その翼で飛べ!!命をかけて人間と戦え!!機動戦士G!!
✳︎注意✳︎
この小説には、誰もが嫌いな黒いあいつを想像させるような表現が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
「お前が希望の星だ、行ってこい!!」
仲間が見守る中、1人がそう告げた。お互いに黒く輝くカサカサとと羽を上下させて、無事成功を祈った。
ここはGの住む場所。近代化が進み、家なども作り、人間さながらの生活をしていた。そこで、1人のGが旅立とうとしていた。
「ついに奴らとの決戦の時が来たな...!!」
「ああ、はっきり言って勝てるのかは分からない。だが俺たちはあいつらと戦わなければならないのだ!!!人間と!!」
未来を託された一匹のG、G太がそう大きく高らかに、そう宣言した。
G....つまりゴキブリは人間からはとっても嫌われていた。その理由はいろいろあり、黒いボディ、たくさんある足、2本の触覚、そして特にその動き方に嫌われる要素があった。
カサカサという不気味さを引き立てるその動きは恐怖心を駆り立てるものだった。
英語ではcockroachなのでCなのでは?というのは野暮なので聞かないでほしい。
「くそう人間どもめ、今に見てろよ。奴らを服従させてやる....!」
G太はそう呟き怒りをあらわにする。その対象はもちろん、人間だ。
「でも、そこまで憎み合わなくても....?」
ふと、子供のGがそんなことを呟く。それに対して親がこう口を開いた。
「奴らは見た目が深いというだけで私たちの仲間を殺したのよ。私たちは特に何もやってないのに....あいつらは....あいつらは.....!」
いつの間にかその親は涙を浮かべていた。無抵抗な仲間を次々と殺されていくのに憎悪以外のなにもない。
人間との決戦で、確実に勝利しなければならない。今まで人間に殺されたG達のために.....。
「そう、奴らは我々の敵だ。戦い、勝たなければならない。絶対に....絶対に.....」
「これを持って行け」
「これは...?」
1人のGに手渡されたのはお守りは自分の姿によく似たものだった。
Gなんて全部同じだから自分と同じとかあるのかとかツッコんではいけない。
「お前の娘さんが作ったもんだ。必ず帰ってこいよ」
「もちろん!!任せろ!」
G太は余裕そうにそう告げる。不安などももちろんあるが、出撃するのだからそれを表に出すまいとしていた。
「さて、もういく時間だ」
「絶対に勝ってくるからな!!」
「もちろんだ!!」
「頑張れー!」
「負けるなー!」
「帰ってこいよー!!」
G太は大歓声を背に、拳を上げてなにも言わずに歩き出す。その背中を見ながら、なにも言わずに見守っていた。
羽を取り出し、飛んでいく。その間も歓声が止むことはなかった。
だが、その歓声はすぐに止むこととなってしまう。
「きゃー!!嫌だー!!ゴキブリがいるぅー!!!」
出る場所が悪かったのか、近くに料理をしている人間がいた。しかもさらに悪いことに新聞紙を持っていた。それはおそらく料理するときにテーブルに敷くために用意したものだろう。
パチン!!
大きな音を立て、G太はよろよろと落ちていく。そこに追い打ちをかけるようにもう一撃。さらに大きく音を立てた後、G太は動かなくなってしまった。
「G太ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
歓声は一瞬にして悲鳴と名を呼ぶ声に変わった。
「ねえねえ、G太おとーさんは?」
暇そうに外を見ていたG子は母親にそうたずねる。
「お父さんはね、大事な仕事に行ったのよ。しばらくは帰ってこないと思うわ」
「帰ってきたら似顔絵でも書いてあげよーっと!」
父親に起こった悲劇を知らないG子は、再びつまんなそうに空を見上げた。