2章38 そうだ。図書館にいこう
ヒナの勘違い解消。
本日も来ていただきありがとうございます。
マジっすかマジっすかマジっすか!?
ルーとユシャさんが兄妹。
じゃ、あの噂は?悲劇の大恋愛は?
「コーリンとユシャは兄弟だってのは知られてるけど、私が妹だってことは公にしていないの。パパがしないほうがいいって言うから」
「はあ·······」
つまりルーはユシャさんが自分のお兄さんだから私を預けたのか。何なの
、私の今までのモヤモヤは何なの。あの鬱屈した日々を返して!
「あ、いけない。もう時間だわ。出来るだけ会いに来るようにするから、鍵探し頑張ってね」
「え、もうそんな時間?」
ハッと気がつくと朝だった。
なんか、疲れる夢だった。ルーが現れた次の朝はいつも寝た気がしない。
ルーに妖精の石のこと聞けばよかった〜。いつも、大事な事を聞きそびれてしまう。夢の中でもメモ使えればいいのに。
今日も大学で魔法の練習だ。リナリナさんと朝食。鍵の事、リナリナさんに言ってもいいかなあ?
一応、青の賢者って聞いたことある?って言ったら、知らないとのことで、図書館で調べてみたら?と言われた。
そうだ。その手があった。大学には確か立派な図書館があった。
よしっ、図書館にいこう。
「おはようございます」
「おはようヒナちゃん」
「おはようございますヒナさん」
「おはようございますヒナ殿」
「ん?おはよう?」
私の挨拶に答えてくれるスーリヤ先生、フィン様、パザさん、そして、誰?知らない人〜!
「え····っと、どちら様ですか?」
「おや。君は」
あれ?私のことご存知の様子。私は見覚えはないと思うんだけど。
どこかでお会いしましたっけ。
「叔父上、さっき話していたヒナさんです。ヒナさん私の叔父で、今この大陸を旅しているは植物学者のクリストバルです。私の植物好きは叔父の影響です」
「あ、そうなんですね」
確かに、フィン様に少し似てるかな。背が高く痩せてるけど程よく筋肉もついてる。細マッチョってヤツ?長い髪を後ろで縛っているちょいワル親父って感じ。
「ああっ思い出した。ティファーンの空港で会った子だ。髪の色と目の色が違うからすぐに思い出せなかったんだ。」
え?ティファーンの空港?
あっ、あの時の旅の人。あの時ははっきり言って小汚い格好してたし、長い髪はボサボサでしかもチャラい感じだった。今日はお洒落なシャツとズボンだし無精髭もない。普通に紳士みたい。
「私も思い出しました。お久しぶりです」
「偶然だねえ、また君に会えるとは。縁とは不思議な物だね。あ、私はクリストバル・ダラスといいます。フィノルドの叔父です」
「ヒナ·····浅田ヒナです」
フィン様の叔父さんだったんだ。ホント奇遇ですねぇ。
「そうか、君がヒナさんか。髪色と目の色変えたのか。あれ?君、あの時より魔力増えてない?」
「え、それは」
それってこの方に知られて良いことなんでしょうか。な、なんて言えば。
「こらこら、クリストバルくん女性を色々探るもんじゃないよ。秘密があるから女性はミステリアスで輝くんだから、無粋だよ」
スーリヤ先生、助かったけどいつもの先生じゃない〜。フィン様も複雑な顔してる。
「皆さんお茶が入りましたよ。こちらにどうぞ」
パザさんグッドタイミング。あ、今日はガウラさんもいる。
「ガウラさんおはようございます」
「お、おはようございます。ヒナ様」
「ヒナでいいですよ。様だなんてなんかこそばゆいです」
「は、はい」
ガウラさんはまだ、ヒトの言葉が苦手なようです。
クリストバルさんが何かフィン様に話しかけている。フィン様、少し困ってる?
「え?クリストバルさんトウキクに行くんですか?」
「いや、行きたいんだけど許可が下りなくてね。そこで甥っ子がお世話になってるスーリヤ殿を頼ろうかと思ってね」
東の地域トウキクか。なんで許可下りないんだろう?観光は中央以外は割と許されているんじゃなかったかな。
「何故なんですかねえ」
「観光じゃないと思われてるからだろう。植物学者だからね」
東の地域トウキクには固有の植物が多く植物学者にとっては珍種の宝庫らしい。しかも貴重な物ばかり。
そこで同じく植物好きの甥であるフィン様を巻き込んでスーリヤ先生のコネで何とか許可を取ろうと企んでるのだそうだ。
「あそこには神殿直轄の植物研究所がある。魔霊樹の苗を育てているらしい」
「魔霊樹の苗ですか?!」
フィン様がメチャクチャ食い付いた。フィン様、魔霊樹の事知りたくてこの大陸に来たんだものね。クリストバルさんがニンマリしてる。
東の地域トウキクはユシャさんやルーの出身地だ。私もちょっと行ってみたい。それにジュノさんも連れていけたら。
「う〜ん、そうだね。ちょっと心当たりをあたってみようか」
「お願いしますスーリヤ殿」
クリストバルさんは泊まっている宿の連絡先を告げて帰って行った。
あ、そうだ。
「スーリヤ先生、私、ちょっと調べ物があって図書館に行きたいんですけど図書館は許可とか必要ですか?」
「いや、学生証があれば誰でも入れるよ。フィン様、午後は空いてますか?空いてたらヒナちゃんを図書館まで案内お願いできますか」
「もちろんです。喜んでご一緒させていただきますよ」
「いえ、場所を教えて頂いたら一人でいきますよ。そんなお手を煩わす訳には」
「パザもいくよね」
「ワレもですか。フィン様のご指名とあらば」
パザさんもいくの?
「よろしくお願いします」
「はは。即答だね」
「ヒナさんは本当にパザが好きだね」
あれ?何か呆れられてる。
スーリヤ先生が言うには、学生の中に女の子にしつこく言い寄ったり絡んだりする質の悪い者もいる。そこでフィン様をボディガード代わりにして一緒に図書館に行きなさいだそうだ。
図書館の近辺は最近ナンパ場所になっているという····噂だ。
噂なんかい!
その日の午後。
誰だ?女の子にちょっかいかけるヤツがいるって言ったのは!
図書館に向かう私達に群がったのはすべて女子。まるで私の存在に気づいて無いかのよう。
つまり、フィン様とパザさんが囲まれてなかなか前に進めません。図書館は見えてるのに。
だって、みんな大好き、イケメンと可愛いもふもふだもの。
「えー、図書館見えてるんで先に行きますね。お二人はゆっくりおいでで下さい」
「ヒ、ヒナ殿〜、置いていかないで下さい〜」
パザさんが情けない声を出す。仕方無いなあ。ふっ、ここで見捨てたら女がすたる。
「はいはい。すみませんね。急いでるので失礼します。お話があるのでしたら、ちゃんとアポイント取ってからにして下さいね。あ、お触りは禁止ですよ。フィノルド様は魔族の王家の方ですから、そこんとこ弁えて。パザさんはその従者です。お仕事中ですのでご遠慮下さいませ」
この時の私、自分でも驚くほど滑舌良かった。唖然とする女子達を置き去りにして二人の手を取り素早く離脱。
あっ、変な創作魔法使っちゃった?
短時間停止。3人分結界。3人分短距離転移。
何?私ってば天才?!
「ヒナさん!この魔法は?!」
「いつの間に図書館の入口に!ヒナ殿の魔法なのですか?」
「なんか·····そうみたい」
自分でもビックリだよ。
読んで頂きありがとうございます。
クリストバルさんが出て来た所を覚えてる方いらっしゃったかな?次の展開が何となく読めてくるでしょうかね?
明日も更新できるといいな。