2章27 ホントに優しいのは···
またまた見直しに時間がかかり少し遅くなってしまいました。
宜しかったらお読み下さいね。
朝である。昨夜なかなか寝付けなかった私はリナリ····じゃなかった。
おばあちゃんに起こされてやっと食卓についた。お手伝いするつもりだったのに。
しょんぼりして謝る私に、緊張していたと勘違いしていたらしいおばあちゃんは、優しく笑って朝食をすすめてくれた。
朝はパン。中央には米を食べる習慣は無いらしい。
ニニカでは雨宮さんの布教のおかげかお米が食べられている。種籾は下の大地でみつけたそうだ。水田があるのか。
雨宮さんが店で使っているのは親しい農家に依頼して育てたニニカ産米だと聞いた。食に拘る日本人の執念は凄い。
····ということで、パンとサラダとスープ、近所の店で買ったハム。
普通にモーニングサービスだ。警備隊の朝ご飯もこんな感じ。裕福なおうちだと卵料理とか果物とか種類が増えるらしい。
大学の食堂はどんな感じだろう。楽しみだ。
最寄りの転移陣から大学の正門近くに飛ぶ。転移陣はやっぱり慣れない。あの、ゆる~いグニュっていうかグニャっていうかあれが苦手なのだ。頑張って自分で転移出来るようになりたいものである。
あ、でも中央では勝手に転移使っちゃいけないんだったっけ?
「ヒナさんおはようございます」
「ヒナ殿おはようございます」
フィン様とパザさんだ。スーリヤ先生の研究室の前でバッタリ出会った。
「フィン様、パザさん、おはようございます。今日からよろしくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
フィン様って本当に腰の低い人だな。私みたいな庶民の子供でも丁寧に接してくれる。
パザさんがドアを開けてくれ、フィン様が私を先に入らせる。
所謂、レディファースト(死語?)ってやつですね。
「あ、ありがとうございます」
「いいえ、お礼なんて。当たり前の事ですから」
いや、ユシャさんなら先に行くな。私のためにわざわざドアを開けたりしないでしょ。
もし、開けてくれたとしても続くセリフは「さっさと入れ」だと思う。
「フィン様もパザさんも本当に気を使わないでくださいね。私はここでは新参者でオマケみたいなものですから」
「ヒナ殿、そんな事を言わずワレにお手伝い出来ることがあれば何でも申しつけて下さい。フィン様もヒナ殿の魔法修行に協力する気満々ですから」
えっ、そうなの?
「お〜はよう。皆もう揃ってるの?早いね」
スーリヤ先生が大きな欠伸をしながらやってきた。そんなに早くないですよ。
他の授業は始まってるようですから。今日は私の魔法修行一日目。スーリヤ先生の講義のない時間を宛てて貰っているので、私の予定表はバラバラだ。
「じゃ、早速行くか」
「どこへ行くんですか?」
「もちろん魔法の部屋だよ」
あの新しく作った強力なバリアに囲まれていると言われるお部屋ですか。いきなり実戦!?
研究室の奥にドアが3つ。そのうちの一つを開けると····
「わあ····」
信じられない広い空間が広がっていた。野原である。野の花が咲き乱れてまるで春のような····これも魔法?
「気に入った?初日だから大サービス」
「凄いです!凄い!スーリヤ先生、魔法でこんな事ができるなんて?!」
「こんなに喜んで貰えるなんて頑張った甲斐があったな〜」
やっぱりスーリヤ先生って優しい。ユシャさんとは大違い。
···なんて思ったのは最初だけ。
「はい、もう一回。もっと魔力を集めて」
「はいっ!」
「もう、一回。それじゃ拡散しちゃう。使う魔力と巡らせる魔力を別々に意識して」
「はい!」
「うん、いい感じだがちょっと威力が足りないな。魔力を中心に集めるよう意識してもう一回」
「はい」
「よし!今だ。打て!」
「はいー」
私の手から勢いよく飛び出した水の矢が目標の岩を撃ち抜いた。は〜疲れるわ〜
「お〜凄いね。流石、魔力が多いと何回やってもこれだけ強力にできるんだ」
ひと通りの説明の後は実践あるのみ、とばかりに何十回、いや百回以上かも色々な魔法を打ち出している。スパルタか!
確かに最初よりは確実に魔力か集められ威力も精密さも上がってる。休憩は挟んだけど、やり過ぎでしょ。マジ疲れた···いくら私の魔力が多いからって····
「スーリヤ先生、ヒナさんの魔力で遊んでませんか?」
「フィン何を言う。これはヒナの魔力を無駄にしないための訓練でもあるのだよ。この魔力量ならいつかはユシャ並みの魔導師になれるかもしれない」
いや、なれないと思います。魔力量はあっても、私の体力と精神が保ちません。フィン様が何度か止めようとしてくれたけど、無駄でした。
「あの、スーリヤ様」
「なんだい、パザくん」
「もうお昼過ぎましたが、昼食はどうされますか?」
「もうそんな時間か。つい指導に熱が入ってしまって、気付かなかった。そうだな。ヒナ、大学の食堂に行ってみるか?」
「はい。行ってみたいです!」
「よし。好きな物を頼むと良い。今日は私の奢りだ」
「フィン様、ヒナ殿は餌付けされようとしている気が···」
「パザ、それは二人の前では言わないようにね」
いつの間にか名前が呼び捨てになっているスーリヤ先生。超ご機嫌である。先生のキャラが変わっている気がするのは私だけ?
フィン様達が気の毒そうに私を見ている。
「ヒナ殿、大丈夫ですか?お疲れ様です。おしぼりです。どうぞ」
「ありがとーパザさん。は〜疲れた」
あぁパザさん、癒やされる~~。
「あれ?パザさん一緒にいかないの?」
「ワレは留守番します。ヒナ殿大丈夫ですから行って来てください」
ということでパザさん抜きの三人で食堂に向かう。
「中央にはまだ他種族に偏見を持つ者が多くてね。パザくんは大学の中ではフィンと常に一緒にいないとダメだし食堂とかも入れないんだ。それに獣人族や下の大地の人間よりパザくんの方が危険なんだ」
「え?」
「つまりですね。パザは獣人族より下に見られています。また珍しさもあって中には実験に使いたいと狙ってるような輩もいるのです」
なんてこと!大学内ではパザさんの貞操···じゃない身が危険だなんて。
珍獣扱いは私も同じかもしれないけど、ここは私がパザさんをま守らねば。
「あの、ヒナさんパザはああ見えても強いですよ。ヒナさんが守ろうとか考えなくて大丈夫ですよ」
あ、フィン様にばれてた?
スーリヤ先生が笑いを堪えきれずに横を向いてぷふっと吹き出している。先生失礼ですよ!私に。
食べ物の表現と戦闘は難しいです。ゆる〜く自分達の食べてる物にするか···のような物的にするか。
戦闘シーン書きたいけど上手く書けない。
また進行速度遅くなりそう(泣)