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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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3章4 バレバレな話

 来て下さってありがとうございます。

魔霊樹研究所から帰ってきました。時間的にはおやつの時間過ぎ位。


 宿に着いてしばらくしてもアルク君とラクシエルさんは帰ってこなかった。ラクシエルさんはジュノさんの付き添いじゃなかったの?なんで帰って来ないんだろう·····


 宿の談話室でそんな事を考えながら座って居たらジュノさんとバーディさんがやってきた。この宿の2階には少し狭いが談話室がある。1階に食堂があるのでここで待ち合わせて夕食に行く約束なのだ。(宿の受付も1階だ)もう少ししたらフィン様達も来るだろう。



「ジュノさん、アルクくん達から、なんか聞いてないの?」

「いや、僕も困ってる。ラクシエルが護衛も兼ねてくれるって言うからあてにしてたんだけど」


 そこ、ちょっと気になるんだけど?

 実のお母様に会いに行くだけだよね?まあ嫁ぎ先だから他人の家ではあるんだけど、護衛か必要な程危険なお家なんだろうか?

 

「そうだな。まず、何十年も音沙汰無しだったのに急に会いたいとか訳分からない。だいたい会いたいなら自分から来ればいい。それと再婚相手が胡散臭いから」

「え?トウキクの貴族でしょ。ちゃんとした人なんじゃないの?」


 チラッとトリ···じゃないバーディさんを見る。

 俺に振らないで!って顔してる。そうはいかないからね。


「バーディさん、ジュノさんが訪ねる貴族のモスラ···」

「モンステラ伯爵」

「そう、その伯爵ってどういう人なんですか?」


 バーディさんによると·····

 モンステラ伯爵はトウキクの王陛下(国ではないので王陛下と呼ばれているらしい)の弟であるモンステラ公爵の三男。公爵家は現在長男が継いでおり前公爵は逝去されている。次男は中央神殿の大神官となっている。

 モンステラ伯爵は伯爵位を貰い宰相とトウキク神殿補佐役を兼任している。神殿とのパイプ役的役職らしい。

 

「ここだけの話にして欲しいのだが隊長とユシャさんが彼の身辺を調べていたことがある。詳しくは知らないが何かあるということだろう」

「そうなんだ····」


 黙って聞いていたジュノさんがバーディさんをまじまじ見ながら言った。


「何故、バーディさんが、そんな事を知っているんですか」

「え?」「あ?」


 しまった。ジュノさんはバーディさんがトリスタさんだってことに気づいてなかった。


「あの、それはホラ。バーディさんもアドゥーラの一員だし、今回は隊長からの依頼で」

「わかってます。バーディさん、トリスタさんなんでしょ?部署違うのに詳しいんですね」

「はい?」


 んんっ?ジュノさん、バーディさんをトリスタさんって!?


「ジュノさん知ってたの?」

「ホントにトリスタさんはヒナに甘いな。早々にバレてたでしょ。白を切り通せばいいのに。大丈夫なんですか、もう」

「ジュノくん脅かさないでよ」


 何?何?ジュノさん聞いてたの?何それ!


「ジュノさん、トリスタさんのこと隊長から聞いてたってこと?」

「いや、知らされてはなかったけど、魔力がトリスタさんだなーって」


 トリスタさんの変身魔法と魔導具での認識阻害をジュノさんも見抜いたって····

 魔力量がかなり多くないとそれに気がつく筈はない。

 ジュノさんの魔導師としてのレベルは中級だと聞いてるのになんで。


 フィン様達はトリスタさんを知らない(トリスタさんとしては紹介してない)からいいとして。 

 魔力お化けの聖獣コンビなら見抜けて当たり前。私だって上級より上まで魔力増えてるから見抜けた。

 トリスタさんは上級でも一流の魔導師。それを見破るジュノさんはまさか·····


「鑑定持ちですか?!」

「「ちがうでしょ!」」


 ジュノさんとトリスタさん二人して否定した。そういうのはかなり高位の鑑定持ちでないと難しいらしい。クレッシェンドには高位は数人しかいないそうだ。

 それなら魔力の多い人が知り合いを魔力で個体識別する方が分かりやすいらしい。


「あれ?ジュノさんて確か中級····トリ、バーディさん上級のはず····だよね」


 え?あれあれ?あれれれれ?


「黙っててごめん。事情があってヒナと同じ様に魔力が少なく見える魔具使ってるんだ。」


 なんですとーーーっ!


「ユシャさんも隊長も俺にまで教えてくれてないなんて、酷いな」

「私だって初耳だよ〜。ジュノさん酷い!友達だと思ってたのに·······」

「ごめんヒナ·····」


 なんか裏切られた気分だわ。事情はあるだろうけど、私ってそんなに信用ないのかなぁ····

 トリスタさんさえ教えて貰ってなかったってどんなスペシャルシークレットなのよ。


「詳しくは言えないけど僕の生い立ちに関係してるんだ。ユシャさんの指示でかなり高性能な魔術具を装備しているんだ。隊長も多いことは知ってるけど魔力量は正確にはわかってないと思う」


 つまりジュノさんの父親が魔力がメチャ多い人だったってことか。


「ユシャさんてば酷い、俺友達だと思ってたのに·····」


 トリスタさんが1人でブツブツ呟いてる。確かにユシャさんも隊長もなんでトリスタさんに黙ってたんだろう。


「トリスタさん、ユシャさんとこ行ったら二人でとっちめてやりましょう」

「ヒナちゃ〜ん、ありがとう。でもここではバーディって呼んで」

「あ、はい」


 立ち直り早いなトリスタさん。

 

「楽しそうだね。なんの話?」


 クリス様だ。後ろからフィン様も来てる。これから行くジュノさんのお母様の再婚相手の話だと誤魔化して1階に降りるよう誘った。お腹ペコペコだしね。










 



 



 そろそろヒナもジュノくんが装備してる魔力詐欺の魔具付けた方が良いんじゃないかな?

 今回も読んで頂きありがとうございます。


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