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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章36 ヒナ、水竜に会う。

 

 本日も宜しくお願い致します。




 ユシャさんがドラゴンに変身した竜人と戦った話はクーリーには詳しくはわからないという事だ。その頃のクーリーはまだ巣の中で暮らしていて大きなエネルギーのぶつかるのを感じたくらいだそうだ。


「それがユシャさんと竜人だってどうしてわかったの?」

『ん〜とね。誰かに聴いたの。誰だったかな〜。え〜っとね、忘れちゃった』


 クーリー絶対わかってる。誰か言えないって····怪しい。

 アルクくんはその頃はニニカのお家にいたので、見てはいないけど、ニュースとして伝わって来たそうで、ユシャさんの師匠であるシェローデイルさんに教えて貰ったそうだ。


 若い竜人が中央の結界を破って街の上空に現れ、魔導師達を挑発した。

 神殿やアドゥーラが対応したが歯が立たない。クレッシェンドの人間を侮った竜人は魔力量の多いユシャさんを見つけ戦いをふっかけた。

 しかし、ユシャさんはドラゴンに変身した若い竜人より強かった。その若い竜人は重症を負い命からがら結界の外に逃げ出した。竜神の目的が何だったかは不明。


 ······と、いうことだが、それ以来ユシャさんは英雄扱いらしい。

 ユシャさん曰く


「あいつは俺よりまだ若くて魔法も戦闘も未熟だったから勝てたのであって俺が強いわけじゃない」


 マジでそう思ったのか謙遜なのかはわからないけど、他の人達がまるで刃が立たなかったんだから、それを撃退したユシャさんはやっぱり凄いんだと思う。

 ユシャさんのお父様であるニコラスさんだっけ?あの人も相当強いんだと思うけど、全然強そうに見えないイケメンだった。見た目がメチャ若いけど、実際はかなりの高齢なはずだよね。だってユシャさんが242歳なんだもの。


 年齢と言えば、私がこちらに来てから一年位経ったかな。ということは、私って一つ年取った!?


「ヒナちゃん、何難しい顔してんの?」

「わぁっ!す、杉下さん」


 眼の前に杉下さんがいた。は〜びっくりした。


「お仕事終わったんですか?」

「ああ、お待たせ。」

「やぁ、相変わらず君ってぽやぽやしてるね」


 は?ぽやぽや?それって何ですか?褒め言葉じゃない気がする。


「ジュノさんどういう意味ですか?」

「いや、そのままの意味だよ。クスッ。クーリー達と寛いでる様子はまさにぽやぽや」

「ジュノ、素直に癒やされると言えば良いだろう」

「う〜ん、癒やされると言うより苛つかされる?」


 あ゛あ゛っ?ジュノさん私に喧嘩売ってる?


「ほ、ほら、二人とも久しぶりに会ったんだから仲良くしよう、ね!」


 私は別に喧嘩なんかするつもりないですよ。ジュノさんが喧嘩腰なんですー。···ていうか、ジュノさん凄く疲れてる風に見える。


「あ、わりぃ·····ごめん。ヒナのせいじゃないのに。八つ当たりみたいなこと言って悪かった」

「何かあったの?」

「ちょっとね。ケントやヒナが心配する事じゃないから。ホントすまない。ごめん」


 ·····気になるなあ。

 ジュノさんが上の人に許可を取ってくれたので水竜を見に行けることになった。正隊員が付き添う事が条件だったので、レトさんが迎えに来てくれて訓練場の奥にある湖に向かった。

 アルクくんとクーリーはお昼寝タイムということで別行動。


 ここ中央ってニニカやティファーンほど広くないのに神殿といい、この警備隊の敷地といい、凄く広いよね。飛竜が貴重だからと言うこともあるのだろうけど、隊長のアルフェンスさんの力も大きいのかも。



 湖····池みたいな物かと思ってたけど、ホントに湖だったー!

 広い!真ん中辺りに小島があり、そこにも警備隊の訓練施設があるそうな。

 北の地域ダッハには湖沼が多いので、北の地域に派遣される隊員は、まずここで訓練してからいくのだ。でも基本全員参加の訓練でダッハの気候を想定するので湖を凍らせたりする事もあるとか。北の地域ダッハは冬はメチャ寒いのだそうだ。地獄か。


 「水竜を呼ぶよ」


レトさんが呼びかける。しかも不思議な音。アルクくんやクーリーの言葉はわかるけど、他のドラゴンの言葉は私にはわからない。ドラゴンとの会話はレトさんの特殊能力だ。

 レトさんはアルクくん達とは話せない。聖獣でもドラゴンであるクーリーとなら話せるらしい。

 聖獣と話せるのは一定以上の魔力を持つ者なのだ。


 水面が揺れ始めた。何かが来る気配。

 ザバーッ!

 水飛沫とともに長い首が現われた。キラキラと鱗が輝いている。白か銀の様に見えたけど、本体は薄い青緑のようだ。


「·······きれい·····」


 私を見つめる目は深い湖の色。顔は確かにドラゴンだけど優しい感じがする。スーッと顔を近づけて来た。杉下さんとジュノさんは後ずさる。私は目を離せないでいた。


「アリアはヒナさんが綺麗って言ってくれたのわかるみたいだよ。嬉しいって」

「レトさん、アリアってこの子の名前?」

「そう、俺がつけたの。いい名前でしょ」

「女の子なのね。素敵な名前ね。よろしくねアリアさん、私はヒナよ」


アリアさんは頭を上下に振ると「キュアー」と小さく鳴いて水に潜ってしまった。


「まだ、あまり人には慣れてなくてね。でもヒナさんはドラゴン達にも好かれてるし大丈夫かなって思ったんで会わせてみたんだ」

「そうなんだ。ありがとうレトさん。ありがとうアリアさん、会えて嬉しかったわ」


 突然、水飛沫が上がり再びアリアさんが顔を出した。今度はグッと私に近づいて何かを足元に落として行った。


「な、何だろう、これ?」


 その光っている物を拾い上げる。


「これ妖精の石って言われる魔石だ!」

「えっ!」「ええっ!」


 レトさんの声に後ろに下がっていた杉下さんとジュノさんが私のもとにやって来た。


「ヒナさんにアリアからプレゼントだって。これはすごく貴重な物だよ」

「私が貰っていいの?」

「アリアがヒナさんを気に入ったのかも」


 え〜〜〜、いいのかな。

何故、水竜であるアリアさんがこんな物もっていたのか不思議。ていうか、輝きとか形が見たことある、ある物に似てるんだけど。


「あ、これって僕達がこっちへ飛ばされた時、空から落ちて来た石に似てない?」


 それだっ!







 










 明日も何とか投稿出来るよう進めて行きたいと思います。お時間が合いましたら、お読み頂けると嬉しいです。


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