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クレッシェンド〜浮遊大陸の記憶〜  作者: ふゆいちご
第2章
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2章24 チートでごめん


本日も投稿します。宜しければお読み下さいませ。



 蘭香亭に泊まった翌日、中央に帰ってきた。

 ユシャさんの裏技と言うのは転移ポイントを物凄い速さで移動しながら痕跡を消していくというもの。追跡する事ができない速さで転移するというユシャさんでなければできない技らしい。

 連続転移は必要な魔力が半端なく多く、普通は転移出来る人でも何回も連続で転移するのは無理だそうだ。(ユシャさんは普通じゃないから!)

 しかもユシャさんは更に、中央から外へ、外から中央へ秘密の裏技で出入りしているようだ。

 チート!これこそチートだ!

 しかし、ほんっとにユシャさんの魔力ってどのくらいなんだ?


 それより、嬉しいことが。

 アルクくんが中央に来る。実はアルフェンスさんの聖獣ラクシエルさんは警備隊の敷地内にあるアルフェンスさんの私的なスペースに住んでいるそうで、アルクくんがそこに来ることになったのです。

 ラクシエルさんは普段はそこで生活していて警備隊の方には殆ど行かないのだとか。私が存在を知らなかったのは仕方なかったみたい。



 アルクくんは人が沢山居るところが苦手で今までほとんど町中には行かなかったのだけど、私にずっと会えなくなるのはイヤだと言うことで、ユシャさんの提案を受け入れたそうだ。もちろん私は大歓迎である。

 おかげでアルクくんやドラゴン達にも会えるようにして貰える。

 頻繁には無理だけど、なんとかしてくれるそうだ。わーい。

 



 さて、私の新しい住まいは····

 魔法大学とライザさんの店のある繁華街とのあいだ(やや大学寄り)に位置する中流階層の住宅地区の(ここがミソ)

 とある5階建てアパートの3階です。これがまた、ヨーロッパの世界遺産のような外観でボロ···アンティークな建物

色はカラフルなんだけどね。でも中はリノベーションされていて快適です。


 この辺りは中央でも古くからある町で治安は悪くないそうだ。カラフルなのに派手さは感じない。

 私達の住むことになったアパートはこの辺りではよくあるらしくあちらこちらに似たような建物がある。

 ニニカに比べればごちゃごちゃしているけれど、懐かしい感じがする。小さな商店街もあり、生活感溢れる町だ。下町という表現がしっくりくるかも。

 

 通りを2つ3つ越えれば、ヤクトさんのお店など高級な店のある地区だ。

 

 引っ越しは殆ど終わり、後は警備隊宿舎に戻り挨拶をして、皆で夕食。翌日に移り住む。


 杉下さんはなんだか納得がいかないと言うか意味がわからないという顔をしていた。

 私に魔力があることを、まだ話せていない。今日こそ、今日こそ話さなくては·····


 警備隊の人達がささやかな送別会を開いてくれる。ドラゴンに会いに行ったりして知り合いになったり、レシピの話で盛り上がった厨房の方々。エルフォンスさん達本館にいる人達。リナリナさんの知り合いもいるので人数的にはあまりささやかじゃないと思うんだけどなあ。

 でも、ジュノさんやレトさんがささやかって言うからささやかなんだろう。


 厨房の皆が頑張って作ってくれた料理に舌鼓をうち、エルフォンスさんから「特別だ」とのお許しが出てお酒も少し振る舞われた。

 私が大学に行くということをエルフォンスさんから最初に発表され、お祝いとお別れ会(リナリナさん含む)の体である。 

 リナリナさんは今度住むアパートの近くの店で働くそうだ。


 「ヒナちゃん、ちょっといいかな?」


 杉下さんである。いよいよこの時が来た。

 私は頷いて杉下さんと二人、送別会の会場となった広い食堂から出ていく。私は気づかなかったけどユシャさんがチラリとこちらを見たらしい。


 場所は以前朝食を取ったバルコニー。今日もよく晴れて星が綺麗だ。


「「あの····!」」


 二人同時に第一声がこれって···


「ヒナちゃんからどうぞ」

「杉下さんから先にどうぞ」

「いや···君から」

「私は後でも···」


 往生際悪いな私。


「俺も往生際悪いな」

「え?杉下さんも?」


 顔を見合わせて思わず吹き出す。

さんざん笑った後、深呼吸ひとつ。よっし!覚悟した。


「ごめんなさい!私、杉下さんに言っていないことがあります」

「うん····」


 杉下さんの顔が穏やかすぎて仏様に見える。きっと私が何か隠してる事、気が付いていたんだろうな。

 優し過ぎるお兄ちゃんだ。


 私達が最初こちらに転移してきたのは私がルーに召喚され、杉下さんはただ巻き込まれただけなこと、その時私だけがルーからギフトを与えられたことを話した。

 それはルーの力により、こちらの言葉が最初から理解できて喋れたこと、体力を魔力に変換できて魔法が使えるようになっていること、を告白した。


「今まで黙っててごめんなさい。杉下さんが一生懸命こちらの言葉を勉強していたのに私はすぐに会話できていたんです。あ、でも文字はわからなくて勉強したんですよ」


 杉下さんの顔から表情が抜けたというか固まっている。


「本当にごめんなさい」


 深く頭を下げる。

 少しして·····


「は?」


 杉下さんの低い声。あ~やっぱり怒ってるんだ。これってチートだよね。ユシャさんのこと言えないな。


「ヒナちゃん魔法使えるの?凄い···それって凄くない?」


 え?そっち?


「うわぁ···すげぇ。ファンタジーだよ···ファンタジー!レトやサライがドラゴン乗ったり魔法で身体強化したり攻撃魔法練習してるの見たけど凄かったんだよね。ヒナちゃんが魔法使えるなんて凄い!凄すぎる!」


 あ、怒ってるんじゃない。驚いてたんだ。しかも今はめっちゃ興奮してる。

 ···でも、あんまり上手く使えないんです。


「どんな魔法が使えるの?みせて貰え···あ、ここでは無理か。たまには警備隊に来られる?ドラゴン達も待ってると思うし。」

「あの····まだあまり使えなくて、そのせいもあって魔法の訓練しなきゃいけなくて、魔法大学の講師の所に通うことになった訳で···」

「···そうなんだ。魔力あるからってガンガン魔法が使えるわけじゃ無いんだ」


 流石に、一度暴走させましたなんて言えないわ。


「しかし、そのルセラって人、何でヒナちゃんを召喚したんだろう?」

「それがよく分からなくて····私に何をして欲しいのかも聞けてないの。ただ魔力増やして魔法覚えろとしか····」


 なんか聞きそびれてるのよね。


「ふざけんなって感じだな。いい迷惑だ。ルセラだかオペラだか知らないけど、大体、巫女って何だよ?聖女みたいなのか何なのか知らないけど、他人の人生を何だと思ってるんだ。皆に奉られていい気になってるのか?傲慢なんじゃないか?」


 え?す、杉下さん激おこ?

 ルセラとオペラじゃラしか合ってませんから。


 


 杉下さんはヒナに好意は持ってるけど、恋愛対象とは思ってないかも。付き合い自体短いですしね。

ユシャさんのことも気になってるかな。

 明日も投稿できるといいな。


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