれも無いだろうが、『QPS』により強化された腕力を持ってすれば、片手でも『シュマイザー』のフルオート射撃に堪えられた。が、三科のアクロバティックな回避行動は予想が付けづらく、無闇に弾をばら蒔くしか無かった。


「3、2、1ーーーーTime Over」


 奇しくも『加速』の時間が切れたと同時に、『シュマイザー』の三十二発入りマガジンが空となった。それは三科の方も同じ様で、小銃からマガジンを取り外し、新しいマガジンを手中に喚び出していた。

 『ガンスリンガー』の利点だ。

 自分の『適性銃器』に合った銃弾なら、マガジンごと召喚する事が出来る。つまり、弾切れを起こす事が無いのだ。

 対して薫の『シュマイザー』は『適性銃器』では無い為、弾数に制限がある。他にも『QPS』のエネルギー等にも限界がある為、長期戦には持ち込めないという事だ。


「薫様、今の『加速(アクセル)』でリチャージに入ります。十分間は使用出来ません」


「分かってる。ーーーー戦い方を変える。軽機関銃を出してくれ」


「ですがあれはまだ試験段階でーーーー」


「実地試験だ。やるぞ」


「了解しました」


 薫の指示にターナーは『シュマイザー』を量子変換しデータ化すると、代わりに『QT-MG42』を実体化した。『シュマイザー』とは違い、ずっしりと重量感のある銃器である。


「相談は終わりましたか? では、参ります」


 そう告げるや三科は『加速領域』に入った。

 対する薫は『MG42』を構え、トリガーを弾いた。

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