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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章31 ユシャの動向

あけましておめでとうございます

 一話だけですがお届けします。

本年も宜しくお願い致します。



「でも、大丈夫。安心して、ちゃんと逃げ切ったみたいだから」

「トリー、何が安心してよ。神殿に忍び込むなんて!ユシャさんお尋ね者になっちゃうじゃない」

「いや、あの。多分、身元はバレてないと思うから」



 なんてこった!ユシャさんたら本当にルーに会いに行っただなんて····

 トリスタさんがリナリナさんに詰め寄られている最中、私はユシャさんとスーリヤ先生を訪ねた時のことを思い返していた。

 確かにパザさんがルーに直接聞いたらどうかといった言葉に反応してたけど····

 確か白の巫女って神殿の奥深くにいて会うのは難しい存在だと聞いている。だから私もルーと直接会うのは無理だと思っていた。

 それでも今回の催事で、もしかしたら会えるかも〜なんて軽く考えてたりはしてた。

 そして、確かに会うには会えた。一方的だったけどね。


 でも、まさかユシャさんが本当に危険を冒してまでルー会いに行くなんて思わなかった。

ユシャさん、そんなにルーに会いたかったの?ちょっと···いや、すっごくショックだぞ。もう二人の仲は終わってるんだと思ってた····過去のことだと思ってたから。


 ····ユシャさん、まだルーのこと好きだったんだ。


「えーと、何故、ヒナちゃんだけでなく、ケントまで落ち込んでるんだジュノ?」

「トリスタさんケントはそっとしておいてやって下さい。衝撃的な恋の展開に頭がついて行ってないみたいなんです」

「恋?誰が?誰に?」


 杉下さんは、「ルセラさんとユシャさんは、深い関係····いや····随分前だたって·····」とかブツブツ呟いている。

 トリスタさんてば杉下さんがルーに落ちたあの瞬間を見てなかったのね。勿体ない······


「まあまあ、お茶でも入れるから皆座って。お腹も空いたでしょ。簡単な物しかできないけど、夕飯作るわ。ヒナちゃん手伝ってくれる?」

「あ、はい」




 二人で夕飯の支度をした。パンとスープくらいだったけど、皆かなり空腹だったようでものも言わず食べ切った。リナリナさんと私も同じく一気に食べた。


「さて、腹拵えもできたし、トリー、話して貰おうかしら」

「どこまで話していいのか分からないけど···」

「私はヒナちゃんと暮らすことになった時ユシャさんに大体のことは聞いてるわ」

「僕もエルフォンス様からヒナの世話係任された時、大まかな事は聞いています」

「ごめん。この間話の途中で寝てしまって、余りわからないです」


 杉下さ〜ん、やっぱり覚えてないんかい!


「じゃあ、ヒナちゃんの今までのことは大体分かってるという事だね。問題は何故、ルセラ様がヒナちゃんを召喚したかという事だ。ユシャさんはルセラ様にそこを確認したいと言っていたんだ」


 確かにそう。よくある小説では、世界を救う勇者とか聖女を召喚ってなってるけど、聖女枠は白の巫女であるルセラ様、ルーがいるから間に合ってるんじゃない?

 私って何のために召喚されたんだろう。まあ、それを聞くためにもルーに合う必要はあったんだけど·····でも危険を犯してまで神殿に潜り込んで会う必要

ある?


『青の賢者、竜の聖獣、白の聖獣、黒の聖獣、緑の護り手、金の聖獣、異世界より舞い降りた乙女よ。それ等を集めよ。この大陸を人々を守るために。乙女よ。われの祈り叶え給え』


 あ、あの言葉。私になんか集めて欲しいって?




   ***********

     

     (ルセラ視点)


 催事が終わった。なんとかあの言葉だけ伝えることができた。

『魔霊樹の回帰』のこと。クレイシア様から伝えられた秘密は普通に言葉で伝えることができない。一番良いのは、私の手から直接ヒナの頭に送ること。夢では伝えることはできないから、会えれば具体的な事も伝えられたのに。


 『七つの鍵』だけは歌に紛れさせ魔力を乗せた御告げとして、なんとか伝える事ができた。

 ヒナは集めてくれるだろうか。

 本当は魔霊樹に助けを借りヒナを私の元まで呼び寄せるつもりだった。

 この催事もそのため開くことにした。

 今は、理由あって魔力が不足してきている。少しでもそれを補うという名目で言い出したけど、私が何か企んでいるとバレてたみたい。


 私の住んでる白の巫女の居住区は魔霊樹の地下にある。祈りの部屋とか、啓示の間とかいくつかの部屋がありすべての場所に監視が付いていた。普段は一人になれるプライベートの部屋さえ健康管理とか言って監視が付いていた。

 もちろん女性神官だけど、落ち着かないったら···


 でも、催事が終わったらずっと側にくっついている監視はいなくなる。····はぁー···精神的疲労が半端ない。


 催事用衣装の長い裾をズルズル引きずりながら、今回与えられた神殿内の控え室に帰り着く。お付きが5人、後ろをついて来る。


「あなた達もういいわ。後は衣装を脱いで水浴びするだけだから、お疲れ様」

「お手伝い致しましょう」

「結構よ。それくらい自分でできるから。ゆっくりやすんで」


 白の巫女担当の筆頭神官が恭しく頭を下げながらこたえる。

 

「はい。かしこまりました。ルセラ様おお疲れ様でございました。何かありましたら、お呼び下さい。わたくし達は明日まで直ぐ側の部屋に待機することになっておりますので、お声がけ下さいませ」

「ええ、ありがとう。皆も疲れたでしょう。交代で仮眠を取ると良いわ」


 控え室の扉を開け···て閉めた。


「ルセラ様どうかなさいましたか?」

「な、なんでもないわ。もう下がっていいわよ」

「はい。では御前失礼致します」


 5人は優雅に頭を下げたあと下がっていった。

 姿が見えなくなったのを確認し部屋の中に入り鍵をかける。魔法もかけておく。だ、大丈夫よね。


 振り向いたわたしは見てはいけない物を見た。


「よぉ、久しぶり」

「なんでアンタがここにいるのよ!ユシャ!」










 

 ルセラからヒナに送った言葉の一部を変更しております。七つの言葉、一つは異世界の乙女、ヒナのことです。プチネタバレ。

 新年会から失礼致しました。

 楽しんで頂けたら嬉しいです。

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