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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
78/114

2章30 fall in Love


 本日2話目の投稿です。

宜しかったら1話目からお読み下さいませ。


 杉下さんの様子がヘン。 

「ケント?おい?どうしたんだ」


 目を見開いて口をポカーンと開けている。

 ルーのこと凝視してるよね。ルーの一挙手一投足を見逃すまいとするかのように。潤んだ瞳でじっと見つめてる。


 「!」 もしかして·····もしかして····そーなのかしら。·····一目惚れってやつ?

 きゃっ、私、目撃しちゃいました。

 人が恋に落ちる瞬間てヤツ。

  Just fall in LOVE···ですね。


 ジュノさんと顔を見合わせて頷く。キャ〜なんか凄い。いや、何で私がジタバタしちゃってんだろう。


「ヒナちゃんどうしたの」

「ヒナさん何がありましたか?」


 リナリナさんとフィン様に不審がられました。

 

「いえ、何でもないです」


 ジュノさんが私に小さな声で言う。


「僕はケントはヒナのこと好きなんだと思ってたんだけどな。違ったみたいだね」

「なぁに?恋バナ?おばあちゃんにも教えて」


 いや、リナリナさん私の恋バナじゃないし。杉下さんの事だから聞いても仕方ないと思うよ。


「今はそっと見守ってあげようとしてる所なんです」

「あら、ヒナちゃんじゃないの。残念」


 リナリナさん意外とそういう話好きなのね。

 

 まあ確かにルーは素敵だよね。初めて見た時も凄く綺麗な子だとは思ってたけど、生で見るとため息出そう。

 肌は白くて陶器か真珠のよう、すっとした鼻梁、さくら色の唇、深い海のような輝く碧い瞳、長く後ろに流した髪は艷やか。魔法で出されたのか花びらが散っている。今度は花びらがキラキラと白く星のように煌めく。

 声はなんだろう。気持ちがスーッと落ち着くような惹きつけられる歌声。どう表現したら良いかわからないな。生で聴くと本当にいい。

 そして幻想的なステージの上でも堂々としたその姿はまるで女神。

 ユシャさんの気持ちわかる······あ、凹んできた。考えるの止めよう。

  

 ルーの最後の歌になった。私とルーの間には沢山の人、人、人。言葉を交わすなんて無理だ。

 突然、頭の中に歌の歌詞とは違う言葉が聴こえた。

 な、何これ?


『青の賢者、竜の聖獣、白の聖獣、黒の聖獣、緑の護り手、金の聖獣、異世界より舞い降りた乙女よ。それ等を集めよ。この大陸を守るために。乙女よ。われの祈り叶え給え』


 どういうことですか?!意味わかんない!その乙女って私のことなの?

 呪文のように頭の中でリピートしてる。やめてやめて、私に何をさせたいって?理由のわからない物ばかりどうやって集めろって言うの?

 覚えられるわけないと思ったけど、まるで脳内に直接書き込まれたかのように、しっかり覚えてしまった。


「ヒナちゃん大丈夫?」

「あ····」


リナリナさんが心配そうに覗き込んでいる。私はいつの間にかしゃがみ込んでいた。フィン様とスーリヤ先生もこちらを伺っている。


「だ、大丈夫。ちょっと目眩がしただけ。久しぶりにこんな賑やかな所に来たから頭がついていけなかったみたい」


 


 ライブは終わった。

 敢えてライブイベントだと言おう。興奮した面持ちで皆、出口である正門に向かう。

 改めてグッズを買ったりする人やライブのことを熱く語り合ってる人達がいてなかなか先に進めない。正門付近


「ケント大丈夫か?」

「あ、ああ····」


 杉下さんもまだ覚醒してないっぽい。ルーの事がそんなに衝撃的だったのかな?私は一目惚れの経験無いから良くわからないけど、ジュノさん、ちゃんとフォローしてあげてね。



 まだ、外に出られない。入る時はスムーズだったのに帰る時こんなに時間かかるなんて。神官?みたいな服を着た人達が人混みの中をあっちいったり、こっちに来たりしている。

 皆でこの後、食事に行こうかと話していたけれど、正門の方がなんやら騒がしい。


「何かあったんでしょうか?」

「ヤバイ」


 トリスタさん、ヤバイって、なにか知ってるの?


「皆様、申し訳ありません。少しトラブルがありました。今しばらく退出はお待ち下さい」


 周りの人々もザワザワしだした。長い事待たされているせいもあるのか係の人

詰め寄っている人もいる。


「トリスタさん」

「な、何かな、ヒナちゃん。そんな怖い顔して」

「トリスタさん、何か隠してないですか?ユシャさんはどうしたんですか?どうしてここに来ていないんですか?」

「え?いや、さあ、多分急用ではないかと····」


 しどろもどろだ。


「トリー、その様子じゃ誤魔化せそうにはないわね」

「リナリナさん、少しは助けようって気にならないんですか。僕はヒナちゃんに見つめられるとダメなんですよ」


 トリスタさん、泣きそう。


「あ〜ユシャさんめ。だから辞めとけって言ったのに。後でちゃんと話すから、今は早く外に出よう」


 なんと正門で身元チェックの様な事をしていた。

 幸い、アドゥーラの職員であるトリスタさん、警備隊のジュノさんや大学の教授であるスーリヤ先生の連れであるということで、問題なく門を出ることが出来た。


 スーリヤ先生とフィン様とは転移陣前でお別れ。フィン様はスーリヤ先生の自宅にホームステイしているそうだ。お供の獣族さん達はホテルとかには長期滞在用させてもらえないのだ。

 スーリヤ先生は庭付き一軒家に住んでいて掃除のための使用人もいるけれど、研究のためなどで大学に泊まり込む事が多いので、人が家にいて貰う方がいいらしい。


 さて、私はトリスタさんを捕まえた。


「トリスタさんにがしませんよ。さあ、キリキリ吐いて貰いましょうか」

「ヒ、ヒナちゃん、怖い···」


 私達の新しい家にトリスタさん、杉下さん、ジュノさんをご招待~。

 もちろんリナリナさんの許可はとった。

 そこで、私はトリスタさんから驚くべき事を聞かされた。


「ユシャさんは今夜、ルセラ様に会うため神殿の奥に忍び込んだんだ。それが、神官達に見つかったらしい」


「·····」

「·····」

「·····」

「·····」


「「「「ええーーーーーっ!!」」」」





 



今回のストック最後のお話です。

ユシャさん見つかってんじゃねーよ!

 次回をお楽しみに。


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