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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章42 お出かけ再び

 トウキクに向けて出発です。ヒナ、頑張ります。でも何を頑張ればいいんでしょうね。


 さてさて、今回トウキクに行くのは6人。目的は3つ。確認しましょう。


ひとーつ、魔族の王子様たちの植物研究のためのトウキク植物研究センターと魔霊樹研究所の見学。


ふたーつ、ジュノさんのお母さんの再婚相手のお宅訪問。なんと、貴族ですってよ!それも伯爵。ジュノさんからの強い希望で私もお邪魔することになりました。


みーっつ、ユシャさんのお父様ニコラスさんのお宅に伺い、ユシャさんの様子を見てくる。つまり安否確認?生存確認?場所が秘密らしいけど、どうやっていくのかしら?


 トウキクには結構長く滞在するようになりそう。

 スーリヤ先生からはフィン様達のお世話も頼まれている。と言うのもなんとトウキクは獣族及び獣人は立入禁止、人系でも異種族は許可制。その為従者兼護衛であるパザさん達が同行できない。まさかの入国拒否!なんでやねん!

 まったく『ケツの穴のちぃせぇ奴等だなあ!』である。いや、私はそんな乱暴な言葉は口には出しませんよ。思っただけだから。思っただけ。

 フィン様もクリストバル様(クリスと呼べと言われた)も「私達は自分の事は自分で出来るから世話係はいなくても大丈夫だよ」「でも、人数は多い方が楽しいから一緒がいいです」との事。なんていい人達!

 というか、私がトウキクに行く理由であるユシャさんの件は内緒にしなければいけないそうで、建前上、私はフィン様達の世話係という事になったわけなのです。




 出発当日、スーリヤ先生が見送りをしたいからと大学でフィン様達と合流して空港まで一緒に行くことになりました。警備隊のメンバーとは空港で待ち合わせ。


 前回、ニニカからティファーン経由で中央に来たように、今回逆に飛行船でティファーンに行き、そこから列車でトウキクに向かう。


 ユシャさんとニニカに里帰りしたみたいにあっと言う間に行けたら楽だろうに。あれはユシャさんだから使えた裏技なんだよね。一体どうやったんだろう?


「ヒナちゃん、トウキクのアレとアレ買って来てね。それから········」


 私は今は空港に向かう貸切獣車(タクシーみたいな物)の中で、スーリヤ先生からお土産を頼まれています。それなりの金額の餞別も頂いたけれど、種類がが多くて覚え切れないので必死でメモ取り中。


「パチパチキャンデーも欲しいけど、あれは結構田舎の店だから厳しいかな〜」


 パチパチキャンデー?何だそりゃ?


「以前ユシャにトウキクのお土産で貰った事があるんだよね。口の中で弾けて面白いの。小さな甘い爆弾って感じ」

「わあ、何か気になりますね。探してみます」


 そんなこんなで空港に着きました。


 チケットとかはジュノさんが用意して持っているので、まずジュノさんを探さないとね。おや?あの人集りはなんだろう?若い女の子達が集まってるようだ。その中心に三人の男子?黒髪に白い髪?それから·····ジュノさん?!


 わ、忘れてたけど、ジュノさんて傾国の美女級の美形だったわ。一緒にいる二人もかなりの美形だし。さながら、砂糖に群がるアリ、いや失礼。ん?

 えっ!あの白いのは!


「ヒナ〜!」「アルクくん?!」


 たまにしか見たことないけどアレは人型になったアルクくんだ!なんでここに?はっ!一緒にトウキクに行くのってアルクくんと、まさかもう一人は·····


「ヒナ!助けろ!」


 黒髪はラクシエルさんだった。揃いも揃って皆なんでこんなに美形なんだよ。

 ···ていうか、私の側にも三人のイケメンが居たんだった。私ってば美形見慣れ過ぎてマヒしちゃってたのかしら?アルクくんが私に向かって手を振るから周りの女の子達の視線が痛い。


 アルクくんはニコニコ楽しそう。ラクシエルさんも笑顔だけど、ちょっとひきつっている。

ジュノさんは·····無表情!いや思考が飛んでる。無だ!無の顔だ。心頭滅却すれば火もまた涼し、じゃなくて心はここにあらず。悟り?仏の境地なの?

 何と言うか、なかったことに〜的な?現実逃避?


「ジュノさん。おーい、帰ってこ~い。ヒナだよ。あなたのお友達のヒナですよ」

「はっ、ヒナか。俺、今意識が無かったかも」


 あ、帰って来た。幽体離脱かよ。

あっと言う間にフィン様、クリス様、スーリヤ先生も囲まれた。今までこんな事なかったのに。あ、この子達、魔力が無い。下の大地の観光客?皆、写真撮ってる。うっわ〜アイドルを追っかけるファンみたいだわ。


 出発時間も迫って来たので半分幽体離脱中の5人を引き連れて搭乗口に向かう。これってホントはジュノさんの仕事なんだからね。


「ほら、みんなチケット持って。フィン様クリス様からどうぞ。ジュノさん、アルクくんとラクシエルさん、さっさと進んで下さい。後ろつかえちゃいますよ」


 遠目に見つめる女の子達の視線を感じながらも、気分は修学旅行引率の先生です。


「ヒナちゃん、お土産忘れないでね〜」


 見送りデッキで叫ぶスーリヤ先生。残念なイケメンだよなぁ。頼まれたお土産が食べ物ばかりってどうなのよ。


 さて、フィン様達にアルクくんとラクシエルさんをどういう人だと紹介すれば?ジュノさんとフィン様は神殿の催事で会ったよ·····ね?ん?

 あ、紹介してない。そこからかー!



 前回ユシャさんと中央行の飛行船に乗ったけど、こっちが広いし、装飾とか豪華じゃない?前回乗った1等客室が同じ貴族富裕層向けにしても前のは定期便のちょっと良い席って感じだった。 こちらは豪華客船かホテルかって豪華さだ。部屋も広いし、ちゃんと普通に壁で仕切られてる。


「ジュノさん、私がユシャさんと乗ったのと随分違う」

「当たり前だろ。魔族の王族を一般客用の飛行船に乗せるわけには行かないだろ。これは月に数回しか運行しない特別仕様だ。今日は俺達のほかは2〜3組しか客は居ないはずだ」


 なんと!特別便である。ちなみに他にはどんなVIPが乗ってるのかしら?ねぇ、ジュノさん。


「神殿のお偉いさんが家族旅行で一組、それから俺達。後は知らない」


 お金ってある所にはあるのよねー

 いつかユシャさんに強請って乗せて貰いたい。


 



 

 





お読み下さりありがとうございます。明日も更新できるよう、ふゆいちご頑張る予定です。

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